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9章ー総力決戦編ー
208.戦い方を忘れた愚かな戦士
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全身を武装したスクリュウはギルムに接近し、2本の鎌を振り降ろした。それを刀を交差させて防ぎ、パワーで押し切ろうとした。
しかし、スクリュウは腕を横に振りきって肘のヒレでギルムを切りつけた。
ギルム「…!見た目以上に切れ味いいじゃねぇかよ…浅かったのが幸いだが、あれが不意打ちで飛んでくるとなれば……息つく暇はねぇな。」
スクリュウ「なんだよ、筋肉カチカチじゃねぇか。……只者じゃねぇ…それでも俺様には劣るがな!刃術:鰭割!」
するとスクリュウは身体中にヒレを生やして、ギルムに向けて突進した。
危険を察知したギルムは地を蹴って上に跳び上がり、刀に深碧のオーラを纏った。
ギルム「ファーマ、そいつの武装を脆くできるか?」
ファーマ「ああ!溶解毒の矢を使う!」
魔力で生成した矢を弓に装填して、スクリュウのヒレに撃ち込んだ。
スクリュウ「な、ヒレが傷む…!」
ギルム「勝負あったな!左眼開眼。剣術:禄千の竹林」
左の碧眼でスクリュウの急所を捉えながら空中で姿勢を整えて、ギルムは刀を振り降ろした。
その斬撃は深く入り、スクリュウは悲鳴をあげた。
スクリュウ「ギャァァァぁぁ!」
ファーマ「なぁギルム…あいつの様子…なんかおかしくないか?」
ギルム「そうだな。身構えとけ…本番が来る!」
スクリュウの身体は膨張し、叫び声は徐々に怪物の咆哮へと変化し、シーサーペントへの変身が完了した。
スクリュウ「許せねぇ……絶対に許さないぞ!悪魔、レジスター風情がぁ!」
シーサーペントとなったスクリュウは尻尾をドリルのように回転させて、上に持ち上げた。
スクリュウ「くたばれ!螺旋落とし!」
尻尾が階段を破壊すると足場は不安定に揺れ、極めつけには天井が崩れてきた。
ファーマ「嘘だろ?!デタラメな事しやがって……」
一方、半階層下でオクトパスと戦っているところでも、その被害は大きく出ていた。
萌愛「なにこれ!地面が凄く揺れてるんだけど!」
ゼディ「ファーマ達の戦いで上が崩れたようね。皆、落石に注意して!」
ゼディ達は落石が止むまで一旦逃げ回ろうと階段から離れるが、オクトパスは隙かさず廊下への入口を触手で塞いだ。
オクトパス「折角スクリュウが楽しくしてくれたんだ。逃がすわけないよなぁ!」
ゼディ「くっ……頭上に注意して交戦を続けるよ!」
中央階段3階層は慌ただしい戦況と様変わりした。
その頃、塔左側でも同様に激しい戦いによって壁や天井にヒビが入りつつあった。
パングス「おらおら食らえ!魔拳:スチームパンチ」
高熱の拳を連続で振りかざしながら前進してくるパングスに押されながらも、バーグスはガードを崩さずにエネルギー感知に集中した。
バーグス「今だラナカ!」
ラナカ「ええ!」
エネルギーの出力が弱まったその瞬間、バーグスの指示でラナカは剣に炎を纏って後ろから斬り掛かった。
ラナカ「剣術:ヒーティングブレi……かはっ!」
バーグス「ラナカ!」
しかし奇襲は失敗。パングスは振り向いてラナカを腕で払い、吹き飛ばした。
壁に叩きつけられたラナカに向けて、パングスは拳を突き出した。すると拳に熱が集中し、身体から蒸気が出てくる。
パングス「手間らじゃまだ早い。帰った帰った!魔術:スチームバーニング」
熱気を纏う拳で虚空を殴るとラナカに向けて火炎が放射され、爆発を起こした。その上、部屋中に煙が立ち込めて視界不良になった。
ラナカ「けほっけほっ……うぅ…身体が…熱い……」
パングス「ならば冷ましてやるよ。手間の全ての熱をなぁ!」
ラナカ「なっ…しまっ……ッ!」
火炎放射を受けてまともに動けないラナカにパングスは隙かさず近づき、追撃のスチームパンチをかました。
やがて煙が晴れると、バーグスとルゥリムはようやく前を向いた。すると、そこには全身が黒焦げになって地面に横たわるラナカの姿と、その隣に鎮座するバーグスの姿があった。
ルゥリム「……ッ!」
バーグス「まさか……ラナカ…」
2人はすぐに察した。彼女はもう助からない。完全に息の根を止められたと。
顔色が絶望で染まった2人に追い打ちをかけるかのように、パングスは口を開いた。
パングス「手間らは甘い。野生動物相手にしてんじゃねぇんだよ。悠長にしてたらその命…すぐ尽きちまうぞ?」
バーグス「……ッ!」
パングス「命懸けろや。リヴォリーターに倣え!」
残虐な敵を前にして、バーグスは改めて心に刻み込んだものを思い出した。
バーグス「…サニイ様の下に就いて……俺は戦い方を忘れていたのかもしれない。あの人と出会ってからは、あの人が全部解決してくれたからな………愚かな戦士だ。俺って奴は…!」
