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4 : 成績が良いのは王子妃教育の賜物ですわ。

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「お前のような小娘が、偉そうにするな!!
何の権限があってそんなことを...」

「小娘であろうと、公爵令嬢と平民であれば公爵令嬢の方が格が上ですわ。
貴方、もう少し身分制度というものをきちんと理解した方がよろしいですわよ?」

「知らないみたいだから一応説明してあげる。我がルーベリン公爵家は、聖国との国境にある関所を管轄する領地を持っているんだよ。
だから、ユーティリカが報告すると言うよりもルーベリン家が報告するんだよね...聖国から、君の所在を見つけ次第教えて欲しいって言われてるしね。」

「なんてことだ...俺は、もぉ終わりだ......。」

一応、理解されたご様子ですわね...もう遅いのですけど。
この男が聖国を出て行方知れずになったときに、聖国が直ぐに周辺諸国に報告なさっていればこのような事態を防げましたのに...神を祀っているプライド故か、変に隠し立てするからこんな大事になるのですわ。
この男が王妃陛下に対して放った検討外れの暴言は、聖国の重鎮の方々にとっては、この国との国交を断絶されるやもしれない一大事ですもの...もしかすると、ご家族にも類が及びますのよねぇ。
ウフフ、この男を野放しになさったツケですわね...ご愁傷さまです。
この方の娘や妻のこともありますもの、手心など加えませんわ。

「フェリシモ?どぉしたのよぉ?
もしかしてぇ、あの小娘がぁ何かしたのぉ?」

「...衛兵。」

「!!ふんぎゅぅっ!!ンンヴッ!!」

「はっ!」

衛兵さん...陛下に命じられる前に、そして陛下への返事の前に猿ぐつわを嵌められましたよね?
ずっーと、猿ぐつわを片手に握りしめて、めた眼差しで見つめているなぁとは気付いておりましたのよ...。
でもね?行動が早すぎませんか?
あら嫌だわ...清々しい笑みでこちらを見ないでほしいのだけど?
何?もしかして、お兄様のお仲間なの?
あぁ、この方も同類ですのね...スリゼルの...。
お兄様ったら、衛兵さんまでたらしてたのね?
本当に、手のお早いこと...。

「ティリー?言いたいことがあるのなら、聞くよ?
ほら、言ってごらん?」

「あの衛兵さんは、お兄様のお知り合いですの?
もしかして、ご学友の方でしたか?」

「あぁ、マリオはこの学園に通っていたときに出来た友人だよ。
お父上が王都の衛兵隊長をしていてね?
どうにかして家族ごと我が領地に引き抜けないかなーって、話し合いの最中なんだよね。
最も彼と1番仲が良いのは、スリゼルの方だよ。
護衛を生業とする者同士で気が合ったみたいだからねー。
ティリー、彼が気になるの?」

「まぁ、やっぱりスリゼルのお友達でしたのね?
乙女の勘ですけれど、スリゼルと気が合いそうだなぁと思いましたの。
彼をご家族ごと領地に引き抜かれるのなら、きちんとご家族皆様にお話しを聞かなくてはなりませんよ?
彼と彼のお父上だけでは気付けないものを、お母上や他のご兄弟姉妹方が...(いらっしゃるのか私は知りませんけれど...)気付けるということもありますからね?」

「ふむ、たしかに女性の意見も大事だからな...分かった。
マリオのご家族を王都の邸に招いて、話し合いの場を設けよう。
マリオには9つ離れた商家を起こした長兄夫婦と、同じ衛兵隊に属している2つ上の次兄と、学園に在籍中の4つ下になる双子の弟が2人いたな。
あぁ、1つ上に身体の弱い姉君がいた筈だから、その姉君も参加出来るように手配しないとな。

長兄夫婦は王都で起業しているらしいから無理かもしれんが、姉君は緑豊かな我が領地に来た方が療養になるだろうし、お母上は派手なことを嫌うそうだから反対されないと思うのだが、姉君は領地まで馬車に乗れるだろうか?
ティリーはどう思う?」

少し気になって衛兵さんを見つめていると、お兄様がバックハグをして私の頭に頬をスリスリしてきましたわ。
今日はご令嬢らしく、お淑やかにくるりんぱしてますのよ?
そんなことをしたら、髪形が崩れてしまいますわ。
もうっ!私は真剣なお話しをしておりますのよ?
腕を叩いて離れるように合図すると、髪を解いてからハーフアップに編み込んでくれました。
...何気に女子力高いですよね?お兄様って...。





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