阿呆共の集い

神谷 絵馬

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本編

9~完~

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「私も王もこんな婚約については知らない。
ということで、君が結ばされたというこの婚約は王の了承の無い違法な婚約ということになるね。
ほら、君の伯母である王太子妃がさ?
可愛いただ1人の姪である君を不幸にするような婚約なんて認める訳が無いでしょう?
伯爵家が勝手に婚約したと触れ回っていただけなんだろうけど...だからこそ、誰もおかしいと気付けなかったってことかな?
じっくり調べあげて、何人かは降格させなきゃいけないんだろうね...覚悟しておいてもらおうか。

あ、今は謝罪行脚中ってことは、ちゃんと謝罪と慰謝料の支払いとかの話し合いをしているんだよね?」

「...いえ?まだ来られておりません。
もしかしたら、最後に来られるおつもりなのかもしれませんが...そもそも、私との婚約に関することを忘れておられるのやもしれません。」

「...へぇ。
元婚約者への諸々が済んだら、まず最初に行くべきなのに......何を考えているんだろうね?」

「分かりません。
私の拙い治癒術のみならず持参金も当てにされておられたようですし、余程困窮なさっておられると推察いたします。
このまま謝罪行脚の最後となりますと、慰謝料を支払うだけの余力が残っておられるのか...とても心配です。」

「フフフ、大丈夫、これは王家も介入せざるおえない案件だから、ちゃんと調整して支払わせるから安心してね?」

ここぞとばかりに諸々の恥を晒してみたんですが、王太子殿下の黒い笑みにおののくばかりです。
でも、私も、とっても怒っていますからちゃんと適正に処罰してくださいね。
その為にも、調査を頑張ったんですよ!

「そうだ!今日は疲れただろう?
私の妃も待っているし、今日は王宮でゆっくりと休むと良いよ!」

「...王太子殿下、いつの間に?!
王太子殿下、どうぞご安心くださりませ!
私は家に帰りますので、どうぞ離してくださいませ!」

「あ、そこの侯爵子息?と罪人1は、捕らえて牢に入れておいてー!
貴族牢は勿体ないから、平民用の独房にでも入れておいてくれる?」

王太子殿下に対してビシッと敬礼をしてから、暴れるお2人をキビキビと捕縛する近衛の方々。
困り顔でこちらを見て憐れむのならば、どうか助けてくださいませんか?
あ、それは無理なのね...てか、侍従さん達?いつもなら止めるのに、なんで止めないのよ!
ほらほら、貴方方がいつも蔑んでいる血の繋がらない下民を、崇高なる王太子殿下が抱っこしてますけどー?
私一応侯爵家の血が入ってんですけど、それを信じなかった自分達が悪いんですけどね?
自業自得な己にうちひしがれる前に、ほら、いつもみたいに私を助けてよー!
ほら、今助けてくれたら今までにされたこととか言われたこととか、諸々水に流してあげるから!!
一応いつかのためにと資料に纏めてあるけど、処分して渡さないでおくからー!

「ほらほら、暴れると落ちちゃうからね?
大人しくしてなさいって!
ジルベルドール?家に帰るよー。」

「うん、分かった。」

「ホホホ、お幸せにの?」

学園長のしたり顔が腹立つ!
絶対、王太子殿下を呼んだの学園長でしょ?!
てっきり、近衛を呼ぶんだと思っていたのに!!
ほら、やっぱり、叔母様の言う通りになったじゃない...なんでこうなるのよ!
王太子殿下が平凡な小娘を抱いてデレデレしてるなんて、こんな場面を見て誰が得するのよ?!
だから会いたくなかったのにーぃーー!!!

因みに、ジルベルドールとは第3王子の名前です。
覚えにくいので、私は心の中では第3王子と、実際には第3王子殿下と呼んでおります。
本人も何も言わないし、ま、良いでしょ?

「フフフ、やっと会えたね?
私の妃から話しは沢山聞いていたのに、なかなか会えないから...叔父様はずっと寂しかったんだよ?」

「お時間がなかなか合いませんでしたもので...。」

「フフフ、やっぱり女の子は可愛いなぁ...。」

ちょっと、スリスリするの止めてってば!
何故かお髭とかは無いから痛くはないけど、周りの目線が痛いのよ!!
ほら、皆驚愕の表情で見てるでしょ?
デレデレの王太子殿下なんてそう見るものではアリマセンモノネ...こちらは見世物では無いんですよ!!

「ほら、馬車に到着!
さ、皆で王宮に帰ろうか!」

助けてーーぇーーーぇー!!
未だに男しか産まれていないからって、構い倒されるのは嫌よー!!
叔母様だけでも大変なのに、2人の相手をするなんて...考えただけでも嫌!
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!
ハッ!そこの、関係ないさと言わんばかりに生温い目で見ている第3王子!
うん、貴方、お2人に溺愛されてる第3王子も一蓮托生よね!
さ、2人でしっかりお相手しましょうね?
この苦痛は、2人で分ければなんとかなりますよ!
それに、貴方のことはきちんと護って差し上げたのですから、私のことを助けてくれても良いよね?ね?

「う、うん。」

よし!生贄確保ー!!
と、喜んでいる様を慈愛に満ちた眼差しで楽しまれているとは気付いておらず、あぁ、ぬか喜びしてる姪っ子ちゃんも可愛いなぁ...とか思われていることにも気付いておらず、私は伏魔殿へと連れ去られるのでした。





*
加筆修正した本編は終わりです。
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