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傍観者はぶれません。

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「さて、玉座を降りてくださいますよね?」

お兄様、とても嬉しそうな笑顔ですわね。

「え?聞く必要あるの?
これだけやらかしているのに、今更降りないなんて言えないでしょう?
父上って、どれだけ阿呆だと思われているの?」

ヒューリー...アホ父が、愕然とした顔をして貴方を見ているわよ?
息子にそんな風に言われて、ショックだったみたいね。
でも、自業自得よ。

「ヒューリー?こういうのは、一応本人に聞いておく方が良いんだよ?
無理矢理に降ろしたとなると、クーデターだと思われてしまうじゃないか。
王と王妃の不手際なのに、そんな不名誉を僕らが被るなんて嫌でしょう?」

そうね...本人が本人の意思で降りる方が、他国の印象も良いわね。

「あ、そっか...うん、それだけは嫌だ!」

あら、ヒューリーは素直ですこと。

「わ、分かった!
私は、玉座から降りよう。
だが、」

ん?まさか、玉座を降りるにあたって、条件をつけるおつもりなのかしら?
あ、もしかして、ミシェールをレイハルト王子に嫁がせろとでも言うのかしら?
それはレイハルト王子本人が嫌がっておいでのご様子ですし、無理だと思いますわよ?

「?貴方が、条件なんて付けられるとお思いですか?
あぁ、安心してください。
追放される貴方も王妃もミシェールも、王籍から外しますので...今後の身分は平民となります。
あぁ、そうでした!
もう1つ伝えておきますが、貴方達3人を送る場所は、キューリルド平原というとても長閑な所を用意しております。
キューリルド平原には新しく屋敷を建ててありますし、身の回りの世話をしてくれる使用人も私が雇っております。
今頃は、送られてきた貴方達の荷物の整理をしてくれているでしょう。
馬車も表に用意してありますので、どうぞ、さっさと向かってくださいませ。
見送りくらいならばいたしますよ?」

あれ?荒れた草原の広がるキューリルド平原に、いつの間に屋敷なんて建ててたの?
私、知らなかったわ!
キューリルド平原は、辺境のまた辺境の地ですから...幽閉には最適かもしれませんわね。
お兄様のことですから、使用人には戦える人間を配置しているのでしょうか?
逃げ出せないように、誰も入り込めないように、中も外もガチガチに固めていそうですわね。

「み、ミシェールまで?!」

あら、驚愕しているわ!

「当然でしょう?
あの子は、貴方や王妃に甘やかされ過ぎて傲慢に育ちすぎましたからね。
側妃となったリヴェラの母親の形見を勝手に捨てさせようとするなど、人として最低の行為ですよ?
それに、身内と言えど、許可もなく勝手に部屋に入るなどあり得ない愚行です。
リヴェラの部屋にも、私の部屋にも、勝手に入って宝石を物色していましたよ?
王太子の証である勲章を可愛いから寄越せと言われたときは、つい頭をシバイてしまいました。
あの子の自分至上主義な思考回路は、理解に苦しみます。
人の部屋に勝手に入って宝石を物色するなど、まるで盗っ人ではありませんか。」

あ、ミシェールが、お兄様の部屋から泣きながら頭を押さえて出てきたときのことかしら?
そう、王太子の証である勲章を欲しがりましたのね...それはシバいてもおかしくありませんわ。
私の宝石については、いつも勝手に持ち出しますのよね...まぁ、実際に持ち出せたことはありませんけれど。
私の所有する宝石に関しましては、お祖父様やお兄様がくださったものばかりですから...部屋から持ち出せるのは私だけとなっておりますの。
お祖父様やお兄様により魔法がかけられておりまして、私の側から離すことや私の部屋からは出せませんのよ。
お兄様やヒューリーの宝石も同じように魔法をかけている筈ですわ。
部屋から持ち出せないとしても、ミシェールのやっていることはまるで盗っ人ですし...勝手に部屋に入る時点で、不法侵入ですものね。
まぁ、盗みに関しては1度も成功はしておりませんけれど...。

「まだ若いから更生の余地とかはあるのかもしれないけど、一緒に住むとかもう考えたくもないよ...。
ただただ嫉妬して、姉上を害そうとするだけの日々だったんですよ?。
これまでもそうだったんだから、これからも変わらないでしょう。」

ヒューリー、私もあの子と住むなんてもう嫌だわ。
階段から落とされそうになったり、上から植木鉢が降ってきたり、命の危険を感じまくりの状態でしたのよ?
アホ父に何度言っても改善されないし...直接ミシェールにお会いして、腕や脚の1・2本、折ってやろうかとも考えましたわ!
後々が面倒ですから、いたしませんでしたけれど...。





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