72 / 72
第72編「無防備にも程があるでしょう……」※
しおりを挟む
(上手、に?)
言葉の意味を考えるために脳を働かせようとした瞬間、裕一郎の少し冷たい指先が恋幸の耳たぶに触れる。
「っひゃ、」
不意をつかれたせいで恋幸の唇からはおかしな声がこぼれ落ち、裕一郎は目線の下で薄い肩がびくりと跳ねるのを見て口の端を緩やかに引いた。
「……っ、ふっ……っ」
長い指の先が耳の形を確かめるかのようにゆっくりと肌の上をなぞるだけで、ぞわぞわとした感覚が肩から背中まで駆け抜けていき勝手に体がびくついてしまう。
「耳、弱いんですか?」
「え? わから、っあ!?」
わからないと言い切る前に耳たぶを熱いものが這い、先ほどよりも大きな感覚が脳天を突く。
すぐ耳元で聞こえた裕一郎の熱い息遣いでようやく耳を舐められているのだと理解したものの、ちゅうと軽く吸われただけで力が抜けてしまい「どうしてそんなところを?」と問うことなどできなかった。
「っあ、んん、っ」
「……可愛い」
耳の裏側と首筋に一つずつ口付けを降らせて下りてきた唇は愛おしそうに呟きを落とし、裕一郎は上半身を屈めて恋幸の頬にキスをする。
恋幸がふにゃりとはにかんだのを見て、裕一郎もつられたように口元を緩めた。
そして、ゆっくりと下へ降りた大きな手がパジャマの布ごしに優しく胸の膨らみに触れる。瞬間──裕一郎は違和感に気がついた。
「……恋幸さん、」
「?」
「下着、付けていないんですか?」
「……、……っあ、これは……!!」
投げられた問いを理解した瞬間、添えられている裕一郎の手の上から両腕で胸を抱いて覆い隠す。ほとんど意味を成していないそのいじらしい行動を見て、裕一郎は心を逆撫でされるような感覚に陥った。
恋幸の胸は学生時代からあまり育っておらず、一般的な成人女性の中では『小さい』と揶揄されてしまうサイズである。
故に、普段から風呂上がりに寝巻きへ着替えた際にはノースリーブのアンダーウェアを下に着る程度で済ませていたのだが、恋人に対してどう説明するべきかわからず「あの、えっと」と歯切れの悪い言葉が口からこぼれ落ちた。
だが、どうやらそれが更に彼の加虐心を煽ってしまったらしい。
「貴女のことですから、“こう”なる事なんて全く想像していなかったんでしょうね」
「──っあ、っ!」
生地がそれほど厚くないせいで、パジャマとアンダーウェアの布を通していても胸の先でぷくりと主張する突起が視認できてしまう。
喉の奥で小さく笑った裕一郎は服の上から突起を優しく摘んだ後、指の腹ですりすりと撫で始める。
「警戒してくださいと言ったのに……」
「ん、っん、ご、ごめんなさ、い」
不快感とは違うぞわぞわとした感覚が腰から首の後ろにかけてを登り、頭の中が少しぼーっとして利口な返事が思い浮かばない。
意味もなく口をついて出た謝罪に、裕一郎はわずかに目を細めて空いている方の手で恋幸の頭を撫でた。
「……本当に無防備だな」
ぽつりと落ちた呟きに問いを被せようとした時、視界の端で移動した裕一郎の手がお腹からするりと服の中に入り込む。
反射的にびくりと肩が跳ねれば、まるで「大丈夫」とでも言うように甘いキスが落とされた。
まだ少し冷たさの残る指が胸の膨らみを包み込んで、ゆっくり柔らかに揉みほぐされているうちに少しずつおかしな感覚が胸の奥から押し寄せる。
目を閉じてその感覚に集中していると、先ほどまで頭を撫でてくれていた手がもう片方の胸に触れ、親指の腹でくるりと突起を撫でた。
「ふ、ぁっ」
「痛いですか?」
「んん、痛くないです」
「良かった」
ふるふると首を左右に振ってから気がつく。このぞわぞわとした感覚が『気持ち良い』と言う事なのだと。
(きもちいい。裕一郎様に触られて、きもちいい)
不意に、裕一郎の長い指先が胸の頂で主張するものをきゅっと摘む。
「──っあ! あっ、んん、」
びくんと体が跳ねたのも一瞬で、脳に流れ込む『気持ち良い』を必死で追いかけているうちに、気付けば恋幸は背中を少し仰け反らせて「どうぞ好きなだけ触ってください」と言わんばかりに自身の胸を突き出してしまっていた。
同時に、大きな声を出してしまった羞恥心から、右手を口に当てて唇に力を込める。
「……声、どうして我慢してしまうんですか?」
どこか不服そうな低音がすぐ耳元で問いかけてくるが、少しでも気を抜けばまた先ほどのように“大人のレディ”からかけ離れた鳴き声をあげてしまいそうで、恋幸は口元の手にぐっと力を込めて小さくかぶりを振った。
すると、意味を理解したらしい裕一郎がふうと小さく息を吐く。
「頑固ですね」
(裕一郎様に辺な声聞かれるくらいなら『頑固』でいいもん……!)
