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妹の方が良いと婚約を破棄されました。え、本当に?!
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「あら、お仕事のためとは言え、母は10年も不在にしておりましたのよ?
不在の母に代わりまして、娘である私が女主人を代行するのは当然のことですわ。
それに、母は10年も貴族社会から離れて暮らしていたのですよ?
出産後ということもありますし、まだ完全に引き継ぎが出来る状態ではありませんの。
それに、母への完全な引き継ぎの時期は、父が判断すると決まっておりますわ。」
強欲ですか...引き継ぎを終えていないのに、女主人としての執務を手放すなんて出来ませんわよね。
文句があるのならば、母を10年も縛り付けたのんびり屋さんな魔女見習いの方と、帰宅早々に母を妊娠させて引き継ぎを遅れさせる原因を作った父に言っていただきたいですわ。
「まぁ、まさかとは思っておりましたけれど、皆様お忘れなのですね...面白いわ!」
「ユリーア様、そんなに歯を見せて笑うだなんて、はしたないですわよ?」
「いえ、皆様の方がはしたないことをなさっておられますわよ?」
「なんですって?!」
「どうにかしてマグナレーダ様と繋がろうとしておられるのでしょうけれど、実の娘さんを貶すような方々と繋がりたいとは思わないでしょう?」
「え...?」
「何を言っているの?」
「そうよ、シャリア様がマグナレーダ様の実の娘ですって?」
「あら、本当に皆様はお忘れなのですか?」
「え、だって、マグナレーダ様はずっと辺境におられて、2年前に後妻として嫁がれたのでしょう?」
「えぇ、奥様がいないからと、シャリア様が女主人として采配なされていたじゃない?」
「ほら、マグナレーダ様は後妻でしょう?」
「いいえ、それは違いますわ。
ねぇ、シャリア様、そうでしょう?」
ユリーア様、私が案内されてきてから、ずっとニコニコと微笑まれているなとは気付いておりましたけれど、とても楽しそうですわね。
私の母のことを、ユリーア様は気付いておられたのですね?
皆様は、戸惑っておられるご様子ですわ。
「えぇ、確かに母は王命により辺境にて10年程過ごしておりましたが、父との婚姻関係を解消してはおりませんでした。
10年もの間私達は離れて暮らしておりましたが、母はずっと父と婚姻したままでしたので、後妻として嫁いできたというのは皆様の勘違いですわ。
そして、私を産んだのも母でございます。」
「え?お母様は亡くなられたと仰っていたわよね?」
「えぇ、私、お恥ずかしながら...母は遠くに行かれたのだと聞いておりましたの。
お手紙も送れないような、そんな遠い所に行ってしまわれたのだと...母がお仕事に行かれたのだとは知らなかったのです。
ですから、私の母はもう亡くなられたのだと、二度と会うことは出来ないのだと、そう思っておりましたの。」
「お手紙も送れないような遠い所に?
それは、亡くなられたと思ってしまっても仕方ありませんわよね。」
「えぇ、母からも一度もお手紙が来たことなどありませんでしたから...皆様に誤解させてしまったのは私のせいですわね。」
「あら、貴女が謝る必要はありませんわ。
皆様も、シャリア様がマグナレーダ様の娘さんであることは知っておられた筈でしょう?
私達は、シャリア様よりも7つ歳上ですのよ?
シャリア様に、
『私の母は亡くなられているの。』
と言われたとしたら、皆様は可笑しいと気付くべきですわ。
マグナレーダ様に出された王命を、私達は知っている筈なのですから。」
「...そうね......。」
「そう言えば、後妻を娶られたという通達はありませんでしたわね。」
「マグナレーダ様は、嫁ぎ先に戻っただけでしたの?」
「はい、そうなりますわ。」
「私の母も、マグナレーダ様は後妻として嫁がれたのだと勘違いしておりますわ。」
「皆様が勘違いなされても、仕方ないことなのかもしれませんわ。
母は不老と言われる魔女ですから、あまり容姿が変わりませんもの。」
「そうよね...お若い時のままですものね。」
魔女というものは、不思議な存在ですものね。
不老ではあるけれど、不死ではないのですもの。
母曰く、保有している魔力の量により、不老である時期が変わるのだそうですわ。
*
不在の母に代わりまして、娘である私が女主人を代行するのは当然のことですわ。
それに、母は10年も貴族社会から離れて暮らしていたのですよ?
