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6 : 裁判を終えて...待ち人の元へ参りましょう。
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穿いたズボンを見たいのか、尻尾を追うようにくるくると回る姿が可愛いわね。
トトトトッと小走りしてみたり、小窓に前足を掛けて伸びてみたり、コロンッゴロンッと転がってみたり、色々と試しているみたいね。
やっぱり、実際に穿いてみないと分からないこともあるもの。
スリゼル的には、どうなのかしら?
「まぁ!スリゼル、可愛いわ!」
「思ったよりも、動きやすいよ?」
「うん、似合ってるよ。
合わせるシャツとかはもう選んだの?」
「えぇ、出来てからのお楽しみですわ。」
「スー坊っちゃん、冬用もそのデザインで作って大丈夫ですかな?」
「うん、大丈夫。
このデザインでお願いします。」
「お針子に伝えておきましょう。」
「お針子さんに、甘味の差し入れもお願いしますわ。」
「はい、かしこまりました。」
初めてのズボンだったけれど、本人が結構満足しているみたいで、良かったわ。
じぃや、お針子さんに、甘味の差し入れもしておいてくださいな?お願いしますね?
「じゃあ、厨房に行こうか。」
「えぇ、スリゼルが人化したら参りましょう。」
スリゼル、ズボンだけだとなんだか変態さんみたいだから、人化してね?
あらあら、尻尾を終い忘れてるけれど、可愛いからそのままでも良いわよね。
「菓子職人は男性なんだが、少し独特な人だよ。
最初はビックリするだろうね。」
「「オネエサン...だね。」ね?」
「オネエサンって、何?」
邸が広すぎて、厨房までが恐ろしく遠いのよね...こういうところが憂鬱なのよ。
広い邸に住むことは公爵としての義務なのですもの、仕方ありませんのよね?
これも筋力トレーニングですわ!
足をスッキリ綺麗に魅せる為のトレーニングだと思えば、頑張れるわよね!
「あら?皆様お揃いで、どうなさいましたの?」
「?貴女がお祖父様と共に来られた菓子職人さんですの?
お綺麗な方ですのね...。」
「まぁ、そう言ってもらえると嬉しいわ!
旦那様、この可愛らしい方々がお孫さん達ですか?」
厨房のある一階を歩いていると、使用人用の部屋の扉から、1人の女性が顔をヒョコッと覗かせておりました。
...声は、普通に男性ですのね。
おっとりと話されるので少し心配になってしまいますけれど、頬に手を当てながらのふんわりとした笑顔は、見ていてとても安心する雰囲気を醸し出しております。
落ち着いたワインレッドの髪をポニーテールに纏めているのですが、今世ではあまり見ないオン眉のパッツン前髪...親によって、私もさせられておりましたわ。
なんだか懐かしいですわね。
そして、宝石のようにキラキラと輝く黄色の瞳は、陽の光に当たると金色に見えますのね...綺麗ですわ。
「...こちらの尻尾がある人が、帝国のスリゼルさんね?
それで、こちらの男性がグレイシオさんで...ユーティリカさんは、一目で分かったわ!
だって、女性は貴女だけなのですもの。」
「可愛いだろう?」
「えぇ、とても。」
「お祖父様から、私達のことを聞いてらっしゃいましたの?
変なことを言っておられなければ、良いのですけれど...。」
「ウフフフフ、大丈夫ですわ。
私が聞いていたのは、いかに自分の孫達が可愛いかという惚気話ですもの。」
コロコロと笑いながら、ふわふわと受け答えをされるので、なんだか調子が狂いますわね。
自分のペースに引き込むのがお上手なのか、ただの天然なのか、どちらなのかしら?
「立ち話も疲れるし、そこの談話室を借りようか。」
「今の時間は、夕食や夜の準備で皆様出払っておりますから大丈夫だと思いますわ。」
「そうですわね。」
人差し指を立てて唇にトントンと触れながら思案されているご様子が、リリスお祖母様に少し似ておりますわね。
あちらの方の癖かしら?
