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可及的速やかに、離婚したい。
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あぁ、お姉様は、お姉様が3歳の頃に馬車の事故により亡くなられた先妻様とのお子ですの。
その後、お姉様が5歳の頃に、子は望めぬだろうと言われながらも政略の為にと後妻となった私の母が、お姉様が6歳になられた頃に
『可愛いリディに妹を産みますの!』
と、周囲の反対を聞こえない振りをしてまで押し退けて、渋るお父様を脅は...説得して、私を産んで直ぐに儚くなられました。
2度も母を亡くしたお姉様は、2度も妻を亡くし府抜けてしまったお父様のお尻を、ぐずる赤子の私を抱きながらも幾度も平手打ちして奮起させ、時には姉として時には母として私を見守り愛してくださいましたの。
特に変な性癖もなく黒い噂もなくいつも紳士なお父様には、2度も妻を亡くしたというのに幾人もの未婚の女性から婚姻の申し出が度々ありました。
ですが、妻を3度も失うなんて耐えられないからと、私達が2人共成人したのにも関わらず未だに愛人すら作らずに逃げ回っております。
それぞれの母に似たお姉様や私を溺愛してくださっておりまして、権力を濫用し私と婚姻しようとなさるあの男の家へと直接乗り込もうかとさえしておりましたのよ?
今回は一応私の希望もありまして婚姻式を行うことにいたしましたので、執事長と協力いたしまして家の執務室に閉じ込めて参りましたの。
お父様に動かれてしまうと、王妃様と立てた計画が狂いますわ。
「まぁ!そうなの?
それは安心ね!良かったわ!」
「このこともお話ししたかったのに、お姉様ったら逃げるのだもの...。」
「だって、私は貴女を助けてあげられないのだもの......。」
あの男の家はお姉様の嫁ぎ先よりも高位ですものね...私を助けられないなんてこと、仕方ありませんわ。
けれどね?お姉様に会えるだけでも話せるだけでも、私は幸せなのですわ。
「お姉様がお話しを聞いてくださるだけで、とても助かりますわ。」
「本当に天使なんだから!
あぁ、今からでも遅くは無いわ!
やっぱり、可愛い妹をあんな馬鹿共に渡すなんて嫌よ!
無理矢理に行われた婚姻の無効を申し立てますわ!」
「それなら、陛下が代表となって申し立ててくださってる筈ですわ。」
「...えぇ、それは知っているわ。
でもね?妻のお気に入りを護りたいと願う陛下の申し立てだけよりも、貴女を溺愛している姉である私の申し立てもあるということが重要なのですわ!
ウフフ、今に見てらっしゃい!
陛下に楯突いたとしても、古くからある家柄だから大丈夫だと思ってらっしゃるようですけれど、目にもの見せて差し上げますわ!」
「王妃様と立てた計画にはありませんでしたけれど、お姉様が申し立ててくださるなんてとても嬉しいですわ!
ただ、お父様も申し立ててくださってはいるのですが...握り潰されているようなのですわ。
もしかしたら、お姉様の申し立ても握り潰されてしまうかもしれませんわ。」
「あら、そうなの?
それなら、陛下を通してなんとしてでも申し立てをいたしましょう。
それで、お父様にも陛下を通して申し立てをしていただけば良いのですわ!
