13 / 33
13.家に着きます
しおりを挟む荷物も捨てれたし、やっと故郷に帰ってきたって感じだな。
しかし、今の俺は靴を履いてないんだよな。子供が履いている靴を取るわけにも行かなかったしね。
あと、下着も着ていない。これは普通に無かったんじゃなく、他人の下着は使いたくなかっただけだ。
さて、これからどうするか? いざ日本に帰ってくると何をしていいのか分からないな。
う~ん、まあ、まずは家族を見てから考えようか。
もし日本に帰れたら、遠目でもいいから一目姿を見たいと思っていたんだよね。
という事で、家に向かうか。
ーーー
と思ったが、10分で挫折した。
全然進まない。6歳児の歩幅で10分なんて高が知れているもんね。
しかも、俺は怠惰の魔王、基本仕事以外ではあまり動かない生き物で、今日の飛行機の運搬はかなりの例外的な事な気がする。
しょうがない、飛行機を運んだ時と同じ要領で行くか。
【転移】
で、飛行機が日本上空に待機していた高度まで【転移】する。
【反重力】
そして、飛行機の時と同じ様に重力をゼロにして、日本を見下ろす。
日本にある家への行き方なら簡単だ。テレビで見た天気予報では、局で地域ごとの天気予報もやるので、自分が大体日本のどの辺に住んでいたかは分かる。
「あった」
あの辺りが俺の住んでいた県だ。そして、母さんが天気予報で気にしていた場所があの県のあそこ辺りだから、多分その場所が俺の家がある場所だろうな。
慣性の法則でその場所に行く為に、後ろを魔力を固めて、その固めた魔力を踏み締め思いっきり跳ぶ。
今は俺一人だし手加減無しでも大丈夫だろう。それにこの速度ならすぐに着く上、普通の人では目で追えない速度だろうからな。
地面に着く前に大気中の魔力を固めて着地する。直接地面に着地してしまったらコンクリートが砕けてしまうからな。
「よっと、着地成功」
コンクリートは人工物だから、気を使わないといけないのが面倒だな。
さて、ここは何処だろう?
まあ、10年も経っている訳だしね。そりゃ変わっているところもあるだろうし、もしかしたら引っ越しているなんて事も十分にありえるよな。
数日この辺を探し回って見つからなかったら、一先ずイデアの方に帰るとするか。
ーーー
それから、夕方まで探し回ると(半分以上は休憩に使ったが)見覚えのある景色を見つけた。
「ここは確か」
そう、イデアに異世界転移していなかったら、その数日後に通う筈だった小学校だ。
姉さんの学校行事で何度か、母さんと一緒に入った事がある。
でも、何か違和感があるな。何かは分からないが。
まあ、この小学校を見つけてしまえば家を見つけたも同然だな。
地球での記憶を引き出して、家までの記憶を思い出す。
「記憶だとこっちか」
思い出した記憶を元に家に行く道を辿っていく。
そして、俺はこれからの事を特に何も考えず家に向かってしまった。
ーーー
家に着いた。
が、これからどうしようか?
全く考えてなかった。表札は、天月となっているので、引っ越していない事は分かる。
まあ、姉さんが未だに実家住まいなのかは分からないけどね。
ウチの家は、2階一戸建ての家で既にローンも払い終わっていると母さんが言っていた。
母さんが、どんな仕事をしているかは知らないが、今思えばシングルマザーなのにお金に困った様子のなかったので結構裕福な家庭だった様に感じる。
そんな仕事に生きている様な人だから、10年経った今でも再婚は出来ていないかもしれないけどね。
まあ、子育てに関しては真面目にやっていたし、どちらかと言えば、溺愛されていた様に今になっては思う。
昔はあれが普通だと思っていたが、イデアに行ってから世界を自分の目で見るようになってから溺愛されている事が分かったし、世界がどうしようもない事も分かった。
だからと言って、怠惰の俺が何かを変える訳でも無いけどな。
でも、イデアに来て一つだけ変わった事がある。
それは自分で見た世界でもまだその裏がある、その裏ですら実際の本当の裏と比べれば生温いと言う事だ。
俺はカラミタ母さんに何でどうしようもない人類を助けるのかと聞いた事がある。
その時母さんは『人類の全てが悪い訳じゃ無いの。悪いのは一部だけど、その一部が人類を操っているから、ベルの目には人類全てがダメに映るのよ』
『じゃあ、その悪い奴を殺せば良いんじゃないの?』
『それが一番簡単ね』
『なら』
『でも、それは私達の問題じゃないわ、協力だけなら兎も角ね。それに私も誰が本当に悪いのか分からないの、そういう連中は自分達では何もしないから、実行犯を幾ら始末してもキリがないわ、この問題は同じ人類が自分達で解決しないとね』
とまあ、そんな話をしたんだ。イデアでも地球でも、きっと同じ何だろうな。一部の権力者なんてモノではなく、裏で世界を牛耳っている奴らはどうせ居ると思う。
イデアから来た今だから言えるが、地球という世界は歪んでいる。それも特に日本と言う国がね。
だが、それに気付いたからと言っても俺は魔人になってしまった部外者なので、カラミタ母さんが言った様に敵と同じ人類の問題だから手助けはしても解決は人類がやるべきなんだろうな。
だから、怠惰の魔王である俺は、俺の家族に手を出さない限り今の人類を見守る事にするよ。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる