思い付き短編集

神谷 絵馬

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私、王女なんですけど?9

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「お前の姉は、聖女を騙る魔女であったから討伐されたのだろう?
お前を頂いたときに、リガルヴォルド国王からはそう聞いている。」

あぁ?!頂いたとか正当化しやがって、ヘドが出るわ...。
アンタはただ言われるままに汚しただけじゃない。
拘束具を用いて動けないようにされて、殴って蹴って意識を奪われて、それでも、お母様は必死に抵抗をしていたわ。
それも虚しくアンタに汚されたお母様は、身体を...魂を...浄化する為にかなり辛い思いをしたのよ?!

「...お姉様は、リガルヴォルド国王の求婚を断ったことで殺されましたの。
聖女は婚姻出来ませんのに...リガルヴォルド国王は、聖域にいるお姉様には手を出せないからと...お姉様を誘い出す為だけに、聖域近隣の村や町へと攻めこんで来られましたわ。
老若男女問わず、殺戮の限りを尽くされて......人々を守るためにとリガルヴォルド国王の前に現れたお姉様の身を汚そうとなさいましたのよ?!
ですから、お姉様は自害なさいましたの。

聖女の妹であり聖女を生む聖母という立場である私のことも...貴方という協力者を用いて汚してくださいましたわ。
ただ、聖域を手に入れる為に、私達の力を削ごうとなさいましたの...許されることではありませんわ。」

私、生れたての頃から様々な時代を生きた聖女の記憶を持ってたんですよねー。
だから、伯母様の記憶も持ってるの......。
伯母様、可愛い妹を汚されたこと、かなり怒ってるんだからね?
アンタ、リガルヴォルド国王と共に呪いをかけられてるのに気付いてないの?

「な?!」

あー、これは気付いてなさそう。
王族の子が生まれないのは神罰が神様より下ったからで、同じ呪いをかけようとしていた伯母様は仕方なく違う呪いをかけましたのよ。
食べた分ちゃーんと肥っていって、どれだけ運動しても、食べないようにしても、痩せないって呪いをかけたのよねー。
アンタは元々巨漢だったから分かりにくい呪いですけど、リガルヴォルド国王は筋骨粒々の美丈夫だったの。
どんどんと醜く肥っていって、自分の重みで苦しんで死ねば良いのよ!!

「あぁ、そうそう...貴方が自分の子供だと勘違いなさっているこの子達は、貴方の子供ではありませんわ。
聖母である私は、聖女の父となれる素質を持つ者としか子を成せませんの。」

そうそう。
アンタは私達を自分の子供かのように振る舞ってるけど、アンタの子供じゃないのよ?

「お母様、もう良いのかしら?」

腹が立つけど誤解させたままにしてたのに、今その事を話したってことは...もう良いのよね?

「えぇ、構いませんわ!」

はい、お母様の許可が出ました!

「白虎ー!
お母様の許可も出ましたし、お父様を返してくださいませね?」

聖女を生む聖母なのだからと、汚されても自害せずに耐えてきたお母様。
支えてきたお父様の存在も大きいのかもしれないけど、とても強い人よね。
それに、塔にまで閉じ込められて辛かった筈。
だからこそ、そろそろ愛する人との幸せを体感してほしいわ。
それに、私達も会いたいしね。

-ん?あぁ、はいはい。
分かった分かった。
出ます出ます。-

白虎に呼びかけると、ふんぞり返っている馬鹿の息子達の後ろに控えていたお父様がこちらに歩み出しました。
そう言えば、白虎って、なんで2回言うんでしょう?
とても不思議だわ。

「む?あぁ、もう良いのですか?
おや?ソフィア...可愛い顔が台無しですよ?
ほら、子供達も心配しているのですから、笑って?」

ニュルンッとお父様の身体から抜け出た白虎をキラキラの笑顔で抱き締めて、身体をくねらせてお父様の腕から抜け出ようとしている白虎をむんずと掴んで離さないお父様、流石ですわ。
白虎、一時期とは言え身体を借りてたんだし、どうぞ、大人しくモフられてくださいませね。
それにしても、話し方は相変わらずほんわりしてるなぁ...。
そして、人畜無害な童顔も変わらないわ。
私達と同じ歳だと言われても疑わないくらいに童顔なのよねー。





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