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一章
妹と喋ってみよう 2
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荒々しく開けられたドアからは、少女が五人の衛兵を引き連れて堂々と立っていた。
「うぅ・・・ローザ・・・・・・?」
激しい音がして、リリーは目を覚ました。
目の前にはローザがベッドのすぐそばに立っていたが、ドアの向こう側の誰かいるようで、金切り声が室内に響いている。
「ローザ・・・誰か来たの?」
リリーは熱があるようで、身体を上手く動かせない。
よろよろと首を上げて、ローザの隊服の裾を引っ張る。
「あぁ、リリー様、お目覚めになったのですね。うるさくしてしまい申し訳ございません」
「別に・・・『ちょっと!!!起きたんなら、謝罪しなさいよ!ワタクシに!!!』」
久しぶりにローザと会えたのだから、ゆっくりお喋りをさせて欲しい。
リリーはそう思い、ゆるゆると身体を起こして来訪者が何者なのか、確かめようとした。
すると、ローザが咄嗟に手で制した。
「リリー様は具合がまだ良くないです。客人には俺が対応しますから、どうか安静にして下さい」
ローザに懇願されるように言われて、リリーはまた眠気に誘われる。
(そう・・・よね、私は客人をもてなせる程の気力はないし・・・どうせ私なんて・・・)
瞼がどんどん重くなっては、気分はどんより暗くなる。
「何事ですの!!?騒がしい!!!!!」
また新たに、金切り声が追加された。
靴とドレスの衣擦れの音がこちらの部屋に迫ってきた。
その人もたくさんの連れがいるようで多くの気配がする。
「まぁ!ダリアじゃないの!こんなに薄汚い所まで来ていったいどうしたの?」
''薄汚い''を無駄に強調しては、わざとらしげに嫌味を言う。
リリーは、病にふせっていた母にすぐ会いに行けるよう私室を後宮に移動させていた。
後宮は王城の本殿とは違い、少し古い造りなのだ。
「お母様!奇遇ですわね!!今、ここのお姉様に身の程をわきまえろと教えを説こうとしていましたの!」
近くで会話しているのだからそんなに大声で喋らなくてもいいのではないか。
それ程までに、二人の女はうるさかった。
「そこの男!お姉様をこちらに持ってきなさい!」
しかし、男は聞こえていないかのようになんの反応もない。
「聞いているの!!!!命令なのよ!!!!」
ダリアと言う少女はそう叫んで、ツカツカと部屋に入り込んだ。
ダリアはこちらに一向に興味を示さず、ベッドの方向しか見ない男のをつまらなく思っていた。
「いい加減にしないと、打首よ!!!!」
男の肩を掴み、引っ張った。
────「え・・・やだ・・・・・・」
ダリアは思わず感嘆の声を漏らした。
ダリアが見た男は今まで見てきたどんなものより美しかった。
自分の母が男遊びをするものだから、たくさんの男を見てきたが、これほどまでに美しい顔など見たことがない。
真っ黒の髪の毛は光に照らされては天使の輪を作り、サラサラと手触りが良さそうだ。
長めの前髪から覗く金色の目はつり目がちで宝石の様に光を放ち、目が合ってしまえば誰もが惚れ込むだろう。
真っ白の肌は、化粧をほどこしたみたいに綺麗だし、朱を引いたような真っ赤な唇はとんでもない色気を出している。
「ダリア・・・?どうしたの?ダリア!」
母の声でやっと正気に戻ったダリアは、言った。
「お母様!ワタクシ、この男を側仕えにしたいです!」
絶え間ない無気力に陥ってしまっていたリリーを無理矢理引き起こさせたのは、紛れもなくその言葉だった。
────────────────────────────────✍︎
あけましておめでとうございます。
今年は好きなアーティストさんが出るという事で紅白歌合戦を真剣に見ました。
感動しました。
新年そうそう、この小説を書いている端末が壊れ気味で困ってます( ゚∀゚):∵グハッ!!
