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初依頼は不法侵入事件 ③
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翌日、雪は起きると直ぐに、昨日のメモをもとにしてパソコンで議事録を作ると印刷する。
その後契約書の雛形の例をネットで検索して、使いやすそうな3つをピックアップ。それを【何でも屋】用にアレンジするとパソコンに保存した。田中さんへのメールの文面も作成して時間が空いた雪は、朝ご飯を食べに行く。
台所にいた母に挨拶をし、パンをトーストする。次に胡椒を聞かせた卵とろとろスクランブルエッグを作る。パンにチーズとスクランブルエッグを挟んだ簡単で美味しい朝ご飯だ。チーズと卵のとろとろ感が混ざりあってとても良いサンドになった。
食べながら、内容は話せないけれどと断ってから、初めて依頼を受けた事を話す。
まさか、依頼を受けるとは思わなかったと皆が焦って慌ててた事や、受けると決めた後のてきぱきと決めて行く様子に凄い2人だと思っていた事。楽しそうに話している雪を見て、母親も嬉しそうに相槌を打った。
お昼前には、メールをするからと言って部屋へ戻った雪。
12時きっかりに田中さんへ、【何でも屋】のアドレスから、依頼を受ける事と料金や日数等契約に関する事、日曜日の朝9時に家に伺いたいと書いたメールを送る。田中さんからすぐに了承と依頼を受けたお礼のメールが届く。雪も又、よろしくお願いしますと田中さんに返信して仕事完了。
次に香と花にピックアップした3つの見本の契約書を添付、田中さんへのメール報告を書くと送信する。花と香はお昼休み中なのか、田中さんへの連絡と契約書の対応に関する感謝のメールが来た。
「あれ、パソコンなのにもう返事って。あっ、スマホにパソコンのメールのお知らせ機能を付けて待っていたって書いてある。なんか嬉しいな。契約書もこれで良いのね。準備は完了、後は日曜日に書類を持っていくだけね。日曜日、初めての調査どうなるか分からないけれど、楽しみだな。」
日曜日、8時半に店舗に集合すると雪が契約書と議事碌を2人に見せる。
「ありがとう、雪。メールでも見たけれど、どちらも見やすくて分かりやすいわ。議事録入力する量少ないから、今パパっと入力しちゃうわね。」
そう言うと、書類を受け取り座ってパソコンに入力を始める香。
「ありがとうございます。雪さん、香さん。書類をとめるファイルや印刷する紙やインクとか、必要な物を一度リストに纏めた方が良いですよね。纏めたものから、ネットで購入しちゃいましょう。領収書とかの記録も手に入るし、レシートと違って無くしてもデータが残っていて安心です。契約書は当面は鍵付きの引出の中に保管しますね。後レシート保管用に入れ物を持ってきたので、レシートはここにお願いします。」
そういうと、引き出しの中に箱と契約書の雛形を入れる花。
「そうそう、私田中さんに会ったらどういう質問をするか一応書いてきたの。後行く前に、誰が聞くかとか役割分担決めておこうよ。」
「はい。その前に録画なんですけれど、田中さんの庭を3人ともスマホで録画するという事で良いですか。」
「ええ、その方が確実で良いと思うわ。家の周辺の録画はプライバシーの問題があるからやめた方が良いけれど、周囲の家の様子とか田中さんの家との距離を確認しておいた方が良いわね。」
「そうだね、田中さんの家の前の道には人が映ってなかった事は分かってるんだから、両隣の家が怪しいよね。」
「じゃあ先に周辺確認して、田中さんへの質問と庭の撮影をして帰る感じかな。雪、質問纏めてくれてありがとう。私もこの質問で良いと思う。」
「私も同じです。誰が聞くかどうやって決めましょうか。」
「簡単よ。じゃんけんよ。勝った人がやりたい事を選ぶの。公平でしょう。」
にこやかに笑う香の言葉に頷く2人。確かに公平だし、誰が質問してもあまり変わらない気もする。皆が真剣な顔をして頷くとじゃんけんが始まった。勝った順に選んでいく。
その結果、最初に勝った香が中心になって質問する人、次に勝った雪が補佐的役目。負けた花が不測の事態に臨機応変に対応する事に決まった。
「フフフ、やったわ。私昔からじゃんけんとか運で決めるような時には、必ず勝つのよ。負けなしなのよ、悪いわね。質問をする人って一番大事な役目よね。私、なんだか探偵って感じじゃないの。」
「次の依頼の時には私達もっと仲良くなってお互いの性格分かってますから、話し合いで誰が何をするのが良いかを決めましょう。」
「そうね、その方が良いと思う。まあでも、補佐役も重要な役だし今回はまあいいかな。」
「そうですね、私は完璧空気みたいな役ですけど。」
「まあまあ、空気も必要だよ。フフフ。」
「そうそう、頑張って。意外と重要かもしれないし、多分。
じゃあいきましょ。契約書は私持ってくね。スマホは皆充電大丈夫かしら、一応充電器も持っていくわね」
そういうと、嬉しそうな2人は悲しそうな花を連れて、田中さんのお宅へ向かっていった。
「ここが田中さんのお宅ね。迷うようなふりをして歩いてきたけど、周辺確認できたかしら。」
「バッチリ見たよ。後で皆で話し合おう。じゃあ、行くよ。」
ブザーを鳴らすと田中さんが出て、どうぞ、と言ってくれたので皆で中へ入っていった。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。朝早くからありがとうございます。中へどうぞ。」
「お邪魔します。」
中へ入ると居間に案内される。荒らされたと聞いていたが特に壁や棚等に傷は見当たらない。
「こちらが契約書になります。1枚は田中様の控えです。ご確認後署名捺印をお願いします。」
田中さんは契約書を見て確認した後、署名捺印をして控えではない方を香に返した。
契約書を受け取った香が、早速聞き取り調査を始めた。
「では早速ですが、当時の様子を説明してもらえますか。」
「ええ、警察も写真を撮ったんだけど私も撮っておいたのよ。見て貰えばわかるけれど、この写真のように本当にぐちゃぐちゃだったわ。」
写真を受けとり見てみる3人。食べ物は床に散らばり物が散乱しているが、棚の引出等はきちんと閉まっている。写真はデータがあるから持っていってもらっても大丈夫と言われ、花は受け取った。
写真を見た皆は、眉をひそめていた。香が同情しつつ話し出す。
「凄い状況ですね、これは大変でしたでしょう。田中様に被害が無くて本当に良かったです。」
「ありがとうございます。食事も作ったのがあったんだけど、この後じゃ食べる気にならなくて全部捨てたの。
そういえば、焼き魚が無くなっていたの。庭にでも落ちて虫が来たら嫌だと思って探したけど見つからなかったのよね。」
「そうなんですか、荒らされた時に遠くまで飛んでしまったのかしら。お庭も拝見させて頂いてもよろしいでしょうか。」
「ええ、勿論です。どうぞ。」
皆で玄関から庭にまわって動画を取る。周囲には抜け穴等、人が通れそうな場所はなさそうだ。右隣は田中さん宅と接している側に物置が置いてある。こちらから登るのは無理だし、向こうから物置に登ってこちら側に侵入しようとしても高さがあるので降りるのが難しいと思われた。左隣は花壇になっていて土に足跡を残さずに乗り越えて行くのも無理そうだった。庭の撮影を終えると、居間へと戻っていく。
居間へ戻ると香は質問を再開した。
「お庭の左側は花壇があるので、土に足跡を残さず移動するのは難しいですし、右隣には大きな物置が置いてあるので、田中様宅に乗り越えて侵入したりその後右隣りの家に戻るのは無理だと思います。念の為周囲の方との関係をお伺いしてもよろしいですか。」
「ええ、両隣の方達とは普通の近所づきあいをしていると思っています。
特に文句を言われたこともないですし、トラブルになるような事も今までありませんでした。
どちらもご夫婦だけで暮らしていらしてお子さんは都内で暮らしています。会えば普通にお話ししますけれど、友人というほど親しくはありません。」
「そうですか、事件の後に変わった事もありませんでしたか。」
「いえ、皆さん心配して下さってお見舞いに来て頂いたくらいで。防犯面で不安になったんでしょうね。皆さんカメラの角度などを変えて死角がないように色々試しています。私も付けましたけど、家に防犯カメラを付ける方も増えたそうですよ。」
香は頷くと2人を見て、質問が無いか聞く。2人ともないと言ったので、田中さんに挨拶をして帰る事にした。
「今日は、ありがとうございました。結論がでましたら田中様にご報告致します。」
「はい、依頼する際にも言いましたけれど、何もわからなくてもいいんです。ただ何かしないと不安で、色々な方の意見を聞きたいんです。今日はわざわざありがとうございました。」
