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2:女のバトルと男のバトル

代官邸です。6

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「ウール、この方はもう駄目かもしれないわ。」

「母さん、すみません。」
-ご両親は真面まともな人達だったし、娘がこんな馬鹿とは思わなかったんだよねー。
クリスちゃん、折角家族になれた日なのに...こっちの都合で不愉快な思いをさせちゃってごめんね?-

-んーん、だいじょうぶ!-

-ありがとう。-

なんでか分からないけど、ウールさんに姫担ぎされております。
え?その体勢はお姫様だっこじゃないかって?
いやいや、その言い方だとなんか恥ずかしいから、わざわざ言い換えてるんだよ?
ちなみに、横抱きも可。

「ウフフ、ミリアさん?
貴女、自分はもう学ぶ必要がないと思っているのよね?」

「えぇ、そうですわ。
私は、きちんと学んでおりますわ。」

2人の間で、バチバチと火花が散ってるように見えてるけども、ほらほら、2人の間だけのことだからね?怖くないよ?
だから、グリル君?君のお祖父さんの股間に顔を埋めるのは止めたげて?
ウールさん、声に出さずにケラケラと笑ってないで、自分の息子の奇行を止めなさいよー!
あー、そこでグリグリしたら駄目ー!
聞いただけだから多分だけど、痛いのよー?
父様、グリグリされてるのにどうして笑ってるのかな?

「あらあら、そう...では、半年の猶予を差し上げますから、中退した学園に復学なさい。
そして、受けられていない試験をきちんとした手順で受けて、正式な卒業資格を得てらっしゃい。

半年経っても卒業資格を得られない場合、貴女を嫁とは認められません。
ウールとは正式に離縁していただきますし、たとえ息子であるとしても...我が家の跡取りであるグリルにも会わせられませんわ。」

「...分かりましたわ。
半年で、卒業資格を取得しますわ。

私が卒業資格を取得いたしましたら、この本邸を明け渡してくださいませね?
主人やグリルの為にも、広くて美しいこちらに住めるのが1番ですもの!
あぁ、ご両親とそちらの小娘は、丁度別邸がありますからそちらにお住みくださいませ。」

うわぁ、旦那とか息子には、決して見せてはいけない顔をしてるよ?
ウールさんもグリル君もバッチリ見てるんだけど、大丈夫かな?
あ、ほら、グリル君ドン引きしてるじゃん。

それと、まだ代官の引き継ぎとかしてない筈なんだけど...そんな時に、本邸を明け渡すとか確約出来る筈ないよね?
しかも、そういう権限を持っている代官である父様じゃなくって、その妻で代官を補佐する代官夫人である母様に確約させようとかしてるけど、代官の一存で履行されなくても文句言えないよ?

多分、怒りでそんなことを口走ってるんだとは思うけど、本当に考えが足りない人なんだね。
貴族ってさ?私の中の勝手なイメージかもだけど、たとえ、ドロドロとしていようともその心の中を覆い隠して、言葉では何てことないように装うのが普通でしょ?

「あら、卒業資格すらまともに持っていない貴女が、条件を付けられるような立場ではありませんわよ?
ご自分の立場を弁えなさい。

そうねぇ?貴女が復学している半年で代官としての実務経験をきちんと積んで、主人も納得してウールに代官を引き継ぐのであれば考えても良いわ。
そうね、その場合、本当に貴女が無事に卒業資格を得られるのであれば、私達は王都のタウンハウスや領都にあるタウンハウスに移りますわ。」

「そのお言葉、お忘れなきように!!」

「えぇ、忘れませんわ。

そうだわ!貴女が建てさせた別邸は、そろそろ次男が結婚する予定ですので、その子達が住むかもしれないわ。
領主様のお声掛りでの婚約でしたけれど、2人共仲良くしているようで...安心しておりますの。
シュレイアーナさんが今年ご卒業されますから、近々こちらに戻ってくる予定ですのよ。

これからは、代官となる兄を支える為に、王国騎士団での経験を元に憲兵の指揮に当たりますのよ。
貴女が無事に夫人となられれば関係ありますもの...一応話しておきますわね無駄でしょうけど?」

一応話しておきますわね?という言葉の裏に、嘲るような声音の副音声が聞こえました。
にっこりと微笑みながら怒ってる女の人って、本当に怖い。





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