26 / 63
4 : 成績が良いのは王子妃教育の賜物ですわ。
24*
しおりを挟む
「あの父は筋金入りのお馬鹿さんなのですわ。
父の産みの母であるお祖母様が亡くなられて半年程経ってから、お祖父様は当時の国王陛下に命じられて、少し離れた友好国の公爵令嬢と結婚されましたの。
それが、リリスお祖母様ですわ。
リリスお祖母様はとても優しい方で、前妻の子である父のことを実の子供のように育ててくださったそうですわ。
学園に入るときと学園を卒業するとき、そして父が婚約するときと結婚するときに、お祖父様とリリスお祖母様から丁寧にご説明されましたのに...未だに、リリスお祖母様を自分の実の母親だと勘違いしておりますの。」
「......自分の父親と継母と自分と自分の妻から産まれる筈のない色を持っているから、お2人が自分の子供ではない...と?」
「えぇ、そうですわ。
お祖母様の色を持って産まれた私達に反して、愚妹は両親の色だけを持っておりますから、大層可愛がっておりますの。
父は、私達を立て続けに産んだ母に対して暴力を振るっておりましたから、母は特別に愚妹の存在に依存しているのでしょうね。」
「...先代様は何故今になって帰って来られたのでしょうか?」
「リリスお祖母様の祖国へと強制的に送られた際に、リリスお祖母様のお身体を気遣って...あちらに滞在することを選んだのですわ。
15歳という若さでお祖父様の後妻として嫁がれたリリスお祖母様は、祖国に頼れるご家族がいらっしゃいませんの。
頼れる家族もいない、体調の優れぬ妻の側を離れられませんでしたのよ。」
「マリオ、お祖父様もリリスお祖母様も、ここからは少し遠い友好国に送られていても、いつも我々のことを気にかけてくれていたんだよ。
手紙を送って現状の説明やこちらへの気遣いなどをしてくれていたし、国王陛下にも僕達のことを頼むと共に説明もしてくれていたから...自分の子ではないと思い込んでいる父により、2人共廃嫡されずに済んだんだ。
半年程前にリリスお祖母様が亡くなられたから、葬儀などを終えて、馬鹿息子達に怒りをぶつけに殴り込みに来たんだ。
お祖母様の肖像画はこれまでも何度となく見せていたけれど、成長して綺麗になった今のティリーと瓜二つだからね。
誰も言い逃れ出来なくて、両親と愚妹についていた使用人も全員解雇されたから、すっきり爽快!!
今回のことで、王家とティリーの婚約も無くなるだろうから今まで悩んできた面倒な柵も無くなるな...。
我が家の憂いごとは、万事解決だ!!」
「それなら、母も安心してくれるでしょう。」
「良かったわ!」
自分で言うのも可笑しいですけれど、自分の子ではないと思い込んでいたとは言え、優秀な子供達を廃嫡して愚鈍な娘を残すだなんて、正気の沙汰ではございませんよね。
下らない選民思想に塗り固められていた3人を、不当に奪われていた公爵としての実権を正当に奪い返したお祖父様が廃嫡してくださいましたから、私達も領民も安心ですわね!
ご臨終の間際、リリスお祖母様のお側にいられなかったのは寂しい限りですけれど...。
リリスお祖母様がご危篤という知らせが隣国から来た時には、もう葬儀など諸々終わっておりましたものね。
......そういえば、お祖父様が前触れ無しに帰って来られてからずっとバタバタとしておりましたから聞けておりませんけれど、リリスお祖母様のお墓はどうなさるのかしら?
あちらに埋葬?...いえ、お祖父様ならご遺骨を持ち帰って来そうな気が.....?
あっ!お祖父様が大事そうに首に提げている、白い百合の描かれた妙に大きい黒い巾着だわ!!
あの中に、リリスお祖母様の骨壺が入っているのかもしれないわね。
それならば、リリスお祖母様に相応しい可愛らしいお墓を建てないといけないわ!
そうね、お祖母様とリリスお祖母様で、お祖父様を挟む位置になるように配置しましょう。
ウフフ、領地に帰ったら忙しいですわね!!