挨拶をして辞去すると、3人はお店へと戻っていった。
その後契約書の雛形の例をネットで検索して、使いやすそうな3つをピックアップ。それを【何でも屋】用にアレンジするとパソコンに保存した。田中さんへのメールの文面も作成して時間が空いた雪は、朝ご飯を食べに行く。
台所にいた母に挨拶をし、パンをトーストする。次に胡椒を聞かせた卵とろとろスクランブルエッグを作る。パンにチーズとスクランブルエッグを挟んだ簡単で美味しい朝ご飯だ。チーズと卵のとろとろ感が混ざりあってとても良いサンドになった。
食べながら、内容は話せないけれどと断ってから、初めて依頼を受けた事を話す。
まさか、依頼を受けるとは思わなかったと皆が焦って慌ててた事や、受けると決めた後のてきぱきと決めて行く様子に凄い2人だと思っていた事。楽しそうに話している雪を見て、母親も嬉しそうに相槌を打った。
お昼前には、メールをするからと言って部屋へ戻った雪。
12時きっかりに田中さんへ、【何でも屋】のアドレスから、依頼を受ける事と料金や日数等契約に関する事、日曜日の朝9時に家に伺いたいと書いたメールを送る。田中さんからすぐに了承と依頼を受けたお礼のメールが届く。雪も又、よろしくお願いしますと田中さんに返信して仕事完了。
次に香と花にピックアップした3つの見本の契約書を添付、田中さんへのメール報告を書くと送信する。花と香はお昼休み中なのか、田中さんへの連絡と契約書の対応に関する感謝のメールが来た。
「あれ、パソコンなのにもう返事って。あっ、スマホにパソコンのメールのお知らせ機能を付けて待っていたって書いてある。なんか嬉しいな。契約書もこれで良いのね。準備は完了、後は日曜日に書類を持っていくだけね。日曜日、初めての調査どうなるか分からないけれど、楽しみだな。」
日曜日、8時半に店舗に集合すると雪が契約書と議事碌を2人に見せる。
「ありがとう、雪。メールでも見たけれど、どちらも見やすくて分かりやすいわ。議事録入力する量少ないから、今パパっと入力しちゃうわね。」
そう言うと、書類を受け取り座ってパソコンに入力を始める香。
「ありがとうございます。雪さん、香さん。書類をとめるファイルや印刷する紙やインクとか、必要な物を一度リストに纏めた方が良いですよね。纏めたものから、ネットで購入しちゃいましょう。領収書とかの記録も手に入るし、レシートと違って無くしてもデータが残っていて安心です。契約書は当面は鍵付きの引出の中に保管しますね。後レシート保管用に入れ物を持ってきたので、レシートはここにお願いします。」
そういうと、引き出しの中に箱と契約書の雛形を入れる花。
「そうそう、私田中さんに会ったらどういう質問をするか一応書いてきたの。後行く前に、誰が聞くかとか役割分担決めておこうよ。」
「はい。その前に録画なんですけれど、田中さんの庭を3人ともスマホで録画するという事で良いですか。」
「ええ、その方が確実で良いと思うわ。家の周辺の録画はプライバシーの問題があるからやめた方が良いけれど、周囲の家の様子とか田中さんの家との距離を確認しておいた方が良いわね。」
「そうだね、田中さんの家の前の道には人が映ってなかった事は分かってるんだから、両隣の家が怪しいよね。」
「じゃあ先に周辺確認して、田中さんへの質問と庭の撮影をして帰る感じかな。雪、質問纏めてくれてありがとう。私もこの質問で良いと思う。」
「私も同じです。誰が聞くかどうやって決めましょうか。」
「簡単よ。じゃんけんよ。勝った人がやりたい事を選ぶの。公平でしょう。」
にこやかに笑う香の言葉に頷く2人。確かに公平だし、誰が質問してもあまり変わらない気もする。皆が真剣な顔をして頷くとじゃんけんが始まった。勝った順に選んでいく。
その結果、最初に勝った香が中心になって質問する人、次に勝った雪が補佐的役目。負けた花が不測の事態に臨機応変に対応する事に決まった。
「フフフ、やったわ。私昔からじゃんけんとか運で決めるような時には、必ず勝つのよ。負けなしなのよ、悪いわね。質問をする人って一番大事な役目よね。私、なんだか探偵って感じじゃないの。」
「次の依頼の時には私達もっと仲良くなってお互いの性格分かってますから、話し合いで誰が何をするのが良いかを決めましょう。」
