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それにしても、この子180はある筈なのだけれど...随分と軽いわねぇ。
寮のご飯は不味くはない筈だけど、口に合わなくてちゃんと食べられていないのかしら?
それなら、栄養が偏って免疫が下がっても仕方無いわね。
さて、早くお部屋に届けて来ましょ!
「はい、学園には連絡しておくからちゃんと寝ておくのよ?」
「ハーイ。」
「補習の申請もしておくわね?」
「ハイデス!オネガイシマス!」
さて、部屋のベッドに寝かせたし飲み物もジェリーも用意したわね。
じゃ、後は寝てもらって、学園に連絡するだけね!
勉強についていけないって心配していたから、ついでに補習の申請もしておいてあげましょう。
「学生寮"椿"の管理人をしております、小播 雛菊ですわ。
1年Ⅲ組担任の柏原 保先生をお願いいたしますわ。」
{あー、俺だけど?}
「まぁ、柏原先生ご本人でしたか...失礼いたしました。」
{ん?それは良いが、何かあったのか?}
「えぇ、3日前からお休みさせておりますカイル・望月君は、今日もお休みですわ。
先程確認いたしましたら、38.4℃もありますの。
本人は凄く行きたがっておりましたけれど...今日は何か特別な授業がありましたの?」
{あー、今日は使い魔召喚があるな...ま、熱なら仕方がない。
そのくらいの熱なら、治癒魔法を使う程でも無いから寝ている方が良いだろう。
それに、万全の体調でなくては使い魔召喚は出来ないからなぁ。
すまないが、見張っていてくれ。}
「えぇ、勝手に部屋を出られないように結界を張っておきましたから、部屋を出たら分かるわ。」
{魔法学園始まって以来の秀才と名高い雛菊さんが管理人になってくれて、頼もしいよ。}
「うふふ、それは何よりだわ!
煩わしい実家にいるよりも、学生達のお世話をしている方がとても楽しいもの。」
{ハハハ、カイルのことは頼んだ!}
「えぇ、任せて!」
あらあら、今日は使い魔召喚があったのね...それなら、あんなにも行きたがったのも分かるわ。
人生の相棒にもなる使い魔の召喚は、皆楽しみですものね。
けれど、体調の悪いときに召喚しても、弱いスライムや小動物などしか召喚されませんのよねぇ...召喚出来るのは一生に一度きりのことなのですし、後悔はしてほしくないわ。
「小播さん、おはようございます。」
「あら、おはようございます。
うふふ、また出来なかったのね?
こちらへいらっしゃい?結んであげるわ。」
「毎日すみません...頑張ってはみたのですが無理でした。
時間がなくなってしまったので、お願いいたします。」
「うふふ、そんなに申し訳なさそうにしなくても大丈夫よ?
この寮にいる間なら、ネクタイくらいいくらでも結んであげるわ。
はい、出来たわ!
気を付けて行ってらっしゃいな?」
「ありがとうございます。
行ってきます。」
うふふ、あの子の困り顔にも見慣れてしまったわね。
座学も実技も優秀で、擦れ違った人のうち皆が振り返るくらいには美形なあの子には、ネクタイが結べないという弱点があったのよねぇ。
たしか、最初に会ったときは靴ヒモも結べなくて、眉を下げて涙目になっていたわ。
サラサラの長い銀髪に美しい藍色の切れ長の目という、一見冷たく見える容貌をしているから、そのギャップに悶えてしまったのよね。
しかも上目遣いで情けないお声を出すものだから、ついつい頭を撫で繰り回してしまっても仕方がありませんわよね?
驚いて目をぱちくりと見開いて、少し震えておりましたけれど......許されるわよね?
ほら、きっと恥ずかしかったのよ!
それで羞恥に震えていたんだわ!
うん、きっとそうよね?
今でも、毎日頑張ってはみるのだけれど無理らしく...ネクタイは私が結んでますわ。
結び終わると、ふわりと微笑んでから学校へと向かうのよ!
見た目とのギャップが面白くて、本当に可愛らしいわぁ。
お師匠様、どこをほっつき歩いておられるのかは存じ上げませんが、そろそろとっととお帰りになられてくださいませね?
ミュリス様に怒られるのが恐いのでしたら、どうしてあのような阿呆に積極的に関わってしまわれましたの?
国王の命令とかは関係ございませんわよ?
