上 下
11 / 32
2:女のバトルと男のバトル

代官邸です。4─side─

しおりを挟む
「うーむ、ゆうごはんに、こっちにこないらしいおよめさんいがいが、こっちにすめばよいのでは?
あととりのウールさんと、そのむすこであるグリルくん?は、まいにちべんきょーしに、こちらへとくるのだろう?
それは、とてもたいへんなことだ。

およめさんが、ここにすみたくないならば、そうすればよいとおもうぞ?」
-ウールさん、よめとははの、めんどうないたばさみだな。
まぁ、ワタシにはなにもできないし、ひたすらたえてくれ。-

-そうなんだよねぇ...。-

クリス、正論を言ってくれるのはありがたいけど、ウールを憐れまないであげてくれるかい?

「何も分からない小娘が口を挟まないで!!」

「たしかに、ワタシはおよめさんよりもおさないから、こむすめだが...およめさんがしていることが、おかしいということはわかるぞ?

あととりがはなれてくらすのは、どうかんがえてもおかしいってことがわからないのなら、およめさんは、きぞくとしてのきょういくを、キチンとうけてこなかったのだろうな。
キチンとしたきょういくを、していないむすめをよめにだすなど、およめさんのごりょうしんは、いいかげんなひとたちということか...?」

「クリスちゃん、あの子のご両親はとてもキチンとした方々よ?
おかしいのはあの子だけなの...。」

「ん?だが、キチンとしたひとたちならば、キチンとしたきょういくをできていないのに、きぞくによめにだすの?
かくじつに、もんだいおこしてりえんされて、でもどってくるだけだとおもうけど?」

「クリスちゃん、意外と容赦ないわね。」

眉間にシワを寄せて腕を組み、右手の甲でアゴをトントンと叩くクリスちゃん。
軽蔑している目で嫁を見ているのは、本当に3歳の女の子なのかな?
見た目通りの、可愛らしい3歳の女の子ではないのかな?

「グリルくんは、おばあさまがすきでしょ?」

「うん!だいすき!
おじいさまも、おばあさまも、ザイルおじさまも、それから、ハーシェルおじさまもだいすきだよ?
もちろん、クリスちゃんもね!
ぼくのいもうとだもん!」

「ありがとう。
すきなのに、いっしょにすめないなんて、さびしいよな?」

「...うん、さびしいよ?
でも、おかあさまが...」

「グリル?!」

「ちょっと!そこのおばさん!むすこのほんねをさえぎるな!
グリルくん、おかあさまのことはきにしなくていいから、はなしていいぞ?」

お、おばさん...!
今、クリスちゃんが嫁に向かっておばさんって言ったよね?!
意外と口が悪いんだね!

「えっと......うん。
あのね?おかあさまがね?おばあさまはひどいことをするから、ちかづいたらダメっていうの。
ひどいことってなに?ってきいたらね?
ぼくのことをムチでぶつっていうの。」

「...そんなことするわけないでしょ?
悪いことをしたからと言って、ムチでなんて打ちませんわ!
言葉で諭すのが普通でしょう...まさか、貴女のご両親はムチで打ちますの?
なんと野蛮なの?!しっかりとした方々だと思っておりましたのに...!!」

「お父様もお母様もそんなことはしないわ!!!」

「なら、なんで、そんなこといったの?
うそつきは、はんざいしゃのはじまりなんだぞ?」

「...グリルは私が生んだのだから、私の息子よ。
ですから、私がキチンと育てますの。
邪魔をしようとするからいけないんですわ!」

「貴女にグリルの教育を任せるなんて、今の状態では無理だわ。
何度も説明した筈ですのに、どうして理解出来ないのかしらね?

貴女、ご病気であったとは言え学園を中退しているじゃないの。
ご病気が快癒してから、復学して通い直すこともなかったわよね?
婚約していたとは言え、そのままで我が家へと嫁いできて...それならば私が教えるしかないのだと思い、何度も何度も教えようとしたのにも関わらず逃げ回っていたわよねぇ?

学園を卒業出来ていない貴女が、貴族の子を育てることは出来ませんわ!
ご自分で子供を育てたいと仰るのなら、今からでも構わないから、きちんと学びなさい!」

「私の子供を育てるのに、あんたの許可なんていらないわ!!」

「あら、何度か知らせた筈なのだけれど...まだ知らないの?
貴女、今の状態では夜会にもお茶会にも出られませんわよ?
学園を中退したことで、貴族としては落第者であるとして知れ渡っておりますもの。
忠告した通りに、嫁ぐのを少し遅らせて学園に通い直せばよろしかったのに...。」

本当に...ね?
嫁いでくる前にも、嫁いできたときにも、全部説明した筈なんだけどねぇ?





*
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話

Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」 「よっしゃー!! ありがとうございます!!」 婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。 果たして国王との賭けの内容とは――

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

問い・その極悪令嬢は本当に有罪だったのか。

風和ふわ
ファンタジー
三日前、とある女子生徒が通称「極悪令嬢」のアース・クリスタに毒殺されようとした。 噂によると、極悪令嬢アースはその女生徒の美貌と才能を妬んで毒殺を企んだらしい。 そこで、極悪令嬢を退学させるか否か、生徒会で決定することになった。 生徒会のほぼ全員が極悪令嬢の有罪を疑わなかった。しかし── 「ちょっといいかな。これらの証拠にはどれも矛盾があるように見えるんだけど」 一人だけ。生徒会長のウラヌスだけが、そう主張した。 そこで生徒会は改めて証拠を見直し、今回の毒殺事件についてウラヌスを中心として話し合っていく──。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

処理中です...