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妹が婚約することになったので、兄達が暗躍します。1
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「クリス、君に婚約の打診がきた。」
は?婚約の打診?
「まぁ、どこの方からですの?」
母上、なんで乗り気なんですか?
頬を桃色に染めて、喜ばないでください。
「クウェスティン公爵家のご次男、グレマス殿だ。」
あぁ、兄上よりも歳上か...それならば知らないんだろうな。
兄上よりも歳下なら知ってる筈だし。
「あらまぁ、近衛騎士団の副団長ではありませんか!
まぁ!良いご縁ですわね!!」
本当に可愛らしいのですが、少女のように無邪気に喜ばないでください。
「本当に言っておられますか?母上?」
そろそろ正気に戻ってくださいね。
「えぇ、王城にて困っていたところを幾度か助けていただきましたし、聞こえてくるお噂でも、グレマス・クウェスティン副団長はとても良いお方ですもの。」
えぇ、グレマス・クウェスティン副団長はとても良い方ですが、ほら、思い出してください?無理でしょう?
「お忘れのようですが、私、嫁げませんよ?」
母上が忘れてどうするんです?
貴女が産んだんですよ?
「え?...あ!そうだったわね...あなた男だったわ!
愛らしいからついつい間違えてしまうのよね...ごめんなさい。」
顔をまじまじと見つめて、ウフフと笑いながら頬を擦り寄せるのは止めてください。
どこぞの誰かしらに、姉妹だと勘違いされるでしょう!
あ、ここは家だから勘違いするアホはいないのか...うん、メイド達がキャッキャするくらいで、実害はないから無視しよう。
「髪も短くしているのに、ドレスを着ている訳でも無いのに、何故間違われてしまうのか...分かりません。」
角刈りは似合わないからとボツにされたし、父上と同じオールバックとやらも却下されたし...女性ではあり得ない短さなのに、これ以上どうしたら良いのか。
母上に似たことは嬉しいが、もう少し筋肉が欲しかったかな。
父上や兄上と同じスーツを着ていても間違われるなんて、寂しすぎる。
「クリス、安心してくれ。
公爵閣下にはきちんと説明してある。
その、政略での話でもあったためミシェルを嫁がせることにはなるが、あちらの四男であるカイル殿も評判は良い。」
げ、政略か...王命とか出されたら面倒なことになるな。
ミシェルを嫁がせるなんて考えたくもないが、仕方ない...ん?四男のカイル?
「あぁ、たしかにカイル殿の評判は良いですが、女を毛嫌いしていると聞いておりますが?
ミシェルを嫁がせるまでに治るのでしょうか?
そもそも、婚約の間に酷い扱いをされるのでは?
ミシェルが泣くのは見ていたくありませんよ?」
女を毛嫌いしているとか聞いたけど、大丈夫なのか?
親に勝手に決められたと腹を立てて、ミシェルに酷い態度をとるかもしれないじゃないか。
「ははは!そこも安心してくれ。
まだ幼いことを理由として、暫くは保護者同伴でのみのお茶会とすることとなった。
ただ、私も行く予定ではあるが毎回は難しい。
クリス、仕事が休みの日はお前も行ってくれるか?」
父上、暫くと言わず婚姻までそうしましょう。
評判は良いということは、取り繕うのも上手いということ...保護者がいなくなってから本性を現すかもしれないから、陰でこそこそ色々と試させてもらおう。
ハニートラップもしかけてみようか...?
「えぇ、ミシェルの為ならば構いませんよ。
父上が難しい日は、私が行きます。」
可愛い妹のためなら、仕事を休んでも構わない。
ただ、奴等が文句など言えないように、ある程度は先回りして片付けておこう。
「ありがとう。
シュリスは王太子の側近をさせられているから無理だろうな...知らせるのが億劫だ。」
あ、もう知らせてもらってますけど?
「兄上なら、これ幸いと側近を辞めてくるのでは?」
もう爆発している頃だろうな...早く帰ってこないかな?