全身に緑のオーラを纏い、バーグスは立ち上がった。
バーグス「初心に帰った。死ぬまで喰らいついてやる…パングス!」
しかし、スクリュウは腕を横に振りきって肘のヒレでギルムを切りつけた。
ギルム「…!見た目以上に切れ味いいじゃねぇかよ…浅かったのが幸いだが、あれが不意打ちで飛んでくるとなれば……息つく暇はねぇな。」
スクリュウ「なんだよ、筋肉カチカチじゃねぇか。……只者じゃねぇ…それでも俺様には劣るがな!刃術:鰭割!」
するとスクリュウは身体中にヒレを生やして、ギルムに向けて突進した。
危険を察知したギルムは地を蹴って上に跳び上がり、刀に深碧のオーラを纏った。
ギルム「ファーマ、そいつの武装を脆くできるか?」
ファーマ「ああ!溶解毒の矢を使う!」
魔力で生成した矢を弓に装填して、スクリュウのヒレに撃ち込んだ。
スクリュウ「な、ヒレが傷む…!」
ギルム「勝負あったな!左眼開眼。剣術:禄千の竹林」
左の碧眼でスクリュウの急所を捉えながら空中で姿勢を整えて、ギルムは刀を振り降ろした。
その斬撃は深く入り、スクリュウは悲鳴をあげた。
スクリュウ「ギャァァァぁぁ!」
ファーマ「なぁギルム…あいつの様子…なんかおかしくないか?」
ギルム「そうだな。身構えとけ…本番が来る!」
スクリュウの身体は膨張し、叫び声は徐々に怪物の咆哮へと変化し、シーサーペントへの変身が完了した。
スクリュウ「許せねぇ……絶対に許さないぞ!悪魔、レジスター風情がぁ!」
シーサーペントとなったスクリュウは尻尾をドリルのように回転させて、上に持ち上げた。
スクリュウ「くたばれ!螺旋落とし!」
尻尾が階段を破壊すると足場は不安定に揺れ、極めつけには天井が崩れてきた。
ファーマ「嘘だろ?!デタラメな事しやがって……」
一方、半階層下でオクトパスと戦っているところでも、その被害は大きく出ていた。
萌愛「なにこれ!地面が凄く揺れてるんだけど!」
ゼディ「ファーマ達の戦いで上が崩れたようね。皆、落石に注意して!」
ゼディ達は落石が止むまで一旦逃げ回ろうと階段から離れるが、オクトパスは隙かさず廊下への入口を触手で塞いだ。
オクトパス「折角スクリュウが楽しくしてくれたんだ。逃がすわけないよなぁ!」
ゼディ「くっ……頭上に注意して交戦を続けるよ!」
中央階段3階層は慌ただしい戦況と様変わりした。
その頃、塔左側でも同様に激しい戦いによって壁や天井にヒビが入りつつあった。
パングス「おらおら食らえ!魔拳:スチームパンチ」
高熱の拳を連続で振りかざしながら前進してくるパングスに押されながらも、バーグスはガードを崩さずにエネルギー感知に集中した。
バーグス「今だラナカ!」
ラナカ「ええ!」
エネルギーの出力が弱まったその瞬間、バーグスの指示でラナカは剣に炎を纏って後ろから斬り掛かった。
ラナカ「剣術:ヒーティングブレi……かはっ!」
バーグス「ラナカ!」
しかし奇襲は失敗。パングスは振り向いてラナカを腕で払い、吹き飛ばした。
壁に叩きつけられたラナカに向けて、パングスは拳を突き出した。すると拳に熱が集中し、身体から蒸気が出てくる。
パングス「手間らじゃまだ早い。帰った帰った!魔術:スチームバーニング」
熱気を纏う拳で虚空を殴るとラナカに向けて火炎が放射され、爆発を起こした。その上、部屋中に煙が立ち込めて視界不良になった。
ラナカ「けほっけほっ……うぅ…身体が…熱い……」
パングス「ならば冷ましてやるよ。手間の全ての熱をなぁ!」
ラナカ「なっ…しまっ……ッ!」
火炎放射を受けてまともに動けないラナカにパングスは隙かさず近づき、追撃のスチームパンチをかました。
やがて煙が晴れると、バーグスとルゥリムはようやく前を向いた。すると、そこには全身が黒焦げになって地面に横たわるラナカの姿と、その隣に鎮座するバーグスの姿があった。
ルゥリム「……ッ!」
バーグス「まさか……ラナカ…」
2人はすぐに察した。彼女はもう助からない。完全に息の根を止められたと。
顔色が絶望で染まった2人に追い打ちをかけるかのように、パングスは口を開いた。
パングス「手間らは甘い。野生動物相手にしてんじゃねぇんだよ。悠長にしてたらその命…すぐ尽きちまうぞ?」
バーグス「……ッ!」
パングス「命懸けろや。リヴォリーターに倣え!」
残虐な敵を前にして、バーグスは改めて心に刻み込んだものを思い出した。
バーグス「…サニイ様の下に就いて……俺は戦い方を忘れていたのかもしれない。あの人と出会ってからは、あの人が全部解決してくれたからな………愚かな戦士だ。俺って奴は…!」
全身に緑のオーラを纏い、バーグスは立ち上がった。
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