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「オバサァーン!
走ってたら、靴ヒモが切れちゃったーー!!」
「あらあら...はい、これで応急処置が出来たわ。
靴ひもは学園の購買部に120円で売ってるから、学園に着いたらちゃんと買って通し直すのよ?
それと、私の名前はオバサンではなくて、小播ですわ。
人の名前を間違えるのは失礼に当たりますので、気を付けなさいね。
無邪気を装っても無駄ですわよ?
アナタがわざと私をそう呼んでいるのは知っていますからね?
そのままで社会に出たら、苦労するわよ?
1度ついた癖を治すのは簡単ではないのだから、そろそろお止めなさい。」
「じゃあ、コハリンって呼ぶー!」
「男女問わず、アダ名で呼ぶのは仲の良い人だけになさい。
いつか誰かしらに勘違いされて、ブッスリと刺されても...私は知らないわよ?」
「コハリンさん、チョー怖いー!!
けど、こんな俺の相手してくれるコハリンさんが、大っ好きーー!!
学校行ってきまーす!!」
「あらあら、走ったりしたらまた転ぶわよ?
気を付けて行ってらっしゃいな?」
「はぁーい!!」
はぁ、朝から元気なこと...流石は獅子の獣人ね。
焦げ茶でふわふわの猫っ毛に少しつり上がったアーモンド型の焦げ茶の目をした、獅子というよりも猫のようなあの子は、いつも元気に挨拶をしてくれるとても優しい子。
もしも悪いことをしたのなら、理由を説明しながら注意をするとちゃんと聞いてくれるのだけど、先生達は問題児って言葉で1つに括ってしまわれるのよねぇ...悪いことをすると言っても、ちょっと元気があり過ぎてよく物を壊すってだけなのよ?
目と目を合わせてしっかりと話しをすれば、ただの可愛らしい悪戯坊やなのだけれど......?
そう言えば、あの子ちゃんと靴ヒモ買えたのかしら?
取り敢えず間に合わせで、荷造り用のナイロンヒモを靴ヒモ替わりにして結んだだけだから、ちょっと心配だわ。
ここはただの男子学生寮だから、学園指定の靴ひもは無いのよね...学園長にお願いして、予備を置かせてもらおうかしら?
緊急時にあると皆助かるわよね?
ちゃんと使ったらお金は払わせるし、特に問題は無いはず...お話ししてみましょう。
「ママ、オハヨーゴザマス!」
「あら、おはよう。
私はママではなくて小播よ?
今日は早いのね...体調はどう?」
「ソノセツハ、オセワニナリマシタ。
ゲンキ、ゲンキデース!」
「カイル君?お熱、まだあるのでしょう?
この私の目を誤魔化せるとでも思って??
さ、お部屋に戻ってお休みなさい。」
「ヤ!デース。
ガッコーイキマース!」
「その顔色では、行っても帰されるだけよ?
ほら、38.4℃もあるじゃないの!」
「ヤスンダラ、ジュギョーツイテケマセーン!
ヤー!デース!ガッコーイキマース!」
「お熱があるのだから、駄目よ?
あら、カイル君は私に抱っこされたいのね?
それならそうと早く言って欲しかったわ!
さ、お部屋に戻りましょうね?」
「ママ!ダッコイヤデース!
ガッコーイキマース!ガッコー!!」
「ほらほら、遠慮なんてしなくて良いのよ?
私、こう見えても力持ちなのよ?」
「モウ、オムコニイケマセーン!
ドーシマショー。」
「うふふ、たかだか寮の管理人に横抱きされたくらいで、お婿に行けなくなる訳がありませんわ。
大丈夫だから、お部屋に戻って寝んねしましょうね。」
「ママ...ゴウイン。」
「うふふ、学生の健康管理も管理人のお仕事ですもの!
大丈夫よ?安心して、今は寝んねなさいな?」
「ぅん。」
本当に、素直な良い子ね。
キラキラの赤毛を寝ぐせまみれのままで現れたこの子は、近隣のラフラと東の国のハーフの子。
産まれも育ちも東の国なのに、何故か東の国の言葉が苦手なのよね...この国の言葉もカタコトで、ラフラの言葉もあまり得意ではないみたい。
東人のお母さんはこの子を産んで直ぐに亡くなられて、ラフラ人のお父さんに育てられたからみたいなのだけれど、近所付き合いとかはどうしていたのかしら?
