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本編
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「オホホホ、諸事情ございまして、長らくお待たせいたしましたわ。」
厨房にて、無事に子竜達の果物は調達出来ましたので帰宅の報告をして、執事に案内されて乗竜服のままで応接間へと参りましたら、お2人ともとても怒っておられるご様子ですわ。
シリウスを暴れさせた方が良かったのかしら?
「この俺を、どれだけ待たせるんだ!!!」
「あら、不機嫌なシリウスが暴れても構わないとでも仰るの?」
「躾くらいしとけ!!」
まぁ、躾...でございますか?
ご自分の方が躾をして貰った方が良いと思いますわよ?
そもそも、躾のされていない騎竜は存在しませんわ。
竜のことが大好きな国王陛下が悲しみますわね...少し盛って報告をしておきましょう。
オホホホ、私が恨まないと思っているのが面白いですわよね......国王陛下ったら、私は貴方の道具でもありませんのよ?
「躾はきちんとしておりますわ。
けれど、理不尽な扱いを受ければ怒るのは当然のことでしょう?
シリウスは、貴方や貴方のお父上、そして国王陛下と私のお祖父様が行った愚行について怒っておりますの。
王命により結ばれた元婚約者様とは、国王陛下によって2年の婚約期間が設けられておりまして、後2週間程で婚姻でしたの。
それなのに、突然婚約解消の王命が出されまして、王命により貴方との婚約期間の無い婚姻をするようにと命じられましたのよ?
元婚約者様とシリウスの慣らしは終えておりましたけれど、2年という月日が無駄になりましたわね。
突然の婚姻命令でしたから、シリウスは貴方達との慣らしが出来ておりませんわ。
そして、こちらには竜が駐在したことがごさいませんから竜舎が無いのは仕方ありませんけれど、新しい竜舎も未だに建てられておりませんよね?」
「君が嫁ぐことは、国王陛下との話し合いで決まったことだ。
我々にとっても突然のことだったのだから、仕方ないだろう?
竜舎も、建てたことが無いのだからどうしたら良いのかよく分からないと言われてしまったんだ。」
「あら、竜舎に関しては国王陛下が技術者を送ってこられた筈ですわ。
それで、基礎すら出来ていないというのはどう言うことですの?
そもそも、竜舎の建設予定地はどこになるのかしら?
私、何の説明も受けておりませんわよ?」
「技術者は来たが、下っ端だったらしく...要領を得ないのだよ。
建設予定地はまだ選定中で...」
「婚姻までに、2週間もありましたわよね?
まだ、選定中なのですか?」
「いや、2週間しか無かったんだよ。
こんなにも急だと、竜舎の建設予定地なんて見付かる筈もないだろう?」
「あら、聞いていた話しとは随分と違いますのね?
大金を叩いて国王陛下と交渉なさって、貴方が私を指名したのでしょう?
『貴重な女竜騎士を嫁がせて貰うのだから、竜舎は立派なのを建設したいと思っている。
予定地は幾つかあるが経験者の助言もなく決めることがなかなか出来ていない。
出来れば、技術者を寄越して欲しい。』
と、国王陛下にお願いしたと聞いておりますわ。
あれ程竜を愛しておられるのに、竜に関してのことで、国王陛下が下っ端の技術者なんて寄越す筈ありませんわ。」
「んぐぅ...」
のらりくらりと言い逃れようとしておられるけれど、それは無理よ。
国王陛下が派遣された技術者が下っ端だっただなんて、国王陛下への不敬罪になりますわよ?
「予定地は幾つかあるのでしょう?
竜舎の建設予定地を早急に決めましょう。
技術者の方には、後日私とシリウスが直接お話しをいたしますから、手筈を整えておいてくださいませ。」
「............分かった、そうしよう。」
「オホホホ、そんなに不服なのならば、いつでも離縁いたしますわよ?」
出来るのならね?
