独自ダンジョン攻略

sasina

文字の大きさ
上 下
92 / 125
未定

92.ダンジョン内ではマナーモードにしましょう

しおりを挟む


 凛は早速とばかりに自分の担当範囲のウルフ狩りに向かった。

 俺の方もウルフ狩りをさっさと終わらせてしまおう。

 俺は見えなくても気配感知で周囲半径100mは感知出来るので効率も良く直ぐに終わるだろう。

ーーー

 直ぐに終わりました。

 今回は血塗れにならないように、ウルフを一体一体手間をかけて狩って周り、18時には俺の担当範囲のウルフを狩り尽くした。

 ウルフ以外のモンスターにも遭遇しなかったので、他のダンジョンについても考えなくてもよく、気分良く終わらせる事が出来た。

 今はウルフのダンジョン前に来たが、凛はまだ終わってないのかここには居なかった。

 電話もかかってこないので特に心配はしていないが、これは手伝いに行った方が良いのだろうか?

 そんな事を考えている内に、凛が気配の感知範囲に入ってきた。

「思ったより早かったな」

 凛は正面方向から近付いて来ていたのに、途中から俺の居るダンジョンを避けて、俺を後ろ側に回った。

 態々そう言う行動が取れるという事は、俺の位置関係も把握出来ているのか。

 王獣化(猫)が再び使える状態になったので、鑑定を察知した時の状態に戻っている。
 だから、合流場所に来るのも俺の予想より早かった様だ。

 獣化の気配感知という事は、野生的な感覚なのかな?

 動物は気配に敏感な奴が多いからな。

 近所とかで見かける野良猫とかも、捕まえられた試しが無い。不意打ちとかもほぼ無理なくらい気配に鋭いからな。

 まあ、今の俺の身体能力なら野良猫を捕まえるくらい造作もない。

 加減をミスったら、野良猫がミンチになるかもしれないけどな。

 やはりlv62になってしまった俺が動物の毛並みを堪能したいなら、誰かを神獣化させるのが相手の為にも安全かもしれない。

 俺が凛を育てようかな? と考えている間に凛の気配が丁度俺の真後ろに来た。

「凛、遅かったな」

 俺が振り返ると驚いた顔をした凛が居た。

 あともう少しで伸ばしていた手が俺に触れる距離で固まっていた。

「え、えーと、モンスター狩りは終わりました」

 凛は気づかれた事に驚いた様子だったが、直ぐに気を取り直して、俺にウルフ狩りが終わった事を伝えてきた。

「お疲れ様。想定範囲の外ではモンスターを見かけなかったか?」

「はい。ウルフが居たのはどちらかと言えば、想定範囲より狭い範囲にしか居ませんでした」

「俺と同じか。なら良い」

「先輩は感知系のスキルを持っているんですか?」

 今気づかれたから、そう思ったのかな?

 う~ん、このぐらいなら教えるべきか。それとも教えない方が良いのか。迷うな?

「ノーコメント。スキルについては教えない。人物鑑定が出来る俺が言うのはどうかと思うが、相手のスキルの詮索はマナー違反になるからな」

 ネットゲームの暗黙の了解だけどな。

「本当に先輩の言う事じゃないですね。でも分かりました」

「まあ、ヒントという訳ではないが、慶はスキル無しでも半径100mくらいの気配は感知する事が出来るぞ」

「そんなに」

 凛は驚いているが、これは相手が気配を消していない事が前提の話だ。

 小鬼の時も高野先生の時も、気配を隠そうともしていない相手だったから、そこまで遠くでも気配が分かったんだろう。

 まあ、それでも慶ならさっきの凛くらいなら気配を察知する事が出来ただろうけどな。ここには人が居ないから分かりやすい。

「さて、凛はこれからどうする?」

 時間はまだ18時だ。もう帰っても良い時間だけど、今からダンジョンに入っても良い。

「19時までは、ここのダンジョンに入ってlv上げをしても良いですか?」

「分かった。一緒に行動するか?」

「いえ、1人でも大丈夫です」

「なら探索範囲は1階層だけ。部屋を見つけても1人では入らない。という事なら良いぞ。それと出来れば地図も書いてくれると嬉しい」

「測量機器なんて持っていませんから、地図なんて描けませんよ?」

 と言う事なので、凛に簡単に歩測での距離の測り方を教えてやる。

「これで出来そうか?」

「多分」

 凛は始めてなので自信がない様子だった。

「別に俺がやった様に綺麗に描く必要は無い。始めてなんだから下手で当たり前なんだ、慶なんて未だに上手く地図を作る事が出来てないからな」

 それにいきなり色々な森や洞窟に入って地図を作ってきた俺の地図よりも上手く作られたら、少しショックだった。

「じゃあ、凛。さっきも言った通り探索範囲は1階層だけで、部屋には1人では入らないという事だけは守ってくれ。あとダンジョン内では当然スマホで連絡なんて取れないから、1時間後にここのダンジョン前に集合な」

 部屋に入って万が一試練の扉を発動させてしまえば、俺が助けるに入るのは無理だろうからな。

 それにダンジョンには、まだ俺が知らない種類の部屋もあるだろうから、俺自身も気を付けないと。

「ダンジョン内では電話が繋がらないって結構重要な事ですよね?」

「ああ、ダンジョンで迷子になったり怪我をしたら終わりって、そうだ。これを持っていけ」

 俺を凛に赤と黄色のポーションを数個ずつ渡す。

「これはポーションって奴ですか?」

「そうだ。赤が怪我とかの回復ポーションで、黄色が凛がこれからよくお世話になるだろう体力ポーションだ」

 これがあれば、今は使えないが、第五開放を使った後でも継続的に戦う事が出来るかもしれない。




しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<初投稿4日目からは『お昼12:00頃』の毎日配信となります> 「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。  死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。  レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。  絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、 「え?、何だ⋯⋯これ?」  これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...