ではまた┏○ペコッ
「うぅ・・・ローザ・・・・・・?」
激しい音がして、リリーは目を覚ました。
目の前にはローザがベッドのすぐそばに立っていたが、ドアの向こう側の誰かいるようで、金切り声が室内に響いている。
「ローザ・・・誰か来たの?」
リリーは熱があるようで、身体を上手く動かせない。
よろよろと首を上げて、ローザの隊服の裾を引っ張る。
「あぁ、リリー様、お目覚めになったのですね。うるさくしてしまい申し訳ございません」
「別に・・・『ちょっと!!!起きたんなら、謝罪しなさいよ!ワタクシに!!!』」
久しぶりにローザと会えたのだから、ゆっくりお喋りをさせて欲しい。
リリーはそう思い、ゆるゆると身体を起こして来訪者が何者なのか、確かめようとした。
すると、ローザが咄嗟に手で制した。
「リリー様は具合がまだ良くないです。客人には俺が対応しますから、どうか安静にして下さい」
ローザに懇願されるように言われて、リリーはまた眠気に誘われる。
(そう・・・よね、私は客人をもてなせる程の気力はないし・・・どうせ私なんて・・・)
瞼がどんどん重くなっては、気分はどんより暗くなる。
「何事ですの!!?騒がしい!!!!!」
また新たに、金切り声が追加された。
靴とドレスの衣擦れの音がこちらの部屋に迫ってきた。
その人もたくさんの連れがいるようで多くの気配がする。
「まぁ!ダリアじゃないの!こんなに薄汚い所まで来ていったいどうしたの?」
''薄汚い''を無駄に強調しては、わざとらしげに嫌味を言う。
リリーは、病にふせっていた母にすぐ会いに行けるよう私室を後宮に移動させていた。
後宮は王城の本殿とは違い、少し古い造りなのだ。
「お母様!奇遇ですわね!!今、ここのお姉様に身の程をわきまえろと教えを説こうとしていましたの!」
近くで会話しているのだからそんなに大声で喋らなくてもいいのではないか。
それ程までに、二人の女はうるさかった。
「そこの男!お姉様をこちらに持ってきなさい!」
しかし、男は聞こえていないかのようになんの反応もない。
「聞いているの!!!!命令なのよ!!!!」
ダリアと言う少女はそう叫んで、ツカツカと部屋に入り込んだ。
ダリアはこちらに一向に興味を示さず、ベッドの方向しか見ない男のをつまらなく思っていた。
「いい加減にしないと、打首よ!!!!」
男の肩を掴み、引っ張った。
────「え・・・やだ・・・・・・」
ダリアは思わず感嘆の声を漏らした。
ダリアが見た男は今まで見てきたどんなものより美しかった。
自分の母が男遊びをするものだから、たくさんの男を見てきたが、これほどまでに美しい顔など見たことがない。
真っ黒の髪の毛は光に照らされては天使の輪を作り、サラサラと手触りが良さそうだ。
長めの前髪から覗く金色の目はつり目がちで宝石の様に光を放ち、目が合ってしまえば誰もが惚れ込むだろう。
真っ白の肌は、化粧をほどこしたみたいに綺麗だし、朱を引いたような真っ赤な唇はとんでもない色気を出している。
「ダリア・・・?どうしたの?ダリア!」
母の声でやっと正気に戻ったダリアは、言った。
「お母様!ワタクシ、この男を側仕えにしたいです!」
絶え間ない無気力に陥ってしまっていたリリーを無理矢理引き起こさせたのは、紛れもなくその言葉だった。
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あけましておめでとうございます。
今年は好きなアーティストさんが出るという事で紅白歌合戦を真剣に見ました。
感動しました。
新年そうそう、この小説を書いている端末が壊れ気味で困ってます( ゚∀゚):∵グハッ!!
ではまた┏○ペコッ
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