「そうね、その方が良いと思う。まあでも、補佐役も重要な役だし今回はまあいいかな。」
「そうですね、私は完璧空気みたいな役ですけど。」
「まあまあ、空気も必要だよ。フフフ。」
「そうそう、頑張って。意外と重要かもしれないし、多分。
じゃあいきましょ。契約書は私持ってくね。スマホは皆充電大丈夫かしら、一応充電器も持っていくわね」
そういうと、嬉しそうな2人は悲しそうな花を連れて、田中さんのお宅へ向かっていった。
「ここが田中さんのお宅ね。迷うようなふりをして歩いてきたけど、周辺確認できたかしら。」
「バッチリ見たよ。後で皆で話し合おう。じゃあ、行くよ。」
ブザーを鳴らすと田中さんが出て、どうぞ、と言ってくれたので皆で中へ入っていった。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。朝早くからありがとうございます。中へどうぞ。」
「お邪魔します。」
中へ入ると居間に案内される。荒らされたと聞いていたが特に壁や棚等に傷は見当たらない。
「こちらが契約書になります。1枚は田中様の控えです。ご確認後署名捺印をお願いします。」
田中さんは契約書を見て確認した後、署名捺印をして控えではない方を香に返した。
契約書を受け取った香が、早速聞き取り調査を始めた。
「では早速ですが、当時の様子を説明してもらえますか。」
「ええ、警察も写真を撮ったんだけど私も撮っておいたのよ。見て貰えばわかるけれど、この写真のように本当にぐちゃぐちゃだったわ。」
写真を受けとり見てみる3人。食べ物は床に散らばり物が散乱しているが、棚の引出等はきちんと閉まっている。写真はデータがあるから持っていってもらっても大丈夫と言われ、花は受け取った。
写真を見た皆は、眉をひそめていた。香が同情しつつ話し出す。
「凄い状況ですね、これは大変でしたでしょう。田中様に被害が無くて本当に良かったです。」
「ありがとうございます。食事も作ったのがあったんだけど、この後じゃ食べる気にならなくて全部捨てたの。
そういえば、焼き魚が無くなっていたの。庭にでも落ちて虫が来たら嫌だと思って探したけど見つからなかったのよね。」
「そうなんですか、荒らされた時に遠くまで飛んでしまったのかしら。お庭も拝見させて頂いてもよろしいでしょうか。」
「ええ、勿論です。どうぞ。」
皆で玄関から庭にまわって動画を取る。周囲には抜け穴等、人が通れそうな場所はなさそうだ。右隣は田中さん宅と接している側に物置が置いてある。こちらから登るのは無理だし、向こうから物置に登ってこちら側に侵入しようとしても高さがあるので降りるのが難しいと思われた。左隣は花壇になっていて土に足跡を残さずに乗り越えて行くのも無理そうだった。庭の撮影を終えると、居間へと戻っていく。
居間へ戻ると香は質問を再開した。
「お庭の左側は花壇があるので、土に足跡を残さず移動するのは難しいですし、右隣には大きな物置が置いてあるので、田中様宅に乗り越えて侵入したりその後右隣りの家に戻るのは無理だと思います。念の為周囲の方との関係をお伺いしてもよろしいですか。」
「ええ、両隣の方達とは普通の近所づきあいをしていると思っています。
特に文句を言われたこともないですし、トラブルになるような事も今までありませんでした。
どちらもご夫婦だけで暮らしていらしてお子さんは都内で暮らしています。会えば普通にお話ししますけれど、友人というほど親しくはありません。」
「そうですか、事件の後に変わった事もありませんでしたか。」
「いえ、皆さん心配して下さってお見舞いに来て頂いたくらいで。防犯面で不安になったんでしょうね。皆さんカメラの角度などを変えて死角がないように色々試しています。私も付けましたけど、家に防犯カメラを付ける方も増えたそうですよ。」
香は頷くと2人を見て、質問が無いか聞く。2人ともないと言ったので、田中さんに挨拶をして帰る事にした。
「今日は、ありがとうございました。結論がでましたら田中様にご報告致します。」
「はい、依頼する際にも言いましたけれど、何もわからなくてもいいんです。ただ何かしないと不安で、色々な方の意見を聞きたいんです。今日はわざわざありがとうございました。」
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