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お好きにどうぞ?私も好きにしますから。1
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「きっと生きて帰ってくる。
だから、どうか待っていてほしい。
帰ってきたら、俺と結婚しよう。」
何を言っているのでしょうか?
馬鹿なんですか?
あぁ、馬鹿でしたねぇ...このクズ野郎ったら、本当に忘れっぽいんだから困ってしまうわ。
取り敢えずお答えしませんとねぇ?
「嫌です。
貴方がどうしても行くと言うのならば、私のことはどうぞお忘れくださいませ。
私も貴方のことは綺麗さっぱり忘れて、他の幸せを探させていただきますわ。」
「え...??」
「それでは、お気を付けて行ってらっしゃいませ。
私も出立の支度をせねばなりませんので、これで失礼させていただきます。」
さ、話しは終わりで良いでしょうし、私も出立の準備をしに行きましょう!
ハァー、この馬鹿との婚約を決められてからはこの村を出られるなんて思ってもいなかったのよねー。
ウフフ、とてもワクワクするわ。
どんな旅になるのかしら...本当に楽しみ!
──────────
side 剣士(3)
どうして?
え?俺は、今何を言われたんだ?
嫌?忘れろ?他の幸せ?
「ソフィア...俺の出世を祝福してはくれないのか?」
「しないだろうねぇー。」
「なっ?!」
家に向かい歩いていくソフィアを見つめながら呆然としていると、俺が入ることとなった勇者率いるパーティーの盗賊が、いつの間にか背後にいた。
忍び寄るのはやめてくれ!
「村の人に聞いたけどさ?
あの子の意思とかは無視して、
『村の為に力を使わないと殺すぞ!』
って脅して婚約してたんでしょ?
ソフィアさんが結界師の娘で、本人にも結界師としての力があったからってさ?
4歳という幼子を婚約という一見は綺麗な契約で縛り付けて、しかもきちんとした結界師としての教育を受けさせていないなんて無謀だよねー。」
結界師の教育機関は6歳からで、王都にしかない。
ソフィアは、教えられていなくとも力を使えているんだから問題はない筈だ!
「ソフィアは、俺の気持ちを受け入れてくれたんだ!」
「いやいや、守ってくれる親が死んじゃって、村人総出で迫ったんでしょ?
そもそも、受け入れないと殺されるんじゃーん。」
『そりゃあ怖いってー!』
と、ケラケラと楽しそうに笑い、けれどもいつもは閉じている目をしっかりと開いてこちらを見ている盗賊に、何故だか寒気がした。
「あ、そう言えば、俺パーティー抜けることになったからー。
盗み聞きみたいになっちゃったけど、本当はこれを伝えたかったんだよねー!」
「は?パーティーを抜ける?」
「うん!抜けるよー。
意見の相違ってやつ?
剣士が3人は多すぎだって意見したらさ?嫌なら抜けろってー。」
確か...聖剣を持つ勇者を含めて剣士が2人、回復役の治癒師が2人、遠距離攻撃が可能な魔術師が1人、罠解除や地図製作や斥候などを行う盗賊が1人。
治癒師は男女1人ずつで、女の方は聖女候補だと言っていたか?
結界師や格闘家はいなかった筈。
「君の剣士としての力量は認めているんだけどね?
うちのパーティーは、俺もそうなんだけど近距離ばっかりでしょ?
遠距離攻撃を出来る人が少なすぎるんだよねー。
戦闘の際に、1人で頑張ってる魔術師が可哀想でさ?」
「それは、確かに大変かもしれないな...。」
後衛になる魔術師は、非戦闘員である治癒師2人を守らなければならないから...あまり遠距離での攻撃が出来ないのかもしれない。
結界師がいれば治癒師を結界師に任せられるが...ソフィアはこの村を守らなければならないし、誘えない。
それに、ソフィアがここで帰りを待っていてくれると思えばこそ、頑張れる。
*
だから、どうか待っていてほしい。
帰ってきたら、俺と結婚しよう。」
何を言っているのでしょうか?
馬鹿なんですか?
あぁ、馬鹿でしたねぇ...このクズ野郎ったら、本当に忘れっぽいんだから困ってしまうわ。
取り敢えずお答えしませんとねぇ?
「嫌です。
貴方がどうしても行くと言うのならば、私のことはどうぞお忘れくださいませ。
私も貴方のことは綺麗さっぱり忘れて、他の幸せを探させていただきますわ。」
「え...??」
「それでは、お気を付けて行ってらっしゃいませ。
私も出立の支度をせねばなりませんので、これで失礼させていただきます。」
さ、話しは終わりで良いでしょうし、私も出立の準備をしに行きましょう!
ハァー、この馬鹿との婚約を決められてからはこの村を出られるなんて思ってもいなかったのよねー。
ウフフ、とてもワクワクするわ。
どんな旅になるのかしら...本当に楽しみ!
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side 剣士(3)
どうして?
え?俺は、今何を言われたんだ?
嫌?忘れろ?他の幸せ?
「ソフィア...俺の出世を祝福してはくれないのか?」
「しないだろうねぇー。」
「なっ?!」
家に向かい歩いていくソフィアを見つめながら呆然としていると、俺が入ることとなった勇者率いるパーティーの盗賊が、いつの間にか背後にいた。
忍び寄るのはやめてくれ!
「村の人に聞いたけどさ?
あの子の意思とかは無視して、
『村の為に力を使わないと殺すぞ!』
って脅して婚約してたんでしょ?
ソフィアさんが結界師の娘で、本人にも結界師としての力があったからってさ?
4歳という幼子を婚約という一見は綺麗な契約で縛り付けて、しかもきちんとした結界師としての教育を受けさせていないなんて無謀だよねー。」
結界師の教育機関は6歳からで、王都にしかない。
ソフィアは、教えられていなくとも力を使えているんだから問題はない筈だ!
「ソフィアは、俺の気持ちを受け入れてくれたんだ!」
「いやいや、守ってくれる親が死んじゃって、村人総出で迫ったんでしょ?
そもそも、受け入れないと殺されるんじゃーん。」
『そりゃあ怖いってー!』
と、ケラケラと楽しそうに笑い、けれどもいつもは閉じている目をしっかりと開いてこちらを見ている盗賊に、何故だか寒気がした。
「あ、そう言えば、俺パーティー抜けることになったからー。
盗み聞きみたいになっちゃったけど、本当はこれを伝えたかったんだよねー!」
「は?パーティーを抜ける?」
「うん!抜けるよー。
意見の相違ってやつ?
剣士が3人は多すぎだって意見したらさ?嫌なら抜けろってー。」
確か...聖剣を持つ勇者を含めて剣士が2人、回復役の治癒師が2人、遠距離攻撃が可能な魔術師が1人、罠解除や地図製作や斥候などを行う盗賊が1人。
治癒師は男女1人ずつで、女の方は聖女候補だと言っていたか?
結界師や格闘家はいなかった筈。
「君の剣士としての力量は認めているんだけどね?
うちのパーティーは、俺もそうなんだけど近距離ばっかりでしょ?
遠距離攻撃を出来る人が少なすぎるんだよねー。
戦闘の際に、1人で頑張ってる魔術師が可哀想でさ?」
「それは、確かに大変かもしれないな...。」
後衛になる魔術師は、非戦闘員である治癒師2人を守らなければならないから...あまり遠距離での攻撃が出来ないのかもしれない。
結界師がいれば治癒師を結界師に任せられるが...ソフィアはこの村を守らなければならないし、誘えない。
それに、ソフィアがここで帰りを待っていてくれると思えばこそ、頑張れる。
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