来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世ではエリート社長になっていて私に対して冷たい……と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜

百崎千鶴

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第72編「無防備にも程があるでしょう……」※

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(上手、に?)


 言葉の意味を考えるために脳を働かせようとした瞬間、裕一郎の少し冷たい指先が恋幸の耳たぶに触れる。


「っひゃ、」


 不意をつかれたせいで恋幸の唇からはおかしな声がこぼれ落ち、裕一郎は目線の下で薄い肩がびくりと跳ねるのを見て口の端をゆるやかに引いた。


「……っ、ふっ……っ」


 長い指の先が耳の形を確かめるかのようにゆっくりと肌の上をなぞるだけで、ぞわぞわとした感覚が肩から背中まで駆け抜けていき勝手に体がびくついてしまう。


「耳、弱いんですか?」
「え? わから、っあ!?」


 わからないと言い切る前に耳たぶを熱いものが這い、先ほどよりも大きな感覚が脳天を突く。
 すぐ耳元で聞こえた裕一郎の熱い息遣いでようやく耳を舐められているのだと理解したものの、ちゅうと軽く吸われただけで力が抜けてしまい「どうしてそんなところを?」と問うことなどできなかった。


「っあ、んん、っ」
「……可愛い」


 耳の裏側と首筋に一つずつ口付けを降らせて下りてきた唇は愛おしそうに呟きを落とし、裕一郎は上半身をかがめて恋幸の頬にキスをする。

 恋幸がふにゃりとはにかんだのを見て、裕一郎もつられたように口元をゆるめた。
 そして、ゆっくりと下へ降りた大きな手がパジャマの布ごしに優しく胸の膨らみに触れる。瞬間──裕一郎は違和感に気がついた。


「……恋幸さん、」
「?」
「下着、付けていないんですか?」
「……、……っあ、これは……!!」


 投げられた問いを理解した瞬間、添えられている裕一郎の手の上から両腕で胸を抱いておおい隠す。ほとんど意味をしていないそのいじらしい行動を見て、裕一郎は心を逆撫でされるような感覚におちいった。

 恋幸の胸は学生時代からあまり育っておらず、一般的な成人女性の中では『小さい』と揶揄やゆされてしまうサイズである。
 故に、普段から風呂上がりに寝巻きへ着替えた際にはノースリーブのアンダーウェアを下に着る程度で済ませていたのだが、恋人に対してどう説明するべきかわからず「あの、えっと」と歯切れの悪い言葉が口からこぼれ落ちた。

 だが、どうやらそれが更に彼の加虐心サディズムあおってしまったらしい。


「貴女のことですから、“こう”なる事なんて全く想像していなかったんでしょうね」
「──っあ、っ!」


 生地がそれほど厚くないせいで、パジャマとアンダーウェアの布を通していても胸の先でぷくりと主張する突起が視認できてしまう。
 喉の奥で小さく笑った裕一郎は服の上から突起を優しく摘んだ後、指の腹ですりすりと撫で始める。


「警戒してくださいと言ったのに……」
「ん、っん、ご、ごめんなさ、い」


 不快感とは違うぞわぞわとした感覚が腰から首の後ろにかけてを登り、頭の中が少しぼーっとして利口な返事が思い浮かばない。
 意味もなく口をついて出た謝罪に、裕一郎はわずかに目を細めて空いている方の手で恋幸の頭を撫でた。


「……本当に無防備だな」


 ぽつりと落ちた呟きに問いを被せようとした時、視界の端で移動した裕一郎の手がお腹からするりと服の中に入り込む。
 反射的にびくりと肩が跳ねれば、まるで「大丈夫」とでも言うように甘いキスが落とされた。

 まだ少し冷たさの残る指が胸の膨らみを包み込んで、ゆっくりやわらかに揉みほぐされているうちに少しずつおかしな感覚が胸の奥から押し寄せる。
 目を閉じてその感覚に集中していると、先ほどまで頭を撫でてくれていた手がもう片方の胸に触れ、親指の腹でくるりと突起を撫でた。


「ふ、ぁっ」
「痛いですか?」
「んん、痛くないです」
「良かった」


 ふるふると首を左右に振ってから気がつく。このぞわぞわとした感覚が『気持ち良い』と言う事なのだと。


(きもちいい。裕一郎様に触られて、きもちいい)


 不意に、裕一郎の長い指先が胸のいただきで主張するものをきゅっと摘む。


「──っあ! あっ、んん、」


 びくんと体が跳ねたのも一瞬で、脳に流れ込む『気持ち良い』を必死で追いかけているうちに、気付けば恋幸は背中を少しけ反らせて「どうぞ好きなだけ触ってください」と言わんばかりに自身の胸を突き出してしまっていた。

 同時に、大きな声を出してしまった羞恥心から、右手を口に当てて唇に力を込める。


「……声、どうして我慢してしまうんですか?」


 どこか不服そうな低音がすぐ耳元で問いかけてくるが、少しでも気を抜けばまた先ほどのように“大人のレディ”からかけ離れた鳴き声をあげてしまいそうで、恋幸は口元の手にぐっと力を込めて小さくかぶりを振った。

 すると、意味を理解したらしい裕一郎がふうと小さく息を吐く。


「頑固ですね」
(裕一郎様に辺な声聞かれるくらいなら『頑固』でいいもん……!)


 直後──「まあ、」と続けた裕一郎は胸の膨らみから手を離し、くびれから腰にかけてのラインを柔らかくなぞった。


「その可愛らしい強がりがいつまでつのか知りませんが、ね」
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感想 3

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みんなの感想(3件)

ぽめ子
2022.05.29 ぽめ子

初めまして!もー二人とも可愛すぎです!とっても面白かったです!!素敵な作品をありがとうございました!!!

2022.05.29 百崎千鶴

ぽめ子様
こんにちは、はじめまして!こちらこそ嬉しいお言葉をありがとうございます……!(*´ω`*)🌸
恋幸ちゃんや裕一郎様を可愛いと感じていただけて・ストーリーを楽しんでいただけて本当に嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ💗
これからも精進して参りますので、最後までお付き合いくださいますと幸いです🐰💓

解除
月波ムゥ 
2021.08.25 月波ムゥ 

最新話も尊かったです!
恋幸ちゃんが可愛いくて、裕一郎さんとのやりとりにきゅんきゅんします!
これからも楽しみにしてます。

私事ですが、ユーザ名を変更しました!
百崎先生にはまったく及びませんが、お話も書き始めたので、よろしければ覗いてみてください。

2021.08.25 百崎千鶴

アカツキ様
こんにちは、この度も嬉しいお言葉の数々をありがとうございます(*´///`*)💕

新しいものも素敵なお名前ですね(*´∀`*)🌸
私もまだまだ精進中の身なので、これからもお互いに無理なく頑張りましょうね……!(っ`ω´c)

解除
月波ムゥ 
2021.08.13 月波ムゥ 

ドンピシャのツボです!
読んでいて、とても楽しく、きゅんきゅんします。
最新話が楽しみです。
これからも頑張ってください!

2021.08.13 百崎千鶴

フロワ様
こんばんは、はじめまして。読んでくださり、そして身に余る嬉しいお言葉を本当にありがとうございます……!(*´///`*)💗
これからも楽しんで頂けるよう&ときめきをお届けできるように精進して参りますので、引き続きお付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*)ありがとうございます、頑張ります!🌸

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