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あの世チャンネル
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ヨッシーのショートshort「あの世チャンネル」
ある時、
ネットの世界は、あの世と繋がった。
時空間の乱れか?
亜空間の乱れか?
とにかく、現世の世界とあの世の世界が交信できた。
「死んだお婆ちゃんと、話しができたよ」
「死んだ恋人と連絡とれた」
「死んだ偉人と対談できたよ」
あの世チャンネルは、大盛況だった。
「本当なのか?」
「絶対、ウソだろ」
世間は疑う人も多々いた。
そこで、
「あの世チャンネル」は政府を挙げて検証されることになった。
まず、被験者A(女性)
「死んだ爺さんを、呼び出してくだせぇ」
カチカチカチ、
必要な事項をパソコンに打ち込む。(エンジニア)
名前、生年月日、住所、亡くなった日付…その他もろもろ、対象者に対する細かい情報。
ピピピピ、ピーーー
ビュン
画面に老人のシルエットが現れた。
暗くてよく見えない、
「爺さん」
「ワシじゃよ、タマだよ」
「ほんに…タマなのかい?」
老人は画面に近づき、顔が見えた。
「爺さん、」
「間違いなく、ウチの爺さんじゃー」
「久しぶりじゃのう~」
「ほんに、久しぶりじゃの~」
「元気にしとったかい」
「元気にしとるよ」
「そっちの世界はどうだい?」
「快適だよ~暑くもなく、寒くもなく、お腹も空かない」
「そうなんだ~」
「こっちには、トメさんや死んだ仲間もいるし楽しいよ~」
「ワシも、早くそっちへ行きたいもんじゃのう~」
「お呼びが来なきゃ、無理だっぺ。ハハハハハ~」
「ハハハハハ~」
「時間です」(エンジニア)
「またな、爺さん~」
「またな、婆さん~」
終了ーーー
あの世チャンネルは閉じた。
「AIじゃないのか?」
識者は疑った。
「あの世チャンネルは、必ず必要な情報を書き込む。その情報で、AIがCGやオーソドックスな答えを導き出しているんだ」
「それだ!」
他の識者もうなずく。
「しかし、故人しか知らないことを答えたぞ。爺さんとトメさんが仲がいいのは、散歩仲間の数人しか知らない情報だ」
「そこまで、AIは答えられるのか?」
「それこそ、マイナンバーやGPS情報を集めて、ビッグデータから導き出しているんだ」
「いやいや、すべては無理だ」
「いやいや、有り得る」
政府は答えを導き出せず、結論は出なかった…
今日は、亡くなったペットと交信する。
「ニャ~」
暗い世界に響く猫の鳴き声。
「ミーちゃん?」
「ニャ~」
猫は画面に近づいた。
「ニャ~ニャ~」
「やっぱりミーちゃんだ。私よ、あなたのママよ」
「ニャ~」
猫は甘えた声を出し、画面に擦り寄った。
「可愛いなぁ、あの世に行ってもミーちゃんは変わらないないよ」
「ニャ~」
「そうだ、お墓には何をあげたらいい?」
「ニャ~ニャ~」
猫は、ジャーキーを食べる仕草をした。
「やっぱり、ジャーキーが好きなんだ。今度、お供えするからね」
「ニャ~」
「時間です」(エンジニア)
「じゃあね、ミーちゃん」
「ニャ~」
半信半疑だった人々は、少しづつ信じる者が増え、いつの間にかあの世チャンネルは、当たり前のように社会に浸透していった。
人々は故人や偉人、ペットとの交信に、癒された…
ある日、
「私は人生に疲れました。あの世の世界で幸せに暮らします」
一人の若者が、ネット上で公開自殺を決行しようとした。
「やめろよ」
「まだ、現世の方が楽しい事がたくさんあるぞ」
ネットの人々は、必要に彼を止めた。
「今の世の中、辛いことや苦しいことばかり、死んだ方がましだ」
「死んだってすぐに、あの世チャンネルで交信できるじゃないか。同じだよ」
「いや、しかし」
「もう決めたんだ。あの世の方が楽しそうじゃないか」
「やめろよ!」
「後日、あの世チャンネルで報告しまーすwww」
ググッ、
バタン、
その後、若者は、
いくらアクセスしても、あの世チャンネルには現れなかった…
「あの世チャンネルは、最高だよ」
「この間、聖徳太子と交信したよ」
「私は、神武天皇と交信したよ」
「僕は、イザナギと交信したよ」
今日も、あの世チャンネルは、たくさんの人々が交信している……
ある時、
ネットの世界は、あの世と繋がった。
時空間の乱れか?