*
父の産みの母であるお祖母様が亡くなられて半年程経ってから、お祖父様は当時の国王陛下に命じられて、少し離れた友好国の公爵令嬢と結婚されましたの。
それが、リリスお祖母様ですわ。
リリスお祖母様はとても優しい方で、前妻の子である父のことを実の子供のように育ててくださったそうですわ。
学園に入るときと学園を卒業するとき、そして父が婚約するときと結婚するときに、お祖父様とリリスお祖母様から丁寧にご説明されましたのに...未だに、リリスお祖母様を自分の実の母親だと勘違いしておりますの。」
「......自分の父親と継母と自分と自分の妻から産まれる筈のない色を持っているから、お2人が自分の子供ではない...と?」
「えぇ、そうですわ。
お祖母様の色を持って産まれた私達に反して、愚妹は両親の色だけを持っておりますから、大層可愛がっておりますの。
父は、私達を立て続けに産んだ母に対して暴力を振るっておりましたから、母は特別に愚妹の存在に依存しているのでしょうね。」
「...先代様は何故今になって帰って来られたのでしょうか?」
「リリスお祖母様の祖国へと強制的に送られた際に、リリスお祖母様のお身体を気遣って...あちらに滞在することを選んだのですわ。
15歳という若さでお祖父様の後妻として嫁がれたリリスお祖母様は、祖国に頼れるご家族がいらっしゃいませんの。
頼れる家族もいない、体調の優れぬ妻の側を離れられませんでしたのよ。」
「マリオ、お祖父様もリリスお祖母様も、ここからは少し遠い友好国に送られていても、いつも我々のことを気にかけてくれていたんだよ。
手紙を送って現状の説明やこちらへの気遣いなどをしてくれていたし、国王陛下にも僕達のことを頼むと共に説明もしてくれていたから...自分の子ではないと思い込んでいる父により、2人共廃嫡されずに済んだんだ。
半年程前にリリスお祖母様が亡くなられたから、葬儀などを終えて、馬鹿息子達に怒りをぶつけに殴り込みに来たんだ。
お祖母様の肖像画はこれまでも何度となく見せていたけれど、成長して綺麗になった今のティリーと瓜二つだからね。
誰も言い逃れ出来なくて、両親と愚妹についていた使用人も全員解雇されたから、すっきり爽快!!
今回のことで、王家とティリーの婚約も無くなるだろうから今まで悩んできた面倒な柵も無くなるな...。
我が家の憂いごとは、万事解決だ!!」
「それなら、母も安心してくれるでしょう。」
「良かったわ!」
自分で言うのも可笑しいですけれど、自分の子ではないと思い込んでいたとは言え、優秀な子供達を廃嫡して愚鈍な娘を残すだなんて、正気の沙汰ではございませんよね。
下らない選民思想に塗り固められていた3人を、不当に奪われていた公爵としての実権を正当に奪い返したお祖父様が廃嫡してくださいましたから、私達も領民も安心ですわね!
ご臨終の間際、リリスお祖母様のお側にいられなかったのは寂しい限りですけれど...。
リリスお祖母様がご危篤という知らせが隣国から来た時には、もう葬儀など諸々終わっておりましたものね。
......そういえば、お祖父様が前触れ無しに帰って来られてからずっとバタバタとしておりましたから聞けておりませんけれど、リリスお祖母様のお墓はどうなさるのかしら?
あちらに埋葬?...いえ、お祖父様ならご遺骨を持ち帰って来そうな気が.....?
あっ!お祖父様が大事そうに首に提げている、白い百合の描かれた妙に大きい黒い巾着だわ!!
あの中に、リリスお祖母様の骨壺が入っているのかもしれないわね。
それならば、リリスお祖母様に相応しい可愛らしいお墓を建てないといけないわ!
そうね、お祖母様とリリスお祖母様で、お祖父様を挟む位置になるように配置しましょう。
ウフフ、領地に帰ったら忙しいですわね!!
*
10
お気に入りに追加
478
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??
シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。
何とかお姉様を救わなくては!
日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする!
小説家になろうで日間総合1位を取れました~
転載防止のためにこちらでも投稿します。
思わず呆れる婚約破棄
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。
だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。
余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。
……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。
よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる