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砂浜に布陣されたノルン王国軍の十数箇所から同様に対戦車砲が発射され、10隻以上の手漕ぎボードが破壊されました。ちなみに、この対戦車砲、使い捨て方式。1発しか撃てません。
グラニ帝国軍の手漕ぎボードは、いまだ30隻以上残存してました。
しかしです。残存してるボートに残ってるグラニ帝国軍兵士は、1隻に多くて5人。しかも過半数は被弾し、ケガをしてるか、船酔いでグロッキー状態。これでは話になりません。
それでも手漕ぎボードが次々と砂浜に到着しました。
ノルン王国軍の兵たちは、小銃を刀剣に替え、上陸してきたグラニ帝国軍兵士に向かって突進します。
「行くぞーっ!」
「おーっ!」
巨漢なコマンダーも巨大な半月刀を振り上げ、突撃して行きました。
「うおーっ!」
姫はボートに乗っていた漕ぎ手に注目しました。どこに逃げればいいのか、みんな右往左往してます。中には波に飛び込む者も。
「あの人たち、グラニ帝国に捕らえられ、奴隷にされた人たち?・・・」
姫は将軍を見て、
「将軍、殺すのは兵だけにして! 船を漕いできた人たちに危害を加えないで!」
「御意!」
将軍は大きな声で、
「皆の者! 船を漕いできたものに手を出すな! 殺していいのは敵兵だけじゃ! これは姫の勅令じゃ!」
突進してる兵が一斉に応えます。
「御意!」
いよいよグラニ帝国軍とノルン王国軍が激突。しかし、勝負はもう決まったようなもの。グラニ帝国軍の兵は囲まれ、なぶり殺し状態。侍従長はそれを見て、姫に、
「圧倒的ですな、我が軍は!」
それを聞いて準一は苦笑い。
「あは、それ、戦場では絶対言ってはいけないセリフ・・・」
準一の発想はなかば冗談でしたが、事実となってしまうようです。姫の背後が突然騒々しくなりました。
「うぉーっ!」
姫とその周辺の人物が振り返ると、スクルド王国軍の兵たちがこっちに向かって突進して来るところでした。自分の母親の故郷の兵が私を襲ってきた?・・・ 姫は茫然とします。
「ええ、なんで?・・・」
姫とスクルド王国軍の間には、ノルン王国軍の兵は3人しかいません。その3人は両手を広げてスクルド王国軍の行く手を阻みます。
「謀反だーっ!」
「くそーっ、裏切り者めーっ!」
それを聞いて波打ち際で戦ってたノルン王国軍は、一斉に振り返ります。
「なんだってーっ!」
が、ノルン王国軍はグラニ帝国軍の最期のあがきに意外と手こずってました。
銃創を負ったり、船酔いだった兵は軽く片付けることができましたが、どちらとも軽微、または何も問題のない兵は、しぶとく反撃していたのです。
巨漢のコマンダーも、自分より大きな兵の長刀に四苦八苦してました。
「くそーっ、こんな大事なときに、こいつらーっ!」
スクルド王国軍の兵たちが突進しながら小銃を撃ちます。実は彼ら、グラニ帝国軍と交戦中、小銃を構えていただけでした。銃弾を温存してたのです。
3人のノルン王国軍の兵はあっという間に蜂の巣に。それを見て姫は愕然とします。
「ああ・・・」
「姫ーっ!」
侍従長は姫の身体を抱きしめようとします。自らの身体を盾にする気です。しかし、姫はその侍従長の身体を両手で突き放しました。
「じぃ、来ないで!」
「うわっ!」
侍従長は尻もち。姫は首からぶら下げた碧のブローチを右手で握り、叫びます。
「防御魔法!」
スクルド王国軍の兵たちは立ち止まり、
「撃てーっ!」
一斉射撃。その銃弾が姫の身体に向かっていきます。侍従長は叫びます。