*
走ってたら、靴ヒモが切れちゃったーー!!」
「あらあら...はい、これで応急処置が出来たわ。
靴ひもは学園の購買部に120円で売ってるから、学園に着いたらちゃんと買って通し直すのよ?
それと、私の名前はオバサンではなくて、小播ですわ。
人の名前を間違えるのは失礼に当たりますので、気を付けなさいね。
無邪気を装っても無駄ですわよ?
アナタがわざと私をそう呼んでいるのは知っていますからね?
そのままで社会に出たら、苦労するわよ?
1度ついた癖を治すのは簡単ではないのだから、そろそろお止めなさい。」
「じゃあ、コハリンって呼ぶー!」
「男女問わず、アダ名で呼ぶのは仲の良い人だけになさい。
いつか誰かしらに勘違いされて、ブッスリと刺されても...私は知らないわよ?」
「コハリンさん、チョー怖いー!!
けど、こんな俺の相手してくれるコハリンさんが、大っ好きーー!!
学校行ってきまーす!!」
「あらあら、走ったりしたらまた転ぶわよ?
気を付けて行ってらっしゃいな?」
「はぁーい!!」
はぁ、朝から元気なこと...流石は獅子の獣人ね。
焦げ茶でふわふわの猫っ毛に少しつり上がったアーモンド型の焦げ茶の目をした、獅子というよりも猫のようなあの子は、いつも元気に挨拶をしてくれるとても優しい子。
もしも悪いことをしたのなら、理由を説明しながら注意をするとちゃんと聞いてくれるのだけど、先生達は問題児って言葉で1つに括ってしまわれるのよねぇ...悪いことをすると言っても、ちょっと元気があり過ぎてよく物を壊すってだけなのよ?
目と目を合わせてしっかりと話しをすれば、ただの可愛らしい悪戯坊やなのだけれど......?
そう言えば、あの子ちゃんと靴ヒモ買えたのかしら?
取り敢えず間に合わせで、荷造り用のナイロンヒモを靴ヒモ替わりにして結んだだけだから、ちょっと心配だわ。
ここはただの男子学生寮だから、学園指定の靴ひもは無いのよね...学園長にお願いして、予備を置かせてもらおうかしら?
緊急時にあると皆助かるわよね?
ちゃんと使ったらお金は払わせるし、特に問題は無いはず...お話ししてみましょう。
「ママ、オハヨーゴザマス!」
「あら、おはよう。
私はママではなくて小播よ?
今日は早いのね...体調はどう?」
「ソノセツハ、オセワニナリマシタ。
ゲンキ、ゲンキデース!」
「カイル君?お熱、まだあるのでしょう?
この私の目を誤魔化せるとでも思って??
さ、お部屋に戻ってお休みなさい。」
「ヤ!デース。
ガッコーイキマース!」
「その顔色では、行っても帰されるだけよ?
ほら、38.4℃もあるじゃないの!」
「ヤスンダラ、ジュギョーツイテケマセーン!
ヤー!デース!ガッコーイキマース!」
「お熱があるのだから、駄目よ?
あら、カイル君は私に抱っこされたいのね?
それならそうと早く言って欲しかったわ!
さ、お部屋に戻りましょうね?」
「ママ!ダッコイヤデース!
ガッコーイキマース!ガッコー!!」
「ほらほら、遠慮なんてしなくて良いのよ?
私、こう見えても力持ちなのよ?」
「モウ、オムコニイケマセーン!
ドーシマショー。」
「うふふ、たかだか寮の管理人に横抱きされたくらいで、お婿に行けなくなる訳がありませんわ。
大丈夫だから、お部屋に戻って寝んねしましょうね。」
「ママ...ゴウイン。」
「うふふ、学生の健康管理も管理人のお仕事ですもの!
大丈夫よ?安心して、今は寝んねなさいな?」
「ぅん。」
本当に、素直な良い子ね。
キラキラの赤毛を寝ぐせまみれのままで現れたこの子は、近隣のラフラと東の国のハーフの子。
産まれも育ちも東の国なのに、何故か東の国の言葉が苦手なのよね...この国の言葉もカタコトで、ラフラの言葉もあまり得意ではないみたい。
東人のお母さんはこの子を産んで直ぐに亡くなられて、ラフラ人のお父さんに育てられたからみたいなのだけれど、近所付き合いとかはどうしていたのかしら?
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