兄上が帰ってきたらミシェルが喜ぶんだけど。
「まぁ!シュリスに知らせをやらなくては!」
ははは!母上、大丈夫ですよ?もう知らせてますから。
「母上、フェルが向かっておりますよ?」
さ、座っててください。
今、母上が出迎えたりしたら兄上が心配してしまいますからね。
「あら、早かったのね?ありがとう。」
これくらい当然のことです。
「さっさと兄上を取り戻しませんと、何を仕出かすか...。
妃殿下の我が儘を聞くのもそろそろ限界でしょうし、2年もミシェルに会えていないんですよ?
そろそろ禁断症状が出ているでしょうからね。
それにしても、きちんと説明してある筈なのに、王太子殿下も兄上をまだ離してくださらないなんて...もう少し締め付けても大丈夫ってことかな?」
国庫は既に殆ど空のくせに見栄ばかり張ろうとしやがる王族を守ってやってるってのに、文句ばかり言いやがって...責務をまともに果たさずに贅沢ばかりしようとするのは馬鹿なんだろうな。
そろそろもう一段階、締め付けを苦しくしてやろうかな。
王族予算を減らすだけじゃあ殆ど意味無いからなぁ...。
本来は国庫から出す筈なのに、5大公爵家が持ち回りで出してるんだぞ?
経済を回すためとか言ってはいたが、毎月ドレスを10着新調するとかアホかよ。
一先ず5着に減らして、それにやっと慣れたっぽいし?
今度は3着に減らして、尚且つ1着にかけられる予算を削ろうか。
王城に雇われているのは優秀な人材ばかりなんだから、無駄に人件費を削るよりもこっちから削らないとな。
あ、宝飾品も上限を見直さないと...よし、所持できるのは5セットまでにしようか。
「クリス?ミシェルに見せられない顔をしてますわよ?」
母上、母上も楽しそうですけど?
「あ、そうですか?
フフフ、楽しくなりそうですね。」
今までも散々、国民からの税金で贅沢してきたんだ。
一度味わってしまえば、贅沢病ってのは治らないんだろうな...まぁ、国庫が回復してからもこっちで管理してやろう。
王族共には管理能力が無いらしいし、敬う気持ちすら消え去ってしまったなぁ。
*
は?婚約の打診?
「まぁ、どこの方からですの?」
母上、なんで乗り気なんですか?
頬を桃色に染めて、喜ばないでください。
「クウェスティン公爵家のご次男、グレマス殿だ。」
あぁ、兄上よりも歳上か...それならば知らないんだろうな。
兄上よりも歳下なら知ってる筈だし。
「あらまぁ、近衛騎士団の副団長ではありませんか!
まぁ!良いご縁ですわね!!」
本当に可愛らしいのですが、少女のように無邪気に喜ばないでください。
「本当に言っておられますか?母上?」
そろそろ正気に戻ってくださいね。
「えぇ、王城にて困っていたところを幾度か助けていただきましたし、聞こえてくるお噂でも、グレマス・クウェスティン副団長はとても良いお方ですもの。」
えぇ、グレマス・クウェスティン副団長はとても良い方ですが、ほら、思い出してください?無理でしょう?
「お忘れのようですが、私、嫁げませんよ?」
母上が忘れてどうするんです?
貴女が産んだんですよ?
「え?...あ!そうだったわね...あなた男だったわ!
愛らしいからついつい間違えてしまうのよね...ごめんなさい。」
顔をまじまじと見つめて、ウフフと笑いながら頬を擦り寄せるのは止めてください。
どこぞの誰かしらに、姉妹だと勘違いされるでしょう!
あ、ここは家だから勘違いするアホはいないのか...うん、メイド達がキャッキャするくらいで、実害はないから無視しよう。
「髪も短くしているのに、ドレスを着ている訳でも無いのに、何故間違われてしまうのか...分かりません。」
角刈りは似合わないからとボツにされたし、父上と同じオールバックとやらも却下されたし...女性ではあり得ない短さなのに、これ以上どうしたら良いのか。
母上に似たことは嬉しいが、もう少し筋肉が欲しかったかな。
父上や兄上と同じスーツを着ていても間違われるなんて、寂しすぎる。
「クリス、安心してくれ。
公爵閣下にはきちんと説明してある。
その、政略での話でもあったためミシェルを嫁がせることにはなるが、あちらの四男であるカイル殿も評判は良い。」
げ、政略か...王命とか出されたら面倒なことになるな。
ミシェルを嫁がせるなんて考えたくもないが、仕方ない...ん?四男のカイル?
