思い付き短編集

神谷 絵馬

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めでたくないけど...お姫様になりました。2

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「ファレリアお姉様、後ろを向いてて大丈夫なのですか?」

「ウフフ、大丈夫よ?
いつも侍女のメアリと通っているからちゃんと覚えているわ。
あ、少し頭を縮めてくれる?
そう、ありがとう。
頭の辺りにも罠があって、たしか...あそこには槍の罠があるのよ。
一度触れてしまうと槍が追い掛けてくるのよー...まぁ、壊すまで、なんだけどね?」

後ろを向いて歩くファレリアお姉様が心配で声をかけたら、あら心配性ね?と、ほっぺをプニプニとされてしまった。
しかも怖い話しまで...壊すまで追い掛けてくる槍とか怖いよ!
え、というか王族用の秘密の通路に罠とか必要かな?
いやいや、いらなくね?!

「はい!到着ぅー。
ここをこうして...ここがこうで...こことここがこうなりまして、はい!ご開帳ぉー!」

「...おぉ。」

何度か指示されたとおりに動いていたら、出口についていたみたい。
くるりと振り返ったファレリアお姉様が、なにやら、ガッションビィーンゴゴゴゴッと、妙な音を立てながら仕掛けを解いていってるんだけど...え?それ、絵合わせパズルだったの??
いつの間にか、狼の絵がが完成している。
仕掛けを解いていた時とは違い特に音はせず地味に開いた、大きな扉の一部にある小さい扉。
えっと、カモフラージュ...なのかな?
あたしが余裕で通れるくらいの高さで、多分エルフの人達なら屈まないと通れない筈。
うーん、あたしは楽に通れる高さみたいだけど...少し複雑。
だって、あたしが小さいってことでしょ?!

「ここを通ったら、貴族街の外に出られるわ!
さぁ、行きましょ?」

「はい!」

2人で手を繋いで、先に背を丸めたファレリアお姉様から通るんだけど、うん、なんとなく少し頭を縮めてしまったけれど、普通にかすることもなく楽々通れちゃったよ。
うん、かなり楽に通れちゃったね...悲しいな。
通った後にフゥーと、安堵の息を吐いたファレリアお姉様には悪いなと思うけど、あたしは普通に通れちゃったのよ...。

「あらあら、そこにいるのはファリー?!
まぁ!もしかして、そっちは噂の妹さん??
あらまぁ!なんて可愛らしいの!!」

「あ、ミュリーおばさん、こんにちは!
そうなの!この子が私の妹のマキちゃんよ!
ね?すっごく可愛いでしょ?」

ファレリアお姉様?妹じゃなくて、あたしは従姉妹でしょ!
と言うか、この女性は誰なの??
とても優しそうな人なんだけど、いつの間にかグラマラスなお胸と見た目からは想像出来ない程に力強い腕でホールドされてるのは何故?

「えぇ、えぇ!とっても可愛らしいわ!
マキちゃんは幾つなの?」

「22歳よ!」

「おやまぁ!なら、この子はもう成人しているのかい?!
こんなにも可愛らしいのにねぇ...人族って不思議だわ。」

スレンダーな女性が多いエルフ族なのに、グラマラスなお胸をお持ちの貴女も不思議なんだけど?
それと、何故におばちゃん口調なの?
麗しい見た目に、全然似合ってないよ?
そして、あのぉ...少し苦しいから、そろそろ離してほしいんだけど...駄目?

「ミュリーおばさんには教えておくけど、マキちゃんは、聖女様なのよ?」

「ファレリアお姉様?!」

「華奢な女の子とは聞いていたけど、本当にか弱い女の子だったんだねぇ...可哀想に。
突然拉致されて、魔王と戦えなんて強要されて、さぞや怖かっただろうに。」

「えっと...?」

「あ、マキちゃん、大丈夫よ!
ミュリーおばさんは、私の乳母だった方で、今回のお忍びの協力者なのよ!」

「今回の...じゃなくて、いつもでしょ??」

あ、そっか...知らない間にお忍びとかをされるとかなり迷惑だから、お忍びに最大限に協力するからと合意の上で隠した護衛を付けるわけね!
自分の乳母をしていた方なら安心して任せられるし、ファレリアお姉様も比較的簡単に気を許すと考えたんだろうなぁ...叔父様ったら、流石!!





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