出産後ということもありますし、まだ完全に引き継ぎが出来る状態ではありませんの。
それに、母への完全な引き継ぎの時期は、父が判断すると決まっておりますわ。」
強欲ですか...引き継ぎを終えていないのに、女主人としての執務を手放すなんて出来ませんわよね。
文句があるのならば、母を10年も縛り付けたのんびり屋さんな魔女見習いの方と、帰宅早々に母を妊娠させて引き継ぎを遅れさせる原因を作った父に言っていただきたいですわ。
「まぁ、まさかとは思っておりましたけれど、皆様お忘れなのですね...面白いわ!」
「ユリーア様、そんなに歯を見せて笑うだなんて、はしたないですわよ?」
「いえ、皆様の方がはしたないことをなさっておられますわよ?」
「なんですって?!」
「どうにかしてマグナレーダ様と繋がろうとしておられるのでしょうけれど、実の娘さんを貶すような方々と繋がりたいとは思わないでしょう?」
「え...?」
「何を言っているの?」
「そうよ、シャリア様がマグナレーダ様の実の娘ですって?」
「あら、本当に皆様はお忘れなのですか?」
「え、だって、マグナレーダ様はずっと辺境におられて、2年前に後妻として嫁がれたのでしょう?」
「えぇ、奥様がいないからと、シャリア様が女主人として采配なされていたじゃない?」
「ほら、マグナレーダ様は後妻でしょう?」
「いいえ、それは違いますわ。
ねぇ、シャリア様、そうでしょう?」
ユリーア様、私が案内されてきてから、ずっとニコニコと微笑まれているなとは気付いておりましたけれど、とても楽しそうですわね。
私の母のことを、ユリーア様は気付いておられたのですね?
皆様は、戸惑っておられるご様子ですわ。
「えぇ、確かに母は王命により辺境にて10年程過ごしておりましたが、父との婚姻関係を解消してはおりませんでした。
10年もの間私達は離れて暮らしておりましたが、母はずっと父と婚姻したままでしたので、後妻として嫁いできたというのは皆様の勘違いですわ。
そして、私を産んだのも母でございます。」
「え?お母様は亡くなられたと仰っていたわよね?」
「えぇ、私、お恥ずかしながら...母は遠くに行かれたのだと聞いておりましたの。
お手紙も送れないような、そんな遠い所に行ってしまわれたのだと...母がお仕事に行かれたのだとは知らなかったのです。
ですから、私の母はもう亡くなられたのだと、二度と会うことは出来ないのだと、そう思っておりましたの。」
「お手紙も送れないような遠い所に?
それは、亡くなられたと思ってしまっても仕方ありませんわよね。」
「えぇ、母からも一度もお手紙が来たことなどありませんでしたから...皆様に誤解させてしまったのは私のせいですわね。」
「あら、貴女が謝る必要はありませんわ。
皆様も、シャリア様がマグナレーダ様の娘さんであることは知っておられた筈でしょう?
私達は、シャリア様よりも7つ歳上ですのよ?
シャリア様に、
『私の母は亡くなられているの。』
と言われたとしたら、皆様は可笑しいと気付くべきですわ。
マグナレーダ様に出された王命を、私達は知っている筈なのですから。」
「...そうね......。」
「そう言えば、後妻を娶られたという通達はありませんでしたわね。」
「マグナレーダ様は、嫁ぎ先に戻っただけでしたの?」
「はい、そうなりますわ。」
「私の母も、マグナレーダ様は後妻として嫁がれたのだと勘違いしておりますわ。」
「皆様が勘違いなされても、仕方ないことなのかもしれませんわ。
母は不老と言われる魔女ですから、あまり容姿が変わりませんもの。」
「そうよね...お若い時のままですものね。」
魔女というものは、不思議な存在ですものね。
不老ではあるけれど、不死ではないのですもの。
母曰く、保有している魔力の量により、不老である時期が変わるのだそうですわ。
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