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第5章 神の国を侵略した龍

神の国を侵略した龍 1

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「ちわーす、猫猫弁当でーす!」
 引き分けの自動ドアが開き、お弁当屋さんがテレストリアルガード基地の地下にあるサブオペレーションルームに箱を持って入ってきました。お弁当箱を入れる大きな箱です。
 部屋には海老名隊員以外のテレストリアルガードの隊員全員が揃ってました。みんなテレストリアルガードの隊員服ユニホームを着てますが、インターネットにアニメ鑑賞に詰将棋と、もう好き勝手にやってます。
 唯一真面目にレーダースコープを見ている(と言っても、ファッション雑誌を読みながらですが)上溝隊員が振り返り、お弁当屋さんのところに歩いてきました。
「いつもいつもご苦労さん!」
 上溝隊員はお弁当屋さんが持っていた書類にハンコを押しました。
「どうもどうも。あ、一番上の違う色の箱が減塩弁当です!」
 そう返事をすると、お弁当屋さんはふと壁を見ました。ちょっと前に女神隊員が破壊した壁です。今は元に戻ってました。
「おや、壁が仕上がってる?」
 それに上溝隊員が応えました。
「昨日の夜、ペンキを塗ったのよ」
「へー。しかし、こんな頑丈な壁なのに、なんでぶっ壊れたんですか? ゴリラ星人でも暴れたのかな?」
 実際壁を壊した女神隊員が困惑した表情でお弁当屋さんを見ました。と言っても女神隊員は今ヘルメットを被っていてるので、どんな顔をしてるのかイマイチわからない状態なのですが。
 上溝隊員は苦笑して応えました。
「あは、レーザーガンが暴発したの」
「へ~・・・
 んじゃ、また~!」
 引き分けの自動ドアを開け、お弁当屋さんは去って行きました。
 卵型のテーブルの上に置かれた箱の中には、弁当箱が数個入ってました。1つだけ違う色の弁当箱があります。上溝隊員はその弁当箱を掴み、隊長の前の前に置きました。
「はい、お弁当です!」
 その弁当箱を見て、隊長は露骨に嫌な顔をしました。けど、上溝隊員はそれに気づきません。
 上溝隊員はそれ以外の色のお弁当箱を他の隊員に配りました。上溝隊員は次にみそ汁のもとをお椀に入れ、それにポットのお湯を注いで、できたみそ汁を橋本隊員に渡しました。
「はい!」
「ありがと!」
 次に倉見隊員に、寒川隊員に、女神隊員に、そして最後に自分の席にみそ汁のお椀を置き、そのイスに座りました。隊長はその上溝隊員を見て、申し訳なさそうに、
「あ~ あの~ 上溝さん・・・」
「はい、なんですか?」
「オレのみそ汁は?」
「へ?」
 上溝隊員は最初は不思議な顔を見せましたが、次に諭すような顔を見せ、
「隊長、お医者さんに言われたでしょ。減塩しなさいって!」
 実は隊長は、急性心筋梗塞でカテーテル手術を受けたばかり。隊長は5泊6日で退院しましたが、退院の日、病院からレクチャーを受けました。
 その内容ですが、急性心筋梗塞の主な原因は、塩分の摂り過ぎ。これからは塩分を控えるように、と忠告を受けたのです。
 具体的には、1日6g、1食2gまで。実はみそ汁には、塩分が1.5g以上入ってるのです。弁当にだって通常2.5g以上の塩分が入ってます。つまり弁当+みそ汁で4g以上の塩分摂取となります。
 昼食だけで4g以上。3食だと軽く6g越えてしまいます。これは完全にアウト。
 隊長と一緒にレクチャーを受けた上溝隊員は、これを機に隊長の食事に過度に気を使うようになりました。みそ汁を抜いたのはそのせいです。
 しかし、それは隊長には苦行でした。ともかく減塩弁当は味が薄い。みそ汁は抜き。これが朝・昼・晩です。隊長はだんだんむしゃくしゃしてきました。
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