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手作りチョコ
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冬休みも明けて、少し春めいてきた2月。
クリスマス?もちろん(以下略)
もう少しで5年生へと上がる。上級生への1歩を踏み出す数字にクラスのみんなもワクワクしていた。
そしてそれとは別のワクワク、いや、ドキドキに近いイベントもやってくるのであった。
「今日バレンタインじゃない?」
駅に向かう途中話題に上がったその話は、自分には無縁のイベントの事だった。
「あー、今日か」
「誰かにもらう予定はあるの?」
「ない、まぁ毎年クラスのみんなに配る人いるから、その人からくらいじゃない?」
「大誠モテてないの?」
「モテるか!」
駅に着いた車から飛び出し、駅へと雪解け水で滑らないように走る。
「ほら、おっちゃんからの友チョコ」
「え」
少し口角の上がった顔で渡してくる。
「ま、学校前にでも食っちゃいな」
「あ、ありがと」
振り向き際にさっと手をあげ会釈するその姿は、なんとも言えない男らしさがあった。
「(絶対昔モテモテだったな)」
「なに?チョコもらったの?」
「うわっ!」
いきなり視界に現れた女子高生に驚き、危うく板チョコを割ってしまうとこだった。
「お姉ちゃん、、」
「もう、花でいいって、はいリピートアフターミー花」
「花さん」
ほっぺを膨らませた花さんと電車に乗り込み、向かいあわせの席へと座る。
「ねぇ、今日バレンタインだよ」
「しってるしってる」
「大誠くんはもらう予定は?」
「どうせ義理だよ」
「えーーー」
「なんですかーーー」
「じゃあ、はいこれ」
渡された小さな透明の袋には、チョコで彩られたクッキーが入っていて、視界の端に映る花さんの顔はニコニコとからかうような顔をしていた。
「ねぇ、本命か義理、どっちだと思う?」
「義理」
「もーー」
「駅つきましたよ」
「あ!ま、味の保証はしないからね!」
急いで降りていった花さんに窓越しにお辞儀をしてお礼をして、手を振る姿を見送った。
ビッグイベントのバレンタインも放課後になり、男子はほかの男子と数を聞きあっていた。
「大誠ー、何個もらった?」
「クラスの子が配ってたのしかもらってねーよ」
「じゃあ3個か」
「5」
「5!?」
ワンワンと吠える真弘を慰めながら昇降口を抜け、いつものコンビニで別れる。少し見送った真弘の後ろ姿は敗北感で溢れていた。
「大誠くん!」
後ろから美幸ちゃんの声が聞こえ、小走りで近づいてくるのが見えた。その隣にはトコトコと歩くイブさんの姿もあった。
「あ、あの、」
恥ずかしくて言い出せないのか、30秒ほど経ち、歩いてきたイブさんが追いついてしまった。
「はい、あげるー」
追いついたイブさんは流れるようにランドセルから取り出したクッキーの入った小袋をくれた。
「え、イブさんくれるの?」
「義理な」
「はい」
前のパッチリしため目はどこに行ったのだろうと悲しくなる。
「わ、私も!」
勢いよく出された袋には、様々な形のチョコが入っていて、なんだか他の人のものとは違うような気がした。
「美幸ちゃんも、ありがとう!」
赤くなった顔はマフラーの下に隠れる。
「本命らしいよー」
「義理です!!」
ごめんごめんと美幸を落ち着かせ、それじゃ、とだけ言って2人で去って行く。
「(本命、、真弘には黙っとくか)」
赤くなった顔を隠し、小走りで駅へと向かった。
クリスマス?もちろん(以下略)
もう少しで5年生へと上がる。上級生への1歩を踏み出す数字にクラスのみんなもワクワクしていた。
そしてそれとは別のワクワク、いや、ドキドキに近いイベントもやってくるのであった。
「今日バレンタインじゃない?」
駅に向かう途中話題に上がったその話は、自分には無縁のイベントの事だった。
「あー、今日か」
「誰かにもらう予定はあるの?」
「ない、まぁ毎年クラスのみんなに配る人いるから、その人からくらいじゃない?」
「大誠モテてないの?」
「モテるか!」
駅に着いた車から飛び出し、駅へと雪解け水で滑らないように走る。
「ほら、おっちゃんからの友チョコ」
「え」
少し口角の上がった顔で渡してくる。
「ま、学校前にでも食っちゃいな」
「あ、ありがと」
振り向き際にさっと手をあげ会釈するその姿は、なんとも言えない男らしさがあった。
「(絶対昔モテモテだったな)」
「なに?チョコもらったの?」
「うわっ!」
いきなり視界に現れた女子高生に驚き、危うく板チョコを割ってしまうとこだった。
「お姉ちゃん、、」
「もう、花でいいって、はいリピートアフターミー花」
「花さん」
ほっぺを膨らませた花さんと電車に乗り込み、向かいあわせの席へと座る。
「ねぇ、今日バレンタインだよ」
「しってるしってる」
「大誠くんはもらう予定は?」
「どうせ義理だよ」
「えーーー」
「なんですかーーー」
「じゃあ、はいこれ」
渡された小さな透明の袋には、チョコで彩られたクッキーが入っていて、視界の端に映る花さんの顔はニコニコとからかうような顔をしていた。
「ねぇ、本命か義理、どっちだと思う?」
「義理」
「もーー」
「駅つきましたよ」
「あ!ま、味の保証はしないからね!」
急いで降りていった花さんに窓越しにお辞儀をしてお礼をして、手を振る姿を見送った。
ビッグイベントのバレンタインも放課後になり、男子はほかの男子と数を聞きあっていた。
「大誠ー、何個もらった?」
「クラスの子が配ってたのしかもらってねーよ」
「じゃあ3個か」
「5」
「5!?」
ワンワンと吠える真弘を慰めながら昇降口を抜け、いつものコンビニで別れる。少し見送った真弘の後ろ姿は敗北感で溢れていた。
「大誠くん!」
後ろから美幸ちゃんの声が聞こえ、小走りで近づいてくるのが見えた。その隣にはトコトコと歩くイブさんの姿もあった。
「あ、あの、」
恥ずかしくて言い出せないのか、30秒ほど経ち、歩いてきたイブさんが追いついてしまった。
「はい、あげるー」
追いついたイブさんは流れるようにランドセルから取り出したクッキーの入った小袋をくれた。
「え、イブさんくれるの?」
「義理な」
「はい」
前のパッチリしため目はどこに行ったのだろうと悲しくなる。
「わ、私も!」
勢いよく出された袋には、様々な形のチョコが入っていて、なんだか他の人のものとは違うような気がした。
「美幸ちゃんも、ありがとう!」
赤くなった顔はマフラーの下に隠れる。
「本命らしいよー」
「義理です!!」
ごめんごめんと美幸を落ち着かせ、それじゃ、とだけ言って2人で去って行く。
「(本命、、真弘には黙っとくか)」
赤くなった顔を隠し、小走りで駅へと向かった。
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