国王陛下も面倒なことをしてくださいましたわよね...あのまま、元婚約者様へと嫁げていればもう暫くは竜騎士として国へと貢献することも出来ましたのに。
オホホホ、私、全くその気が無くなってしまいましたわ。
*
厨房にて、無事に子竜達の果物は調達出来ましたので帰宅の報告をして、執事に案内されて乗竜服のままで応接間へと参りましたら、お2人ともとても怒っておられるご様子ですわ。
シリウスを暴れさせた方が良かったのかしら?
「この俺を、どれだけ待たせるんだ!!!」
「あら、不機嫌なシリウスが暴れても構わないとでも仰るの?」
「躾くらいしとけ!!」
まぁ、躾...でございますか?
ご自分の方が躾をして貰った方が良いと思いますわよ?
そもそも、躾のされていない騎竜は存在しませんわ。
竜のことが大好きな国王陛下が悲しみますわね...少し盛って報告をしておきましょう。
オホホホ、私が恨まないと思っているのが面白いですわよね......国王陛下ったら、私は貴方の道具でもありませんのよ?
「躾はきちんとしておりますわ。
けれど、理不尽な扱いを受ければ怒るのは当然のことでしょう?
シリウスは、貴方や貴方のお父上、そして国王陛下と私のお祖父様が行った愚行について怒っておりますの。
王命により結ばれた元婚約者様とは、国王陛下によって2年の婚約期間が設けられておりまして、後2週間程で婚姻でしたの。
それなのに、突然婚約解消の王命が出されまして、王命により貴方との婚約期間の無い婚姻をするようにと命じられましたのよ?
元婚約者様とシリウスの慣らしは終えておりましたけれど、2年という月日が無駄になりましたわね。
突然の婚姻命令でしたから、シリウスは貴方達との慣らしが出来ておりませんわ。
そして、こちらには竜が駐在したことがごさいませんから竜舎が無いのは仕方ありませんけれど、新しい竜舎も未だに建てられておりませんよね?」
「君が嫁ぐことは、国王陛下との話し合いで決まったことだ。
我々にとっても突然のことだったのだから、仕方ないだろう?
竜舎も、建てたことが無いのだからどうしたら良いのかよく分からないと言われてしまったんだ。」
「あら、竜舎に関しては国王陛下が技術者を送ってこられた筈ですわ。
それで、基礎すら出来ていないというのはどう言うことですの?
そもそも、竜舎の建設予定地はどこになるのかしら?
私、何の説明も受けておりませんわよ?」
「技術者は来たが、下っ端だったらしく...要領を得ないのだよ。
建設予定地はまだ選定中で...」
「婚姻までに、2週間もありましたわよね?
まだ、選定中なのですか?」
「いや、2週間しか無かったんだよ。
こんなにも急だと、竜舎の建設予定地なんて見付かる筈もないだろう?」
「あら、聞いていた話しとは随分と違いますのね?
大金を叩いて国王陛下と交渉なさって、貴方が私を指名したのでしょう?
『貴重な女竜騎士を嫁がせて貰うのだから、竜舎は立派なのを建設したいと思っている。
予定地は幾つかあるが経験者の助言もなく決めることがなかなか出来ていない。
出来れば、技術者を寄越して欲しい。』
と、国王陛下にお願いしたと聞いておりますわ。
あれ程竜を愛しておられるのに、竜に関してのことで、国王陛下が下っ端の技術者なんて寄越す筈ありませんわ。」
「んぐぅ...」
のらりくらりと言い逃れようとしておられるけれど、それは無理よ。
国王陛下が派遣された技術者が下っ端だっただなんて、国王陛下への不敬罪になりますわよ?
「予定地は幾つかあるのでしょう?
竜舎の建設予定地を早急に決めましょう。
技術者の方には、後日私とシリウスが直接お話しをいたしますから、手筈を整えておいてくださいませ。」
「............分かった、そうしよう。」
「オホホホ、そんなに不服なのならば、いつでも離縁いたしますわよ?」
出来るのならね?
国王陛下も面倒なことをしてくださいましたわよね...あのまま、元婚約者様へと嫁げていればもう暫くは竜騎士として国へと貢献することも出来ましたのに。
オホホホ、私、全くその気が無くなってしまいましたわ。
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