直後──「まあ、」と続けた裕一郎は胸の膨らみから手を離し、くびれから腰にかけてのラインを柔らかくなぞった。
「その可愛らしい強がりがいつまで保つのか知りませんが、ね」
言葉の意味を考えるために脳を働かせようとした瞬間、裕一郎の少し冷たい指先が恋幸の耳たぶに触れる。
「っひゃ、」
不意をつかれたせいで恋幸の唇からはおかしな声がこぼれ落ち、裕一郎は目線の下で薄い肩がびくりと跳ねるのを見て口の端を緩やかに引いた。
「……っ、ふっ……っ」
長い指の先が耳の形を確かめるかのようにゆっくりと肌の上をなぞるだけで、ぞわぞわとした感覚が肩から背中まで駆け抜けていき勝手に体がびくついてしまう。
「耳、弱いんですか?」
「え? わから、っあ!?」
わからないと言い切る前に耳たぶを熱いものが這い、先ほどよりも大きな感覚が脳天を突く。
すぐ耳元で聞こえた裕一郎の熱い息遣いでようやく耳を舐められているのだと理解したものの、ちゅうと軽く吸われただけで力が抜けてしまい「どうしてそんなところを?」と問うことなどできなかった。
「っあ、んん、っ」
「……可愛い」
耳の裏側と首筋に一つずつ口付けを降らせて下りてきた唇は愛おしそうに呟きを落とし、裕一郎は上半身を屈めて恋幸の頬にキスをする。
恋幸がふにゃりとはにかんだのを見て、裕一郎もつられたように口元を緩めた。
そして、ゆっくりと下へ降りた大きな手がパジャマの布ごしに優しく胸の膨らみに触れる。瞬間──裕一郎は違和感に気がついた。
「……恋幸さん、」
「?」
「下着、付けていないんですか?」
「……、……っあ、これは……!!」
投げられた問いを理解した瞬間、添えられている裕一郎の手の上から両腕で胸を抱いて覆い隠す。ほとんど意味を成していないそのいじらしい行動を見て、裕一郎は心を逆撫でされるような感覚に陥った。
恋幸の胸は学生時代からあまり育っておらず、一般的な成人女性の中では『小さい』と揶揄されてしまうサイズである。
故に、普段から風呂上がりに寝巻きへ着替えた際にはノースリーブのアンダーウェアを下に着る程度で済ませていたのだが、恋人に対してどう説明するべきかわからず「あの、えっと」と歯切れの悪い言葉が口からこぼれ落ちた。
だが、どうやらそれが更に彼の加虐心を煽ってしまったらしい。
「貴女のことですから、“こう”なる事なんて全く想像していなかったんでしょうね」
「──っあ、っ!」
生地がそれほど厚くないせいで、パジャマとアンダーウェアの布を通していても胸の先でぷくりと主張する突起が視認できてしまう。
喉の奥で小さく笑った裕一郎は服の上から突起を優しく摘んだ後、指の腹ですりすりと撫で始める。
「警戒してくださいと言ったのに……」
「ん、っん、ご、ごめんなさ、い」
不快感とは違うぞわぞわとした感覚が腰から首の後ろにかけてを登り、頭の中が少しぼーっとして利口な返事が思い浮かばない。
意味もなく口をついて出た謝罪に、裕一郎はわずかに目を細めて空いている方の手で恋幸の頭を撫でた。
「……本当に無防備だな」
ぽつりと落ちた呟きに問いを被せようとした時、視界の端で移動した裕一郎の手がお腹からするりと服の中に入り込む。
反射的にびくりと肩が跳ねれば、まるで「大丈夫」とでも言うように甘いキスが落とされた。
まだ少し冷たさの残る指が胸の膨らみを包み込んで、ゆっくり柔らかに揉みほぐされているうちに少しずつおかしな感覚が胸の奥から押し寄せる。
