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未定
103.担いで帰宅
しおりを挟む慶達と別れた後は走って家に帰った。
気づかれない様に玄関に近づき、神眼の気配感知で見つからない様に慎重に玄関から家に入る。
春を背負ったまま、2階に上がり春の部屋に入った。
春とドロップアイテムなどの荷物を降ろしてから部屋を出ると、1階に降りて風呂を溜めながら入る。
ーーー
風呂から上がると、2階に上がり春を担いで風呂場に行き、服を脱がして風呂に入れる。
今脱がせたウルフの返り血がついた服はマジックポーチに仕舞っておいて、また後で洗おう。
「春、起きろ」
軽く頬を叩いて起こす。
「う~ん、何?」
「今の状況が分かるか?」
俺がそう言い聞くと、春は一言で簡潔に答える。
「全裸」
「それはそうだが。それは状況では無く状態だ」
寝ぼけている春は回らないだろう頭で考えているが、一向に答えは出そうに無いので教えてやる。
「風呂に入れてやったから、後は自分でどうにかしろ」
「うん」
俺は返事を聞くと風呂場からを出て自室に向かった。
ーーー
さて、俺は今日春が使った剣の手入れでもするか。
ネットで手入れの仕方を調べてやってみる。
まあ、手入れといってもウルフの血肉油の付いた剣を洗ってから、砥石で研いでオリーブオイルを塗っただけなんだけどな。
砥石は何故か家にあったのを使ったが、オリーブオイルはきちんとした専用の油とかを買った方が良いのだろうか?
俺には分からないが、暫くはオリーブオイルに頑張ってもらおうと思う。
剣の手入れを終えた後は、夕食まで久しぶりに漫画を読んで時間を潰した。
ーーー
夕食の時間になりリビングに行く。
リビングのソファで寛いでいると母さんが話しかけてくる。
「光ちゃん~、ご飯だから春ちゃん呼んできて~」
「わかった」
俺はリビング出て春の部屋に行こうと思ったが、神眼の気配感知には2階に人の反応は無い。
もしかしてと思い風呂場に行くと、春は浴槽で寝ていた。
まさかとは思ったが、風呂に入れてやってからずっと寝ていたのか?
「起きろ、春」
声を掛けながら身体を揺するが、全く起きる様子はなく無反応だ。
流石に無反応なのは心配になったので、一応呼吸を確認すると、きちんと生きていた。
唯、爆睡していただけか。
しょうがないので、春を風呂から上げ体を拭いてやってから、担いで2階に上がる。
春の部屋に入って、春をベットの上に横に寝かせて布団を掛けてやる。
服を着せるのは流石に面倒だったので、今の春は全裸だ。
エアコンで部屋の温度を調節しておけば、風邪を引く事も無いだろう。
やる事はやったので、俺はリビングの戻った。
ーーー
「母さん」
「何~?」
「春なんだけど、寝ていて起きなかったよ」
「そうなの~?」
「爆睡だったね。今なら何しても起きないんじゃないかな?」
実際にさっきも体を拭いてやったり担いで運んだりしても、全く起きる様子が無かった。
身の安全が心配になる程の爆睡だった。
大人になっても飲み会とかには行かせない方が良いかもしれないな。
「なら今日はもう寝かせたままにしといてあげましょうか~」
「そうだね」
それから俺と母さんは、父さんが帰ってくるのを待ってから、3人で夕食を食べた。
食事中に聞いた限りでは、今日も父さんと母さんは変わりなく普通の日常を過ごせた様だ。
モンスターに遭遇したなんて事も無く安心した。
まあ、当たり前か。
母さんは家から出ていない。
父さんも会社に行っているだけで基本デスクワークだ。人気の無い所に行く事は無いだろうからな。
それにネットは兎も角、テレビニュースでも特に新たな情報も被害情報も報道されなかった。
「ごちそうさま」
俺は食べ終わり食器を片付けてから自室に戻る。
あとは寝るだけだ。
マジックポーチから槍を取り出すと、日課の稽古を始める。
槍の扱いにも慣れてきたので、そろそろ実戦でも使っていこうかと思い始めている。
それでもユニークスキル固定ダメージ1がある限りは、まともに槍が攻撃手段として使えない。
実際、終末の使徒レプリカの神槍を受けた筈の俺の体はバラバラになって無かったからな。
途中で手足を潰される事はあったけど。
今にして思えば、凄い体験した。
一時的にとは言え、片腕片足が無い状態だったなんて、今では信じられない。
あの時は身体中ボロボロで、しかもリミッターを外していたので痛みを感じる事も無かった。
実際に手足が無くなったらどんな激痛が走るんだろうか?
よく手足が無くなった状態でも、そのまま戦うアニメキャラが居るが、そんなの我慢出来るのか?
アドレナリンってそんなに凄いの?とアニメを見ている時は思っていた。
俺の場合は手足が無くなるのとほぼ同時に倒したから、特に問題が無かったけどな。
アラームが鳴り稽古が終える。
汗で出来た水溜りを拭き、あの日の朝を思い出す。
稽古の途中に体力の限界で気絶して起きると、下には水溜りが広がっていた。あの時はあともう少しで新しいトラウマが刻まれる処だった。
直ぐに自分の汗だと気づけて本当に良かったよ。
拭き終わると、俺はいつも通りシャワーで汗を流した後に、ベッドに入って眠った。
おやすみ。
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