「姫ーっ!」
姫の身体に銃弾が当たる寸前、何かが銃弾を弾きました。防御魔法の光の球体です。
グラニ帝国軍の手漕ぎボードは、いまだ30隻以上残存してました。
しかしです。残存してるボートに残ってるグラニ帝国軍兵士は、1隻に多くて5人。しかも過半数は被弾し、ケガをしてるか、船酔いでグロッキー状態。これでは話になりません。
それでも手漕ぎボードが次々と砂浜に到着しました。
ノルン王国軍の兵たちは、小銃を刀剣に替え、上陸してきたグラニ帝国軍兵士に向かって突進します。
「行くぞーっ!」
「おーっ!」
巨漢なコマンダーも巨大な半月刀を振り上げ、突撃して行きました。
「うおーっ!」
姫はボートに乗っていた漕ぎ手に注目しました。どこに逃げればいいのか、みんな右往左往してます。中には波に飛び込む者も。
「あの人たち、グラニ帝国に捕らえられ、奴隷にされた人たち?・・・」
姫は将軍を見て、
「将軍、殺すのは兵だけにして! 船を漕いできた人たちに危害を加えないで!」
「御意!」
将軍は大きな声で、
「皆の者! 船を漕いできたものに手を出すな! 殺していいのは敵兵だけじゃ! これは姫の勅令じゃ!」
突進してる兵が一斉に応えます。
「御意!」
いよいよグラニ帝国軍とノルン王国軍が激突。しかし、勝負はもう決まったようなもの。グラニ帝国軍の兵は囲まれ、なぶり殺し状態。侍従長はそれを見て、姫に、
「圧倒的ですな、我が軍は!」
それを聞いて準一は苦笑い。
「あは、それ、戦場では絶対言ってはいけないセリフ・・・」
準一の発想はなかば冗談でしたが、事実となってしまうようです。姫の背後が突然騒々しくなりました。
「うぉーっ!」
姫とその周辺の人物が振り返ると、スクルド王国軍の兵たちがこっちに向かって突進して来るところでした。自分の母親の故郷の兵が私を襲ってきた?・・・ 姫は茫然とします。
「ええ、なんで?・・・」
姫とスクルド王国軍の間には、ノルン王国軍の兵は3人しかいません。その3人は両手を広げてスクルド王国軍の行く手を阻みます。
「謀反だーっ!」
「くそーっ、裏切り者めーっ!」
それを聞いて波打ち際で戦ってたノルン王国軍は、一斉に振り返ります。
「なんだってーっ!」
が、ノルン王国軍はグラニ帝国軍の最期のあがきに意外と手こずってました。
銃創を負ったり、船酔いだった兵は軽く片付けることができましたが、どちらとも軽微、または何も問題のない兵は、しぶとく反撃していたのです。
巨漢のコマンダーも、自分より大きな兵の長刀に四苦八苦してました。
「くそーっ、こんな大事なときに、こいつらーっ!」
スクルド王国軍の兵たちが突進しながら小銃を撃ちます。実は彼ら、グラニ帝国軍と交戦中、小銃を構えていただけでした。銃弾を温存してたのです。
3人のノルン王国軍の兵はあっという間に蜂の巣に。それを見て姫は愕然とします。
「ああ・・・」
「姫ーっ!」
侍従長は姫の身体を抱きしめようとします。自らの身体を盾にする気です。しかし、姫はその侍従長の身体を両手で突き放しました。
「じぃ、来ないで!」
「うわっ!」
侍従長は尻もち。姫は首からぶら下げた碧のブローチを右手で握り、叫びます。
「防御魔法!」
スクルド王国軍の兵たちは立ち止まり、
「撃てーっ!」
一斉射撃。その銃弾が姫の身体に向かっていきます。侍従長は叫びます。
「姫ーっ!」
姫の身体に銃弾が当たる寸前、何かが銃弾を弾きました。防御魔法の光の球体です。
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