お父様は、陛下を通すということが権力の濫用になりはしないかと考えているのでしょうけれど、元々はあちらが権力を濫用なされておりますものね。
きっとお母様もそれを望んでおられる筈ですもの!」
部屋に入って早々に、重苦しくて私の体型に合わない既製品の婚礼衣装を脱ぎ捨てて、王妃様直属の文官の制服を身に付けた私を抱きしめてくださるお姉様。
あの男の家が勝手に用意した婚礼衣装は、裕福な商人が良く利用する店の既製品だったからか、お腹はユルくて同色のコルセットを上から締めなければならなくって大変でしたし、胸の所が少しばかりキツくて...式の間ずっと、余計な動きをすれば縫い目がハチ切れるのではないかと心配だったの。
せめて、事前に試着させてもらって、多少の手直しくらいしてほしかったわ。
*
その後、お姉様が5歳の頃に、子は望めぬだろうと言われながらも政略の為にと後妻となった私の母が、お姉様が6歳になられた頃に
『可愛いリディに妹を産みますの!』
と、周囲の反対を聞こえない振りをしてまで押し退けて、渋るお父様を脅は...説得して、私を産んで直ぐに儚くなられました。
2度も母を亡くしたお姉様は、2度も妻を亡くし府抜けてしまったお父様のお尻を、ぐずる赤子の私を抱きながらも幾度も平手打ちして奮起させ、時には姉として時には母として私を見守り愛してくださいましたの。
特に変な性癖もなく黒い噂もなくいつも紳士なお父様には、2度も妻を亡くしたというのに幾人もの未婚の女性から婚姻の申し出が度々ありました。
ですが、妻を3度も失うなんて耐えられないからと、私達が2人共成人したのにも関わらず未だに愛人すら作らずに逃げ回っております。
それぞれの母に似たお姉様や私を溺愛してくださっておりまして、権力を濫用し私と婚姻しようとなさるあの男の家へと直接乗り込もうかとさえしておりましたのよ?
今回は一応私の希望もありまして婚姻式を行うことにいたしましたので、執事長と協力いたしまして家の執務室に閉じ込めて参りましたの。
お父様に動かれてしまうと、王妃様と立てた計画が狂いますわ。
「まぁ!そうなの?
それは安心ね!良かったわ!」
「このこともお話ししたかったのに、お姉様ったら逃げるのだもの...。」
「だって、私は貴女を助けてあげられないのだもの......。」
あの男の家はお姉様の嫁ぎ先よりも高位ですものね...私を助けられないなんてこと、仕方ありませんわ。
けれどね?お姉様に会えるだけでも話せるだけでも、私は幸せなのですわ。
「お姉様がお話しを聞いてくださるだけで、とても助かりますわ。」
「本当に天使なんだから!
あぁ、今からでも遅くは無いわ!
やっぱり、可愛い妹をあんな馬鹿共に渡すなんて嫌よ!
無理矢理に行われた婚姻の無効を申し立てますわ!」
「それなら、陛下が代表となって申し立ててくださってる筈ですわ。」
「...えぇ、それは知っているわ。
でもね?妻のお気に入りを護りたいと願う陛下の申し立てだけよりも、貴女を溺愛している姉である私の申し立てもあるということが重要なのですわ!
ウフフ、今に見てらっしゃい!
陛下に楯突いたとしても、古くからある家柄だから大丈夫だと思ってらっしゃるようですけれど、目にもの見せて差し上げますわ!」
「王妃様と立てた計画にはありませんでしたけれど、お姉様が申し立ててくださるなんてとても嬉しいですわ!
ただ、お父様も申し立ててくださってはいるのですが...握り潰されているようなのですわ。
もしかしたら、お姉様の申し立ても握り潰されてしまうかもしれませんわ。」
「あら、そうなの?
それなら、陛下を通してなんとしてでも申し立てをいたしましょう。
それで、お父様にも陛下を通して申し立てをしていただけば良いのですわ!
お父様は、陛下を通すということが権力の濫用になりはしないかと考えているのでしょうけれど、元々はあちらが権力を濫用なされておりますものね。
きっとお母様もそれを望んでおられる筈ですもの!」
部屋に入って早々に、重苦しくて私の体型に合わない既製品の婚礼衣装を脱ぎ捨てて、王妃様直属の文官の制服を身に付けた私を抱きしめてくださるお姉様。
あの男の家が勝手に用意した婚礼衣装は、裕福な商人が良く利用する店の既製品だったからか、お腹はユルくて同色のコルセットを上から締めなければならなくって大変でしたし、胸の所が少しばかりキツくて...式の間ずっと、余計な動きをすれば縫い目がハチ切れるのではないかと心配だったの。
せめて、事前に試着させてもらって、多少の手直しくらいしてほしかったわ。
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