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妹が婚約することになったので、兄達が暗躍します。2
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「兄上、お帰りなさい。」
かなり飛ばしたのだろう、城から借りただろう馬が疲弊しまくっているな...厩番に美味しい人参を食べさせるように指示しておこう。
「クリス...美人になったな。」
城で時折会っていたのに、言葉だけ懐かしむようにおかしなことを言い出した...無表情過ぎるし、これは末期だな。
ミシェルに会わせてやりたいが、少し間をおいた方が良いだろう。
「そうですか?
フフフ、婚約の打診が来ましたから、そうなのかもしれませんね。」
指摘はしないでおこう。
取り敢えず、さっさと話し合いをしないと...母上もあまり起きていられないからな。
「王家はアホしかいないからな...いっそ滅んでしまえば良いものを。
あぁ、そう言えば、グレマス副団長から謝罪の手紙を預かった。」
おや、グレマス副団長からの手紙?どんな内容かが気になるな。
まさか、仕掛けがあったりは...
「グレマス・クウェスティン副団長は何も悪くないのに、わざわざ謝罪の手紙を?
ありがとうございます、後で読みますね。」
うん、特に何を仕掛けられているわけでも無さそうだし、後で読んでみようかな。
「あぁ、ミシェルの婚約について、詳しく聞かせてほしい。」
手紙は侍従に預けて自分の執務室に届けておいて貰おう。
さて、兄上?案内もなく階段を登ろうとしてますが、そっちじゃないんだけど?
「兄上、父上の執務室ではなくサロンにて待っておりますよ。
母上を仲間外れになど出来ませんから...ね?」
母上を仲間外れにしたことがバレたら、確実に拗ねる。
母上が口を聞いてくれなくなるのも嫌だし、過程が分かっていなくともミシェルも追随する恐れもあることだし、話し合いに参加してもらう方が無難だよね。
「...大丈夫なのか?」
兄上、もしかして忘れてる?
「えぇ、母上が動く前にこちらで動いてしまえば良いのですよ。
皆、母上とミシェルに関しては先回りして動いてくれますから...安心してください。」
家の使用人達の母上とミシェルに対する愛は計り知れないんだから、大丈夫大丈夫。
元聖女のマリジェラも側にいるし、専属の医師も呼んでおいたし。
「そうだったな...あぁ、ミシェル、婚約などしなくともずっとこの家にいれば良いのに。」
それは皆も思ってるよ。
まぁ、いつかは誰かに嫁ぐんだろうけど、政略とかではなくミシェルが愛する人に嫁げるのが理想なんだけどね。
「相手の態度次第では?」
こっちで精査してさっさと潰す方が良いと思うんだけど、まだ幼いから矯正出来るとか言われそうで...決定的になってからじゃミシェルの評判に傷がつくんだけど、そんなことどうでも良いんだろうね。
臣下のことを嘗めてるとしか思えないよね。
「そうだな...あぁ、側近についてもだが、近衛騎士団にも辞表を出してきた。
暫くは荒れるだろうな...アイツラの自業自得なんだが、この家にも煩く集る筈だ。」
あ、予想通り近衛騎士団も辞めてきたんだ?
「あぁ、それならば既に対処してありますからきっと来ませんよ。
余程の馬鹿じゃない限りは...。」
早めに手を打っておいて良かった。
やっぱり、暴れたんだろうなぁ...近衛騎士団に属している軍馬で帰ってきたからまさか辞めてないのかと焦ったけど、鞍がついてなかったから少し安心したんだ。
それにしても、あの軍馬、かなりの暴れ馬だって聞いた馬にそっくりなんだけど、鞍無しで乗れるとか尊敬するよ。
「そうか...馬鹿でもアホでもないことを祈るか。」
別に、馬鹿でアホでも良いんだけど?
「いえ、熊太郎も熊次郎も熊子も熊美も熊助も楽しみに待ってますから、来てくださっても良いんですよ?」
皆、爪を研いでヤル気満々で待ってるんだよね。
諸々をグレイブスが聞いちゃったみたいで、あの子達にも教えちゃったんだよなぁ...使用人達の結束が固いのは嬉しいが、5頭で爛々とした目で爪研ぎしてるのはなかなかに怖かったよ?