*
トトトトッと小走りしてみたり、小窓に前足を掛けて伸びてみたり、コロンッゴロンッと転がってみたり、色々と試しているみたいね。
やっぱり、実際に穿いてみないと分からないこともあるもの。
スリゼル的には、どうなのかしら?
「まぁ!スリゼル、可愛いわ!」
「思ったよりも、動きやすいよ?」
「うん、似合ってるよ。
合わせるシャツとかはもう選んだの?」
「えぇ、出来てからのお楽しみですわ。」
「スー坊っちゃん、冬用もそのデザインで作って大丈夫ですかな?」
「うん、大丈夫。
このデザインでお願いします。」
「お針子に伝えておきましょう。」
「お針子さんに、甘味の差し入れもお願いしますわ。」
「はい、かしこまりました。」
初めてのズボンだったけれど、本人が結構満足しているみたいで、良かったわ。
じぃや、お針子さんに、甘味の差し入れもしておいてくださいな?お願いしますね?
「じゃあ、厨房に行こうか。」
「えぇ、スリゼルが人化したら参りましょう。」
スリゼル、ズボンだけだとなんだか変態さんみたいだから、人化してね?
あらあら、尻尾を終い忘れてるけれど、可愛いからそのままでも良いわよね。
「菓子職人は男性なんだが、少し独特な人だよ。
最初はビックリするだろうね。」
「「オネエサン...だね。」ね?」
「オネエサンって、何?」
邸が広すぎて、厨房までが恐ろしく遠いのよね...こういうところが憂鬱なのよ。
広い邸に住むことは公爵としての義務なのですもの、仕方ありませんのよね?
これも筋力トレーニングですわ!
足をスッキリ綺麗に魅せる為のトレーニングだと思えば、頑張れるわよね!
「あら?皆様お揃いで、どうなさいましたの?」
「?貴女がお祖父様と共に来られた菓子職人さんですの?
お綺麗な方ですのね...。」
「まぁ、そう言ってもらえると嬉しいわ!
旦那様、この可愛らしい方々がお孫さん達ですか?」
厨房のある一階を歩いていると、使用人用の部屋の扉から、1人の女性が顔をヒョコッと覗かせておりました。
...声は、普通に男性ですのね。
おっとりと話されるので少し心配になってしまいますけれど、頬に手を当てながらのふんわりとした笑顔は、見ていてとても安心する雰囲気を醸し出しております。
落ち着いたワインレッドの髪をポニーテールに纏めているのですが、今世ではあまり見ないオン眉のパッツン前髪...親によって、私もさせられておりましたわ。
なんだか懐かしいですわね。
そして、宝石のようにキラキラと輝く黄色の瞳は、陽の光に当たると金色に見えますのね...綺麗ですわ。
「...こちらの尻尾がある人が、帝国のスリゼルさんね?
それで、こちらの男性がグレイシオさんで...ユーティリカさんは、一目で分かったわ!
だって、女性は貴女だけなのですもの。」
「可愛いだろう?」
「えぇ、とても。」
「お祖父様から、私達のことを聞いてらっしゃいましたの?
変なことを言っておられなければ、良いのですけれど...。」
「ウフフフフ、大丈夫ですわ。
私が聞いていたのは、いかに自分の孫達が可愛いかという惚気話ですもの。」
コロコロと笑いながら、ふわふわと受け答えをされるので、なんだか調子が狂いますわね。
自分のペースに引き込むのがお上手なのか、ただの天然なのか、どちらなのかしら?
「立ち話も疲れるし、そこの談話室を借りようか。」
「今の時間は、夕食や夜の準備で皆様出払っておりますから大丈夫だと思いますわ。」
「そうですわね。」
人差し指を立てて唇にトントンと触れながら思案されているご様子が、リリスお祖母様に少し似ておりますわね。
あちらの方の癖かしら?
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