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海峡の向こうにそびえ建つ宮殿の中の大広間。中央に魔女ブリュンが跪《ひざまず》いてます。
「なんの御用でしょうか、皇子様?」
ブリュンの前には玉座があり、そこにグラニ帝国第2皇子ナルヴィが座ってます。
「ブリュンよ、いよいよ例の要塞が完成したぞ」
「おお、ついに!」
「明日最後のテストを行うそうだ」
「てことは、明後日から実戦投入できる、と?」
「順調にいけばな。しかし、あの要塞、肝心な武器はいっさい積んでないんだ」
「そうですか? 今回私が遠い未来から連れてきた技術者は、要塞のエキスパート。武器に関しては門外漢。また別の技術者が必要になりますか?・・・」
「ま、あれだけでも十分威圧的だ。やつらに見せつけるだけでも、恐ろしい武器になるだろ」
「要塞を造った技術者は?」
「奴隷だ、当然だろ。あんなやつに払う余剰金、グラニ帝国には一切ないわ。がはははは!」
ナルヴィは高笑い。それを見てブリュンは引いてしまいました。
ナルヴィの指令。
「お前は先に対岸に行って、下準備をしてくるんだ!」
ここは海。ノルン王国と対岸の大陸に横たわる海峡です。今大陸側から箒に横乗りしたブリュンが飛んできました。ブリュンは呆れ顔。
「まったくあのバカ皇子、いったい何考えてんのよ!? 要塞を造った技術者に約束した金塊を渡して元の世界に戻せば、その人が武器の専門家をスカウトしてくるって発想はないの?・・・
要塞自体が威圧的だと言っても、丸腰で行ったらやられるんじゃないの? 相手もいろいろと武器を仕入れてきてるんでしょ、未来から!?
まったくあの皇子、少しは頭を働かせろって!」
ブリュンの眼の前の太陽は大分傾いてました。その手前に港が見えます。ノルン王国の首都イザヴェルの港です。
ブリュンが宣言。
「認識除外魔法!」
するとブリュンの身体と乗ってる箒が緑色に発光し始めました。
ブリュンが乗ってる箒は、停泊中の船のマストの間をすり抜け、埠頭を低空飛行。そのまま街に。
眼下にはたくさんの人が行き交ってますが、誰もブリュンに気づいてません。当たり前です。ブリュンは認識除外魔法で自らの姿を消してるのです。ちなみに、この魔法、影さえ作りません。
と、ここでブリュンの眼はあるものを発見しました。
「ん?」
繁華街の道を変わった衣装で歩く女性がいます。ビキニのような衣装を着て、その上から透明なロングドレスを着た女性。
その女性の前には2人の兵士が歩いてます。2人の兵士は明らかに女性を護衛してます。2人の兵士はかなり立派な甲冑をまとってます。
ブリュンは女性に注目しました。
「あれ、娼婦じゃないの?」
そう、彼女は娼婦。ノルン王国の娼婦は仕事で外を歩くときは、宣伝を兼ねてこの服装にならないといけないのです。
ブリュンは今度は前を歩く2人の兵士を見ました。
「あの2人は近衛兵? 近衛兵じゃなきゃ、あんな金ピカな甲冑はまとえないわよねぇ?・・・」
ブリュンは箒に乗ったまま、この3人を尾行してみることにしました。
傾いた太陽がさらに傾き、夕刻となりました。3人の前に王宮が見えてきました。そう、この娼婦は今夜準一の相手をする娼婦なのです。
3人が王宮のお堀にかかる跳ね橋を渡ります。ブリュンは上空からそれを見てます。
「王宮・・・ やっぱあの2人は近衛兵だったか。けど、王宮に娼婦てどういうこと? 王宮があの娼婦を雇ったていうこと?・・・」
ブリュンは1つ思い違いがあるようです。ブリュンが今まで行った国々では、娼婦というのは卑しい仕事。
「なんの御用でしょうか、皇子様?」
ブリュンの前には玉座があり、そこにグラニ帝国第2皇子ナルヴィが座ってます。
「ブリュンよ、いよいよ例の要塞が完成したぞ」
「おお、ついに!」
「明日最後のテストを行うそうだ」
「てことは、明後日から実戦投入できる、と?」
「順調にいけばな。しかし、あの要塞、肝心な武器はいっさい積んでないんだ」
「そうですか? 今回私が遠い未来から連れてきた技術者は、要塞のエキスパート。武器に関しては門外漢。また別の技術者が必要になりますか?・・・」
「ま、あれだけでも十分威圧的だ。やつらに見せつけるだけでも、恐ろしい武器になるだろ」
「要塞を造った技術者は?」
「奴隷だ、当然だろ。あんなやつに払う余剰金、グラニ帝国には一切ないわ。がはははは!」
ナルヴィは高笑い。それを見てブリュンは引いてしまいました。
ナルヴィの指令。
「お前は先に対岸に行って、下準備をしてくるんだ!」
ここは海。ノルン王国と対岸の大陸に横たわる海峡です。今大陸側から箒に横乗りしたブリュンが飛んできました。ブリュンは呆れ顔。
「まったくあのバカ皇子、いったい何考えてんのよ!? 要塞を造った技術者に約束した金塊を渡して元の世界に戻せば、その人が武器の専門家をスカウトしてくるって発想はないの?・・・
要塞自体が威圧的だと言っても、丸腰で行ったらやられるんじゃないの? 相手もいろいろと武器を仕入れてきてるんでしょ、未来から!?
まったくあの皇子、少しは頭を働かせろって!」
ブリュンの眼の前の太陽は大分傾いてました。その手前に港が見えます。ノルン王国の首都イザヴェルの港です。
ブリュンが宣言。
「認識除外魔法!」
するとブリュンの身体と乗ってる箒が緑色に発光し始めました。
ブリュンが乗ってる箒は、停泊中の船のマストの間をすり抜け、埠頭を低空飛行。そのまま街に。
眼下にはたくさんの人が行き交ってますが、誰もブリュンに気づいてません。当たり前です。ブリュンは認識除外魔法で自らの姿を消してるのです。ちなみに、この魔法、影さえ作りません。
と、ここでブリュンの眼はあるものを発見しました。
「ん?」
繁華街の道を変わった衣装で歩く女性がいます。ビキニのような衣装を着て、その上から透明なロングドレスを着た女性。
その女性の前には2人の兵士が歩いてます。2人の兵士は明らかに女性を護衛してます。2人の兵士はかなり立派な甲冑をまとってます。
ブリュンは女性に注目しました。
「あれ、娼婦じゃないの?」
そう、彼女は娼婦。ノルン王国の娼婦は仕事で外を歩くときは、宣伝を兼ねてこの服装にならないといけないのです。
ブリュンは今度は前を歩く2人の兵士を見ました。
「あの2人は近衛兵? 近衛兵じゃなきゃ、あんな金ピカな甲冑はまとえないわよねぇ?・・・」
ブリュンは箒に乗ったまま、この3人を尾行してみることにしました。
傾いた太陽がさらに傾き、夕刻となりました。3人の前に王宮が見えてきました。そう、この娼婦は今夜準一の相手をする娼婦なのです。
3人が王宮のお堀にかかる跳ね橋を渡ります。ブリュンは上空からそれを見てます。
「王宮・・・ やっぱあの2人は近衛兵だったか。けど、王宮に娼婦てどういうこと? 王宮があの娼婦を雇ったていうこと?・・・」
ブリュンは1つ思い違いがあるようです。ブリュンが今まで行った国々では、娼婦というのは卑しい仕事。
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