「あぁ、たしかにカイル殿の評判は良いですが、女を毛嫌いしていると聞いておりますが?
ミシェルを嫁がせるまでに治るのでしょうか?
そもそも、婚約の間に酷い扱いをされるのでは?
ミシェルが泣くのは見ていたくありませんよ?」
女を毛嫌いしているとか聞いたけど、大丈夫なのか?
親に勝手に決められたと腹を立てて、ミシェルに酷い態度をとるかもしれないじゃないか。
「ははは!そこも安心してくれ。
まだ幼いことを理由として、暫くは保護者同伴でのみのお茶会とすることとなった。
ただ、私も行く予定ではあるが毎回は難しい。
クリス、仕事が休みの日はお前も行ってくれるか?」
父上、暫くと言わず婚姻までそうしましょう。
評判は良いということは、取り繕うのも上手いということ...保護者がいなくなってから本性を現すかもしれないから、陰でこそこそ色々と試させてもらおう。
ハニートラップもしかけてみようか...?
「えぇ、ミシェルの為ならば構いませんよ。
父上が難しい日は、私が行きます。」
可愛い妹のためなら、仕事を休んでも構わない。
ただ、奴等が文句など言えないように、ある程度は先回りして片付けておこう。
「ありがとう。
シュリスは王太子の側近をさせられているから無理だろうな...知らせるのが億劫だ。」
あ、もう知らせてもらってますけど?
「兄上なら、これ幸いと側近を辞めてくるのでは?」
もう爆発している頃だろうな...早く帰ってこないかな?
兄上が帰ってきたらミシェルが喜ぶんだけど。
「まぁ!シュリスに知らせをやらなくては!」
ははは!母上、大丈夫ですよ?もう知らせてますから。
「母上、フェルが向かっておりますよ?」
さ、座っててください。
今、母上が出迎えたりしたら兄上が心配してしまいますからね。
「あら、早かったのね?ありがとう。」
これくらい当然のことです。
「さっさと兄上を取り戻しませんと、何を仕出かすか...。
妃殿下の我が儘を聞くのもそろそろ限界でしょうし、2年もミシェルに会えていないんですよ?
そろそろ禁断症状が出ているでしょうからね。
それにしても、きちんと説明してある筈なのに、王太子殿下も兄上をまだ離してくださらないなんて...もう少し締め付けても大丈夫ってことかな?」
国庫は既に殆ど空のくせに見栄ばかり張ろうとしやがる王族を守ってやってるってのに、文句ばかり言いやがって...責務をまともに果たさずに贅沢ばかりしようとするのは馬鹿なんだろうな。
そろそろもう一段階、締め付けを苦しくしてやろうかな。
王族予算を減らすだけじゃあ殆ど意味無いからなぁ...。
本来は国庫から出す筈なのに、5大公爵家が持ち回りで出してるんだぞ?
経済を回すためとか言ってはいたが、毎月ドレスを10着新調するとかアホかよ。
一先ず5着に減らして、それにやっと慣れたっぽいし?
今度は3着に減らして、尚且つ1着にかけられる予算を削ろうか。
王城に雇われているのは優秀な人材ばかりなんだから、無駄に人件費を削るよりもこっちから削らないとな。
あ、宝飾品も上限を見直さないと...よし、所持できるのは5セットまでにしようか。
「クリス?ミシェルに見せられない顔をしてますわよ?」
母上、母上も楽しそうですけど?
「あ、そうですか?
フフフ、楽しくなりそうですね。」
今までも散々、国民からの税金で贅沢してきたんだ。
一度味わってしまえば、贅沢病ってのは治らないんだろうな...まぁ、国庫が回復してからもこっちで管理してやろう。
王族共には管理能力が無いらしいし、敬う気持ちすら消え去ってしまったなぁ。
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