種族の壁をのりこえて

第1の狼

ヒト

私は狼です。
そこら辺によくいる狼です。
ヒトって…不思議な生き物ですね。
私達 動物にどうして
すり寄ってくるのでしょうか…
私達の気持ちを考えもしないで。
そう。私達 動物はヒトと
ー愛し合ってはいけない。
　好いてはいけない。
　　信じてはいけない。ー
それは何故なのか、私達のような
子供には分からない。
教えて貰えない。でも、
おかあさんとおとうさんがダメだって
言ってるからそれはダメなことなんだ、って
信じて生きてきた。

「この狼可愛いね！！」
ある日、知らないヒトが来て、
そんなことを言った。
私は両親に言われた通りヒトから
離れようとした。

だけど、何故だろう、
ヒトではなく、地面が私の足から離れて、
いつもの視線より高い風を感じた。
それから少したって気付いた。
私は抱きかかえられている。
何とかして家へ帰ろうと藻掻いた。
でも無理だった…
私は諦めた。私をヒトはどこへ
連れていこうと言うのだろうか…