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船長は悔しがります。
「くっ・・・
弓だ! 弓矢でやつらを撃ち落とすんじゃ!」
慌てて弓を用意する甲板上の兵たち。何人かは矢を番えることができたようです。船尾に差し掛かった姫と準一に矢を放ちました。
準一は鎌鼬の剣を平行に振りました。
「鎌鼬の剣よ、えいっ!」
すると旋風が発生。旋風は飛んできた矢を巻きこみ、さらに甲板にいた兵たちを巻き上げました。悲鳴をあげる兵たち。
「うぐぁーっ!」
甲板に落ちてきた兵の身体は、手・脚・首がバラバラ。船長とその取り巻きの兵は、それを見てびっくり。
「な、なんじゃ、こりゃあーっ!?」
2人が乗った箒は、そのまま軍艦と平行に飛びます。船首に到達するまでの間、準一は何度か鎌鼬の剣を振りました。
「そりゃーっ!」
そのたびに旋風が起き、兵の身体を斬り刻んでいきます。たちまち甲板は肉片累々状態になりました。
それを見た船長は恐れおののきます。
「うぐぐ・・・」
準一は得意な顔をして、眼の前にいる姫に話しかけました。
「どう?」
けど、姫は不満そう。
「う~ん、もっと効率よく攻撃できないかなあ・・・」
姫の脳裏に火災の記憶が蘇りました。それは4年前、ノルン王国首都イザヴェルで発生した大火。
イザヴェル市街のあちらこちらで火災が発生。それが1つに纏まり、火災旋風に。火災旋風はさらに街を飲み込んでいきます。これを宮殿のテラスから見下ろしてる当時の姫。
現在の姫。
「ねぇ、準一。旋風に火を混ぜることはできない?」
「え?・・・ 火災旋風のこと? ふふ、やってみよっか!」
2人が乗った箒がUターン。今度は船首から近づきます。準一が鎌鼬の剣を大きく振りました。
「出でよ、火災旋風! いやーっ!」
すると甲板上を一直線に炎が走りました。次々と火だるまになる甲板上の兵たち。さらに帆にも火が付き、軍艦は火に包まれました。地団太を踏む船長。
「くっそーっ!」
準一は燃えあがる軍艦を見て、
「あは、こりゃすっごーい!」
準一は鎌鼬の剣を凝視して、
「こいつ、こんなこともできるんだ!」
と、感激してます。
姫は横目で準一を見て、
「ふふ、今度は私の番かな?」
2人を乗せた箒が空高く舞い上がります。準一は不思議に思いました。
「ん、何を?」
「軍艦に体当たりする!」
「ええ~!?・・・」
2人を乗せた箒がものすごい勢いで急降下を始めました。準一は慌てます。
「うわーっ! カミカゼ攻撃かよーっ!?」
姫が叫びます。
「準一、息を止めてっ!」
「そ、そんなこと言われても・・・」
2人を乗せた箒が軍艦の甲板のど真ん中に垂直に突っ込んでいきます。焦る準一。
「ぶ、ぶつかるーっ!」
箒が甲板に激突。の直前、甲板に丸い穴が空き、2人はその中へ。けど、スピードはまったく緩みません。準一は疑問でいっぱい。
「ど、どうなってんだよ、これーっ!?」
姫が応えます。
「穿孔魔法よ!」
そんな専門用語、準一が理解できるはずがありません。
「ええーっ!?」
2人が乗った箒は、次の階の床板にも丸い穴を空け、通り抜けて行きました。さらに次の階の床板にも丸い穴を空け、次の階の床板にも・・・ 準一は恐怖に顔がひきつります。
「うわーっ!」
そして最後の床板を突き破った次の瞬間、水の中へ。そう、海中に入ったのです。
「ごはっ!・・・」
準一は海水を飲んでしまったよう。かなり息苦しいようです。姫は箒の先を上に向けました。
「くっ・・・
弓だ! 弓矢でやつらを撃ち落とすんじゃ!」
慌てて弓を用意する甲板上の兵たち。何人かは矢を番えることができたようです。船尾に差し掛かった姫と準一に矢を放ちました。
準一は鎌鼬の剣を平行に振りました。
「鎌鼬の剣よ、えいっ!」
すると旋風が発生。旋風は飛んできた矢を巻きこみ、さらに甲板にいた兵たちを巻き上げました。悲鳴をあげる兵たち。
「うぐぁーっ!」
甲板に落ちてきた兵の身体は、手・脚・首がバラバラ。船長とその取り巻きの兵は、それを見てびっくり。
「な、なんじゃ、こりゃあーっ!?」
2人が乗った箒は、そのまま軍艦と平行に飛びます。船首に到達するまでの間、準一は何度か鎌鼬の剣を振りました。
「そりゃーっ!」
そのたびに旋風が起き、兵の身体を斬り刻んでいきます。たちまち甲板は肉片累々状態になりました。
それを見た船長は恐れおののきます。
「うぐぐ・・・」
準一は得意な顔をして、眼の前にいる姫に話しかけました。
「どう?」
けど、姫は不満そう。
「う~ん、もっと効率よく攻撃できないかなあ・・・」
姫の脳裏に火災の記憶が蘇りました。それは4年前、ノルン王国首都イザヴェルで発生した大火。
イザヴェル市街のあちらこちらで火災が発生。それが1つに纏まり、火災旋風に。火災旋風はさらに街を飲み込んでいきます。これを宮殿のテラスから見下ろしてる当時の姫。
現在の姫。
「ねぇ、準一。旋風に火を混ぜることはできない?」
「え?・・・ 火災旋風のこと? ふふ、やってみよっか!」
2人が乗った箒がUターン。今度は船首から近づきます。準一が鎌鼬の剣を大きく振りました。
「出でよ、火災旋風! いやーっ!」
すると甲板上を一直線に炎が走りました。次々と火だるまになる甲板上の兵たち。さらに帆にも火が付き、軍艦は火に包まれました。地団太を踏む船長。
「くっそーっ!」
準一は燃えあがる軍艦を見て、
「あは、こりゃすっごーい!」
準一は鎌鼬の剣を凝視して、
「こいつ、こんなこともできるんだ!」
と、感激してます。
姫は横目で準一を見て、
「ふふ、今度は私の番かな?」
2人を乗せた箒が空高く舞い上がります。準一は不思議に思いました。
「ん、何を?」
「軍艦に体当たりする!」
「ええ~!?・・・」
2人を乗せた箒がものすごい勢いで急降下を始めました。準一は慌てます。
「うわーっ! カミカゼ攻撃かよーっ!?」
姫が叫びます。
「準一、息を止めてっ!」
「そ、そんなこと言われても・・・」
2人を乗せた箒が軍艦の甲板のど真ん中に垂直に突っ込んでいきます。焦る準一。
「ぶ、ぶつかるーっ!」
箒が甲板に激突。の直前、甲板に丸い穴が空き、2人はその中へ。けど、スピードはまったく緩みません。準一は疑問でいっぱい。
「ど、どうなってんだよ、これーっ!?」
姫が応えます。
「穿孔魔法よ!」
そんな専門用語、準一が理解できるはずがありません。
「ええーっ!?」
2人が乗った箒は、次の階の床板にも丸い穴を空け、通り抜けて行きました。さらに次の階の床板にも丸い穴を空け、次の階の床板にも・・・ 準一は恐怖に顔がひきつります。
「うわーっ!」
そして最後の床板を突き破った次の瞬間、水の中へ。そう、海中に入ったのです。
「ごはっ!・・・」
準一は海水を飲んでしまったよう。かなり息苦しいようです。姫は箒の先を上に向けました。
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