お師匠様が直接関わる必要性は無かったのですから...ね?
*
寮のご飯は不味くはない筈だけど、口に合わなくてちゃんと食べられていないのかしら?
それなら、栄養が偏って免疫が下がっても仕方無いわね。
さて、早くお部屋に届けて来ましょ!
「はい、学園には連絡しておくからちゃんと寝ておくのよ?」
「ハーイ。」
「補習の申請もしておくわね?」
「ハイデス!オネガイシマス!」
さて、部屋のベッドに寝かせたし飲み物もジェリーも用意したわね。
じゃ、後は寝てもらって、学園に連絡するだけね!
勉強についていけないって心配していたから、ついでに補習の申請もしておいてあげましょう。
「学生寮"椿"の管理人をしております、小播 雛菊ですわ。
1年Ⅲ組担任の柏原 保先生をお願いいたしますわ。」
{あー、俺だけど?}
「まぁ、柏原先生ご本人でしたか...失礼いたしました。」
{ん?それは良いが、何かあったのか?}
「えぇ、3日前からお休みさせておりますカイル・望月君は、今日もお休みですわ。
先程確認いたしましたら、38.4℃もありますの。
本人は凄く行きたがっておりましたけれど...今日は何か特別な授業がありましたの?」
{あー、今日は使い魔召喚があるな...ま、熱なら仕方がない。
そのくらいの熱なら、治癒魔法を使う程でも無いから寝ている方が良いだろう。
それに、万全の体調でなくては使い魔召喚は出来ないからなぁ。
すまないが、見張っていてくれ。}
「えぇ、勝手に部屋を出られないように結界を張っておきましたから、部屋を出たら分かるわ。」
{魔法学園始まって以来の秀才と名高い雛菊さんが管理人になってくれて、頼もしいよ。}
「うふふ、それは何よりだわ!
煩わしい実家にいるよりも、学生達のお世話をしている方がとても楽しいもの。」
{ハハハ、カイルのことは頼んだ!}
「えぇ、任せて!」
あらあら、今日は使い魔召喚があったのね...それなら、あんなにも行きたがったのも分かるわ。
人生の相棒にもなる使い魔の召喚は、皆楽しみですものね。
けれど、体調の悪いときに召喚しても、弱いスライムや小動物などしか召喚されませんのよねぇ...召喚出来るのは一生に一度きりのことなのですし、後悔はしてほしくないわ。
「小播さん、おはようございます。」
「あら、おはようございます。
うふふ、また出来なかったのね?
こちらへいらっしゃい?結んであげるわ。」
「毎日すみません...頑張ってはみたのですが無理でした。
時間がなくなってしまったので、お願いいたします。」
「うふふ、そんなに申し訳なさそうにしなくても大丈夫よ?
この寮にいる間なら、ネクタイくらいいくらでも結んであげるわ。
はい、出来たわ!
気を付けて行ってらっしゃいな?」
「ありがとうございます。
行ってきます。」
うふふ、あの子の困り顔にも見慣れてしまったわね。
座学も実技も優秀で、擦れ違った人のうち皆が振り返るくらいには美形なあの子には、ネクタイが結べないという弱点があったのよねぇ。
たしか、最初に会ったときは靴ヒモも結べなくて、眉を下げて涙目になっていたわ。
サラサラの長い銀髪に美しい藍色の切れ長の目という、一見冷たく見える容貌をしているから、そのギャップに悶えてしまったのよね。
しかも上目遣いで情けないお声を出すものだから、ついつい頭を撫で繰り回してしまっても仕方がありませんわよね?
驚いて目をぱちくりと見開いて、少し震えておりましたけれど......許されるわよね?
ほら、きっと恥ずかしかったのよ!
それで羞恥に震えていたんだわ!
うん、きっとそうよね?
今でも、毎日頑張ってはみるのだけれど無理らしく...ネクタイは私が結んでますわ。
結び終わると、ふわりと微笑んでから学校へと向かうのよ!
見た目とのギャップが面白くて、本当に可愛らしいわぁ。
お師匠様、どこをほっつき歩いておられるのかは存じ上げませんが、そろそろとっととお帰りになられてくださいませね?
ミュリス様に怒られるのが恐いのでしたら、どうしてあのような阿呆に積極的に関わってしまわれましたの?
国王の命令とかは関係ございませんわよ?
お師匠様が直接関わる必要性は無かったのですから...ね?
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