目を閉じてその感覚に集中していると、先ほどまで頭を撫でてくれていた手がもう片方の胸に触れ、親指の腹でくるりと突起を撫でた。
「ふ、ぁっ」
「痛いですか?」
「んん、痛くないです」
「良かった」
ふるふると首を左右に振ってから気がつく。このぞわぞわとした感覚が『気持ち良い』と言う事なのだと。
(きもちいい。裕一郎様に触られて、きもちいい)
不意に、裕一郎の長い指先が胸の頂で主張するものをきゅっと摘む。
「──っあ! あっ、んん、」
びくんと体が跳ねたのも一瞬で、脳に流れ込む『気持ち良い』を必死で追いかけているうちに、気付けば恋幸は背中を少し仰け反らせて「どうぞ好きなだけ触ってください」と言わんばかりに自身の胸を突き出してしまっていた。
同時に、大きな声を出してしまった羞恥心から、右手を口に当てて唇に力を込める。
「……声、どうして我慢してしまうんですか?」
どこか不服そうな低音がすぐ耳元で問いかけてくるが、少しでも気を抜けばまた先ほどのように“大人のレディ”からかけ離れた鳴き声をあげてしまいそうで、恋幸は口元の手にぐっと力を込めて小さくかぶりを振った。
すると、意味を理解したらしい裕一郎がふうと小さく息を吐く。
「頑固ですね」
(裕一郎様に辺な声聞かれるくらいなら『頑固』でいいもん……!)
直後──「まあ、」と続けた裕一郎は胸の膨らみから手を離し、くびれから腰にかけてのラインを柔らかくなぞった。
「その可愛らしい強がりがいつまで保つのか知りませんが、ね」
0
お気に入りに追加
75
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
初めまして!もー二人とも可愛すぎです!とっても面白かったです!!素敵な作品をありがとうございました!!!
ぽめ子様
こんにちは、はじめまして!こちらこそ嬉しいお言葉をありがとうございます……!(*´ω`*)🌸
恋幸ちゃんや裕一郎様を可愛いと感じていただけて・ストーリーを楽しんでいただけて本当に嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ💗
これからも精進して参りますので、最後までお付き合いくださいますと幸いです🐰💓
最新話も尊かったです!
恋幸ちゃんが可愛いくて、裕一郎さんとのやりとりにきゅんきゅんします!
これからも楽しみにしてます。
私事ですが、ユーザ名を変更しました!
百崎先生にはまったく及びませんが、お話も書き始めたので、よろしければ覗いてみてください。
アカツキ様
こんにちは、この度も嬉しいお言葉の数々をありがとうございます(*´///`*)💕
新しいものも素敵なお名前ですね(*´∀`*)🌸
私もまだまだ精進中の身なので、これからもお互いに無理なく頑張りましょうね……!(っ`ω´c)
ドンピシャのツボです!
読んでいて、とても楽しく、きゅんきゅんします。
最新話が楽しみです。
これからも頑張ってください!
フロワ様
こんばんは、はじめまして。読んでくださり、そして身に余る嬉しいお言葉を本当にありがとうございます……!(*´///`*)💗
これからも楽しんで頂けるよう&ときめきをお届けできるように精進して参りますので、引き続きお付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*)ありがとうございます、頑張ります!🌸