思い付き短編集

神谷 絵馬

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本の虫と賢者様(兄)の、視点は(侍女)1

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「陛下?リュイ王子の世話役として、私の姪であるアイリスを呼んだ筈ですが...何故私の可愛い姪が兵に捕らえられているのでしょうか?」

顔は柔らかく微笑んでいるが、猛禽類のような鋭い目をした王妃陛下の問いに、王命により拘束した側の震え上がる兵士の残念なこと...だから止めとけとアイコンタクトしたでしょうに。

「王妃、この者はそなたの姪か??」

玉座にふんぞり返っているハゲ国王陛下の服装はどうにかならないものでしょうか?
視界に入れたくないのですが...どうしたら入れずに済みますかね?

「はい、先程も申しましたが?」

「王妃、この者は、賢者様をたぶらかした女子おなごなのだぞ?!
そのような者、捕らえて当然だろう!!」

まるで傷付いたと言わんばかりの国王陛下のなんと醜いこと...あの賢者様がたぶらかされることなどありえません。
むしろ、なかなか気づいてもらえずに、長年かけてやっとこさ口説きおとしたのですよ?

「賢者様をたぶらかした...?
馬鹿でアホでビッチで、ドロッドロに甘やかされた挙げ句に我が儘放題で傲慢な、どうしようもない前王妃の悪いところばかりを受け継いでしまった王女2人よりも、よっぽど賢者様に相応しいと思われますが??
まさか、あの王女達の為にアイリスを捕らえさせたなどとは言いやがりませんわよね?
たとえ貴方がこの国の陛下であろうと、そのようなアホな暴挙は許されませんよ?」

王妃陛下、いつもいつも私達の心の声を代弁してくださってありがとうございます。
あのキチガイな王女様方お2人は、確実にこの国王陛下の子供で間違いありません。
まるっとそっくりですから!

「な...何を言っておるのだ?!!」

「.........イシス伯母様?
イシス伯母様は、この国の王妃様だったのですか?
私、知りませんでした...。
では、変態クソジジイって、国王陛下のことだったのですね?
たしかに、変態ですね。」

縛られているとは言え、呆れるアイリス様のお可愛らしいこと...やはり、王妃陛下に似てらっしゃいますね。
お顔も、性格も、言葉使いも...不憫だわーっとでも言うように呆れたお顔をしつつも、シレッと罵るところが特に似ております!

「貴様!!何を!!
ワシをクソだのジジイだのと...!!」

クソジジイと呼ばれたことで相当屈辱にまみれたようで、顔を真っ赤にさせる国王陛下がとても面白いです。

「あ、変態は認めるんですね?
まぁ、その格好なら認めざるをえないですよね...。」

たしかに、変態ですよね...裸の上半身にマントを引っかけて、下半身は白いパッチにベージュの腹巻きしか身に付けてないんですよ?!
あ、靴と王冠はしてます。

「貴様!!」

「と言うか、貴様というのは目上の相手を敬う際に使われていた言葉ですので、私を敬っているともとれますね...まぁ、変態クソジジイ国王陛下にそんな意図はないのでしょうけど。
変態クソジジイとは言え、一国の王が、国民に対して使っても良いのでしょうか?」

「うるさい!!黙れ!!」

アイリス様の正論に反論出来ずに怒鳴り散らすだけの国王陛下を見ていると、もっとヤレ!と思ってしまいます。
なんて面白いのでしょう...戸惑う兵士の皆さんの中にも、肩を微かに震わせている方々がおりますもんね。

「それと、国王陛下は、私が賢者様をたぶらかしたと仰られましたが、賢者様をたぶらかしたのではありません。
本の所有権で揉めましたので、双方納得のいく答えが出るまで討論をさせていただきまして、丸く収まる方法が婚姻だっただけですが?
そもそも、賢者様が私の夫で問題ありますか?
神殿や議会の承認は得ておりますし、討論の際に婚姻しようと言い出したのは賢者様の方でしたよ?」

「賢者様はワシの1の姫との婚姻が決まって」

「ないですわね。
あらまぁ、腐っているのは脳ミソもですか?」

「おる...あぁ!!もう!!邪魔するでない!!
王妃、そなたは誰の味方なのだ!!」

そんなの、姪であるアイリス様の味方に決まってますよね?
聞かずとも分かると思うんですけど...まさか、妻なのだから夫の味方をしてくれるとでも思ってたんですかね?
え、婚姻済みの王妃陛下を王命を使って無理矢理に離縁させて、既に初夜も済ませていたことから神殿にての御祓みそぎを強要してまで婚姻結んどいて、味方してくれると思ってたとか、頭悪ぅー!





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