そう言えば、誰なんだろう?
あの子達にガラス製の爪やすりをあげたのは。
「クリス、熊助とは初耳なのだが、増えたのか?」
嬉しそうだね、兄上って意外と動物好きだよね。
微かだけど、表情が現れてきてくれて嬉しいよ。
「はい、熊太郎と熊美の子供です。
ミシェルを背に乗せて、よく遊んでくれていますよ?」
熊助は、使用人達にも優しい子なんだ。
使用人に軟派野郎が絡んでいた時には、その軟派野郎のお尻にカジリついてなかなか離さなかったし、転けそうな子がいれば下敷きになりに行くしね。
「そうか...子熊の頃に見たかったな。」
熊助はもう大人の体格だから、子熊とは言えないか...戦力として数えちゃうもんなぁ。
「あぁ、サロンに熊次郎と熊子の子供がいますから、後で会わせますね。
ん?あ、兄上!あの子が熊代です。
熊代、迎えに来てくれたのか?」
少し落ち込んだ様子の兄上に、朗報。
熊代ならばまだまだ子熊だよ?
ほら、サロンの扉からヒョコッと見てるのが熊代。
[クゥォッ!]
兄上の周りをクルクル回って一声。
「はい、兄上、兄上の匂いを嗅がせてください。
熊代、この人が兄上だ。」
あ、そっか...兄上には初めて会うから戸惑ってるのか。
[クゥォッ?クキュァ!]
兄上に抱っこしてもらって、満足気な熊代。
「ふふふ、気に入った?
兄上、暫く抱っこしててやってもらえますか?」
兄上の胸にダラリと頭を預けて、気を抜いてる感じが可愛い。
「あぁ、子熊も可愛らしいな。」
熊代の背中をポンポンとして、熊代の頭に頬を寄せる兄上も癒されてるなら良いんだけど。
「爪には気を付けてくださいね。」
子熊の爪も意外と鋭くて危険だからなぁ。
*
かなり飛ばしたのだろう、城から借りただろう馬が疲弊しまくっているな...厩番に美味しい人参を食べさせるように指示しておこう。
「クリス...美人になったな。」
城で時折会っていたのに、言葉だけ懐かしむようにおかしなことを言い出した...無表情過ぎるし、これは末期だな。
ミシェルに会わせてやりたいが、少し間をおいた方が良いだろう。
「そうですか?
フフフ、婚約の打診が来ましたから、そうなのかもしれませんね。」
指摘はしないでおこう。
取り敢えず、さっさと話し合いをしないと...母上もあまり起きていられないからな。
「王家はアホしかいないからな...いっそ滅んでしまえば良いものを。
あぁ、そう言えば、グレマス副団長から謝罪の手紙を預かった。」
おや、グレマス副団長からの手紙?どんな内容かが気になるな。
まさか、仕掛けがあったりは...
「グレマス・クウェスティン副団長は何も悪くないのに、わざわざ謝罪の手紙を?
ありがとうございます、後で読みますね。」
うん、特に何を仕掛けられているわけでも無さそうだし、後で読んでみようかな。
「あぁ、ミシェルの婚約について、詳しく聞かせてほしい。」
手紙は侍従に預けて自分の執務室に届けておいて貰おう。
さて、兄上?案内もなく階段を登ろうとしてますが、そっちじゃないんだけど?
「兄上、父上の執務室ではなくサロンにて待っておりますよ。
母上を仲間外れになど出来ませんから...ね?」
母上を仲間外れにしたことがバレたら、確実に拗ねる。
母上が口を聞いてくれなくなるのも嫌だし、過程が分かっていなくともミシェルも追随する恐れもあることだし、話し合いに参加してもらう方が無難だよね。
「...大丈夫なのか?」
兄上、もしかして忘れてる?
