思い付き短編集

神谷 絵馬

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読み切り短編{完結してるもの}

虐められる姉と虐める妹?

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「お姉様?まぁ!なんてことなの?!
ほら、お肉がはみ出しておりますわよ?
ほら、こことか、こことか...まぁまぁ、これでははしたないですわねぇ。」

「うぅ、は、はみ出してなんて無い筈よ?
ちゃんと、メリティアに絞ってもらったもの!!」

「うふふ、ここにはみ出したお肉がありますのに、お姉様ったら往生際が悪いですわねぇ?
お姉様?本日は、麗しのお義兄様にお会いになられるのでしょう?
さぁ、こちらにいらっしゃいませ!
本日も、キッチリと私がお世話をさせていただきますわ!」

「嫌よ!貴女のお世話は、とっても痛いんだもの!」

「では、もういらないのですね?
パリパリの......クロワッサン...クッキー...折角、お姉様の為にお作りいたしましたのに。」

「う、うぅ、卑怯だわ!」

「うふふ、お姉様の為を思えばこそ...ですわ。
さ、時間もありませんし、参りましょうね?」

あぁ、むくれたお顔のなんて可愛らしいこと!
私の、大切で可愛らしい、私だけのお姉様。
こんなに可愛らしい少しだけぽちゃなお姉様を、デブと罵るブス共が存在いたしますのよねぇ...許すまじ。
お姉様は健康的なだけですのに...世間の皆様ったら見る目が無いわよね。
お姉様の婚約者である容姿端麗なお義兄様を、虎視眈々こしたんたんと狙う雌狐めぎつね共にも辟易へきえきいたしますけれど...とっとと他に行けばよろしいのに、このままだと嫁ぎ遅れますわよ?
うふふ、ごめんあそばせ?

お義兄様は、私の愛しのお姉様を殊更ことさらに愛してらっしゃいますもの...付け入る隙など微塵みじんもありませんわ!
あぁ、昨日のことはお義兄様にも共有しておきましょう。
お義兄様は情け容赦なく報復なさるのでしょうね...身から出た錆、自業自得ですわ。
お姉様1人に対して、5人で囲んでの忠告と言う名の私刑。
お義兄様の為に身を引けだなんて、お義兄様はそのようなことを望まれませんのに...むしろ、婚姻を結ばれたらお姉様を監禁なさるのでは?と心配になるくらいですのよ?

あら?お姉様ったら、捕食されかけた小動物のようにプルプルと震えて、どうさないましたの?
そんな涙目の上目遣いなんてされても、ただただ可愛らしいだけですわよ?
もう、本当に可愛らしいですわ!

「うぅ、痛いわ...。」

「3日程私が留守にしている間、マッサージをサボっておられたのでしょう?
マッサージにて柔らかくしていた筋肉も脂肪も、このように凝り固まってしまっておりますもの、痛いのは当然のことですわ。
さ、もう少し揉みほぐしますわよ?」

「ごめんなさい...。」

「うふふ、お姉様、そんなに落ち込まないでくださいませ。
大丈夫ですわ、待ち合わせのお時間には、必ず間に合わせますから!」

「ありがとう。
私は、貴女のように優しい妹が持てて幸せだわ。」

「うふふ、嬉しいお言葉ですわ。
私も、とても可愛らしくて、民にも別け隔てなくお優しいお姉様が持てて幸せですわ!
さ、マッサージはこれで終わりですわね。
さて...コルセットに参りましょうか。」

「えぇ、お願いね。」

「うふふ、お姉様?」

「なぁに?」

「息をお止めになられてくださいませ!」

「は!んーーー!!」

「「リーシャお嬢様!もう少しですわ!」」

「ふー、ふー、ふー、ふー、...あら?いつもよりも細いですわね......お散歩は続けておられましたのね?
私、とても嬉しいですわ!」

「その、お散歩の後は疲れてしまって、マッサージをする前に眠ってしまって......ごめんなさい。」

「ただ浮腫むくんでしまっておられたのなら、マッサージで流せますので大丈夫ですわ!
後は、皆様?お散歩で疲れたお姉様が眠ってしまわれたとしても、マッサージは行ってくださいませね?
毎日続けることで、痛みは軽減されていきますので...。」

「「はい、かしこまりましたわ!」」

うふふ、皆様素直でよろしいですわね。
マッサージもコルセットの着付けも終わりましたし、後はお姉様専属の侍女に任せても大丈夫でしょう。
それにしても、運動のお嫌いなお姉様が、私のお願いした通りにお散歩をしてくださっておりましたのね。
お義兄様への愛の成せる業、でしょうか?
うふふ、結婚式までもう少しですものね。
誠心誠意、お姉様のお身体を管理させていただきますわ!
誰にも文句など言わせません!





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