亜空間の乱れか?
とにかく、現世の世界とあの世の世界が交信できた。
「死んだお婆ちゃんと、話しができたよ」
「死んだ恋人と連絡とれた」
「死んだ偉人と対談できたよ」
あの世チャンネルは、大盛況だった。
「本当なのか?」
「絶対、ウソだろ」
世間は疑う人も多々いた。
そこで、
「あの世チャンネル」は政府を挙げて検証されることになった。
まず、被験者A(女性)
「死んだ爺さんを、呼び出してくだせぇ」
カチカチカチ、
必要な事項をパソコンに打ち込む。(エンジニア)
名前、生年月日、住所、亡くなった日付…その他もろもろ、対象者に対する細かい情報。
ピピピピ、ピーーー
ビュン
画面に老人のシルエットが現れた。
暗くてよく見えない、
「爺さん」
「ワシじゃよ、タマだよ」
「ほんに…タマなのかい?」
老人は画面に近づき、顔が見えた。
「爺さん、」
「間違いなく、ウチの爺さんじゃー」
「久しぶりじゃのう~」
「ほんに、久しぶりじゃの~」
「元気にしとったかい」
「元気にしとるよ」
「そっちの世界はどうだい?」
「快適だよ~暑くもなく、寒くもなく、お腹も空かない」
「そうなんだ~」
「こっちには、トメさんや死んだ仲間もいるし楽しいよ~」
「ワシも、早くそっちへ行きたいもんじゃのう~」
「お呼びが来なきゃ、無理だっぺ。ハハハハハ~」
「ハハハハハ~」
「時間です」(エンジニア)
「またな、爺さん~」
「またな、婆さん~」
終了ーーー
あの世チャンネルは閉じた。
「AIじゃないのか?」
識者は疑った。
「あの世チャンネルは、必ず必要な情報を書き込む。その情報で、AIがCGやオーソドックスな答えを導き出しているんだ」
「それだ!」
他の識者もうなずく。
「しかし、故人しか知らないことを答えたぞ。爺さんとトメさんが仲がいいのは、散歩仲間の数人しか知らない情報だ」
「そこまで、AIは答えられるのか?」
「それこそ、マイナンバーやGPS情報を集めて、ビッグデータから導き出しているんだ」
「いやいや、すべては無理だ」
「いやいや、有り得る」
政府は答えを導き出せず、結論は出なかった…
今日は、亡くなったペットと交信する。
「ニャ~」
暗い世界に響く猫の鳴き声。
「ミーちゃん?」
「ニャ~」
猫は画面に近づいた。
「ニャ~ニャ~」
「やっぱりミーちゃんだ。私よ、あなたのママよ」
「ニャ~」
猫は甘えた声を出し、画面に擦り寄った。
「可愛いなぁ、あの世に行ってもミーちゃんは変わらないないよ」
「ニャ~」
「そうだ、お墓には何をあげたらいい?」
「ニャ~ニャ~」
猫は、ジャーキーを食べる仕草をした。
「やっぱり、ジャーキーが好きなんだ。今度、お供えするからね」
「ニャ~」
「時間です」(エンジニア)
「じゃあね、ミーちゃん」
「ニャ~」
半信半疑だった人々は、少しづつ信じる者が増え、いつの間にかあの世チャンネルは、当たり前のように社会に浸透していった。
人々は故人や偉人、ペットとの交信に、癒された…
ある日、
「私は人生に疲れました。あの世の世界で幸せに暮らします」
一人の若者が、ネット上で公開自殺を決行しようとした。
「やめろよ」
「まだ、現世の方が楽しい事がたくさんあるぞ」
ネットの人々は、必要に彼を止めた。
「今の世の中、辛いことや苦しいことばかり、死んだ方がましだ」
「死んだってすぐに、あの世チャンネルで交信できるじゃないか。同じだよ」
「いや、しかし」
「もう決めたんだ。あの世の方が楽しそうじゃないか」
「やめろよ!」
「後日、あの世チャンネルで報告しまーすwww」
ググッ、
バタン、
その後、若者は、
いくらアクセスしても、あの世チャンネルには現れなかった…
「あの世チャンネルは、最高だよ」
「この間、聖徳太子と交信したよ」
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「僕は、イザナギと交信したよ」
今日も、あの世チャンネルは、たくさんの人々が交信している……
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