「えぇ、母上が動く前にこちらで動いてしまえば良いのですよ。
皆、母上とミシェルに関しては先回りして動いてくれますから...安心してください。」
家の使用人達の母上とミシェルに対する愛は計り知れないんだから、大丈夫大丈夫。
元聖女のマリジェラも側にいるし、専属の医師も呼んでおいたし。
「そうだったな...あぁ、ミシェル、婚約などしなくともずっとこの家にいれば良いのに。」
それは皆も思ってるよ。
まぁ、いつかは誰かに嫁ぐんだろうけど、政略とかではなくミシェルが愛する人に嫁げるのが理想なんだけどね。
「相手の態度次第では?」
こっちで精査してさっさと潰す方が良いと思うんだけど、まだ幼いから矯正出来るとか言われそうで...決定的になってからじゃミシェルの評判に傷がつくんだけど、そんなことどうでも良いんだろうね。
臣下のことを嘗めてるとしか思えないよね。
「そうだな...あぁ、側近についてもだが、近衛騎士団にも辞表を出してきた。
暫くは荒れるだろうな...アイツラの自業自得なんだが、この家にも煩く集る筈だ。」
あ、予想通り近衛騎士団も辞めてきたんだ?
「あぁ、それならば既に対処してありますからきっと来ませんよ。
余程の馬鹿じゃない限りは...。」
早めに手を打っておいて良かった。
やっぱり、暴れたんだろうなぁ...近衛騎士団に属している軍馬で帰ってきたからまさか辞めてないのかと焦ったけど、鞍がついてなかったから少し安心したんだ。
それにしても、あの軍馬、かなりの暴れ馬だって聞いた馬にそっくりなんだけど、鞍無しで乗れるとか尊敬するよ。
「そうか...馬鹿でもアホでもないことを祈るか。」
別に、馬鹿でアホでも良いんだけど?
「いえ、熊太郎も熊次郎も熊子も熊美も熊助も楽しみに待ってますから、来てくださっても良いんですよ?」
皆、爪を研いでヤル気満々で待ってるんだよね。
諸々をグレイブスが聞いちゃったみたいで、あの子達にも教えちゃったんだよなぁ...使用人達の結束が固いのは嬉しいが、5頭で爛々とした目で爪研ぎしてるのはなかなかに怖かったよ?
そう言えば、誰なんだろう?
あの子達にガラス製の爪やすりをあげたのは。
「クリス、熊助とは初耳なのだが、増えたのか?」
嬉しそうだね、兄上って意外と動物好きだよね。
微かだけど、表情が現れてきてくれて嬉しいよ。
「はい、熊太郎と熊美の子供です。
ミシェルを背に乗せて、よく遊んでくれていますよ?」
熊助は、使用人達にも優しい子なんだ。
使用人に軟派野郎が絡んでいた時には、その軟派野郎のお尻にカジリついてなかなか離さなかったし、転けそうな子がいれば下敷きになりに行くしね。
「そうか...子熊の頃に見たかったな。」
熊助はもう大人の体格だから、子熊とは言えないか...戦力として数えちゃうもんなぁ。
「あぁ、サロンに熊次郎と熊子の子供がいますから、後で会わせますね。
ん?あ、兄上!あの子が熊代です。
熊代、迎えに来てくれたのか?」
少し落ち込んだ様子の兄上に、朗報。
熊代ならばまだまだ子熊だよ?
ほら、サロンの扉からヒョコッと見てるのが熊代。
[クゥォッ!]
兄上の周りをクルクル回って一声。
「はい、兄上、兄上の匂いを嗅がせてください。
熊代、この人が兄上だ。」
あ、そっか...兄上には初めて会うから戸惑ってるのか。
[クゥォッ?クキュァ!]
兄上に抱っこしてもらって、満足気な熊代。
「ふふふ、気に入った?
兄上、暫く抱っこしててやってもらえますか?」
兄上の胸にダラリと頭を預けて、気を抜いてる感じが可愛い。
「あぁ、子熊も可愛らしいな。」
熊代の背中をポンポンとして、熊代の頭に頬を寄せる兄上も癒されてるなら良いんだけど。
「爪には気を付けてくださいね。」
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