アリス倶楽部

いなかぼっこ

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第18話 奈緒女子プロレスデビュー後編

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 開始のゴングが鳴った。奈緒はまずリング中央に行き、ダイナマイトあさ子とがっぷり4つ組み合った。力では身長175センチ、体重120キロのあさ子の方が勝るので、奈緒は後ろ側に押し倒される所だった。

 羽島4時「おおっと、あさ子選手、奈緒選手を押し倒し体重をかけ出したぁ~奈緒選手このまま崩れてリングに背を付けるか?」
 ラン「いや、大丈夫でしょう」
 羽島4時「いやしかし、このままでは潰されてしまいますよぉ~。大丈夫か奈緒選手」

 すると次の瞬間、奈緒は頭と足だけリングにつけた。その状態で体重をあさ子にかけられたが、耐えて見せた。

 ファン「ふつうこれを耐えるかよぉ。凄いぜ奈緒ちゃんは」

 そして、背中や足の後ろに力を入れ、組み合ったまま元の位置に戻ってきた。まさに選手もファンも実況席も息を飲む立ち上がりとなった。次に奈緒は組み合った状態からあさ子をロープに放り投げ、帰って来た時に雷弾トラースキックをあさ子の顔にクリーンヒットさせる。あまりに早い一撃であった。

 羽島4時「奈緒選手、ブリッジから元へ戻り、すぐ相手を投げ飛ばしたかと思うと、我々にも何が起きたか分かりませんがトラースキックの様な体制になりました。ランさん今のはキックを放ったんでしょうか?」
 ラン「まぁね。奈緒選手のキックは余りに早いため雷弾と呼ばれているらしいわ。パンチキックの雷弾があるのよ」

 何とか立ち上がったあさ子は反撃に出る。奈緒をコーナーへ投げてから自身が走り込んで体当たりをした。その技は120キロの衝撃が加わるので、ダメージ必至だが、何故か奈緒は不敵に笑うのみであった。

 羽島4時「この強烈な体当たり攻撃が効いていないとはどういう体をしているのでありましょうか。彼女は笑顔のままです」
 ラン「彼女は打たれず良さも人一倍凄いんですよ」
 羽島4時「なるほど~」

 打たれず良さの秘訣。それは奈緒も知らないが、実は体全体の骨が異様に柔らかく、弾力性に満ちしなる骨だからである。それはアリスの一つの特徴だ。そして、なぜ奈緒が笑ってしまったのか。それはこのプロレス自体が強烈なヘドネーだからである。しかも相手のいるヘドネーは中学の空手や合気道以来だったので強烈にあさ子の事が好きになってしまっていた。奈緒のプロレスは愛試合つまり愛し合う行為そのものであるからだ。

 羽島4時「おおっと、奈緒選手今度はあさ子選手に胴締めチョークスリーパーだ。」
 ラン「これは効きますよ。でもサードロープが近そうです」
 羽島4時「あさ子の足が届いた。ブレイクです」

 ファン「奈緒ちゃんに胴締めスリーパーされたいよぉ~」

 羽島4時「胴締めスリーパーは良かったですが、ここであさ子リングを降り、凶器を取り出したぞぉ」
 奈緒「反則だよレフリー」
 ラン「一斗缶ですねぇ、どうやら」
 羽島4時「一斗缶による凶器攻撃が奈緒選手に迫る。レフリーを投げ飛ばし、一斗缶で奈緒の頭を叩いたぁ~。喰らってしまいました奈緒選手大丈夫か」
 ラン「これもあまりきいてない。おっとちょっとよろけたかな」
 奈緒「ああ、いいよ」

 それはもちろんヘドネーの方が限界に近くなっているからである。奈緒は意識をギュッと蛇口を回すイメージをしていくするとヘドネーにも耐えられるが、意識が朦朧としているとHな状態になり、淫靡な声を出してしまう事になる。それを耐えるのもMである奈緒の喜びでもあった。

 羽島4時「おおっと、奈緒選手足を叩きつけ踏ん張りました。どうやら意識は大丈夫なようです。すかさず、奈緒選手あさ子選手の後ろに回り込み大技バックドロップだぁ~」
 ファン「すげぇ~今あさ子を持ち上げたぞ。凄い力」

 もちろんこれもアリスによるもので奈緒に筋繊維は異常に発達しており、人並み外れた力の出力を出せるのだ。

 羽島4時「その後奈緒選手、ロープにあさ子選手を投げたぁ~。帰っていた所に超高速ショルダータックルですかぁ~。これは効いた。あさ子選手動けない」
 ラン「あれは雷弾を利用した応用技で極撃というそうですよ。高速で雷弾キックで地面を蹴り、その勢いでショルダータックルを喰らわす技だと聞きました」
 ファン「これは立てないぞぉ」

 羽島4時「おおっと、あさ子選手立ち上がる事が出来たみたいです。そのまま奈緒選手を捕まえて必殺のパワーボムの体勢に入った」
 ラン「でも返しましたよ、あぁ凄い」
 羽島4時「奈緒選手、パワーボムで投げられる瞬間、くるっと自身が回り、あさ子選手の首に奈緒選手のの太ももが巻き付いた。その後、奈緒選手、あさ子選手の背中に背中をつけ、あさ子選手の足を奈緒選手が両手でロックした。これはなんていう技ですか?ランさん。凄くアクロバット技ですが」
 ラン「練習では見せてくれなかったけど桃源郷という技がフィニッシングホールドであるって言ってたわ」
 ファン1「桃源郷かぁ~あれは奈緒ちゃんの全体重があさ子選手の首にかかるからギブするしかないぞぉ」
 ファン2「俺も窒息してもいいからくらいたい。奈緒ちゃんの太もも」
 あさ子「ぎっ、ギブ」

 あさ子選手は白目を剥き出したのでレフリーがストップをかけた。奈緒の完勝である。

 羽島4時「奈緒選手勝ちました。試合時間は7分14秒でありました。何というドラマティックな最後でありましょうか」
 ラン「そうですね。ホントに今日は盛り上げてくれてありがたい限りです」
 羽島4時「奈緒選手、すでにファン多くのファンに手を振っております。おっと、ここでマイクを奈緒選手要求してきました。

 奈緒「ええと、今日は千鶴選手の代わりに出させていただきました村上奈緒です。今日はまさか自分が勝てると思わずびっくりしました。必死でやってたらいつの間にか終わってしまった感じがします。あとあさ子選手のいい蹴りや技が入るたび私が変な声出しちゃってすいませんでした。なにぶん気持ち良かったものですから」
 ファン「可愛くて色っぽいよぉ~奈緒ちゃん」
 奈緒「有難う御座います。お兄さん動画はSNSで挙げないで~私変態だと思われちゃうから。それじゃ、今日は有難う御座いました」
 ラン「奈緒ちゃん今日は有難う」

 リング上では奈緒の周りに選手が集まり、奈緒を称えた。そして、リングから降りた奈緒は大歓声を受け控室へ戻るのだった。こうしてFGPの興行は大成功した。奈緒はラン達に別れを告げると帰宅するのだった。

 奈緒「プロレス気持ちいい。ピンキーでもやろうかな」

 奈緒は密かにプロレスをやらせようと画策するのだった。

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