54 / 57
54 竜との対決
しおりを挟む遺跡の中でなんだかピンチぽい、ハルカとエリカです。
「お嬢様方に残念なお知らせがあります」
セバスさんが、申し訳なさそうにこちらを見る。
いや~、残念なお知らせ聞きたくないっ!
「どうも、主が貴女方を侵入者とみなしたようです。攻撃されると思いますので、お気をつけ下さい」
いやいや、主、止めて! めっちゃ止めて!!
「先ほどから主に、お話し申し上げてるのですが応答がありません。さすが、主、無意識で対応されてるご様子です。」
ひゅっーと、風が走る。ほっぺたにしゅっと痛みが走る。
カマイタチじゃん。私たち狙われてる!
闇魔法で結界を張る。
にゃんこに、いいかげん覚えろ!と言われてたヤツだ。
カマイタチをはじく。
「主は頑丈に出来ておりますから、攻撃して構いませんよ。目を覚まして欲しいですし」
セバスさんがにこやかに言う。
良いのか攻撃。お言葉に甘えて、ファイヤーボールを打ち込む。
はじかれた!
「言うのを忘れましたが、主の鱗は魔法をはじきます」
こちとら、非力な魔法使いなのよ、どうしろっていうのよ。
そうこうしてるうちに、竜の口から火が放たれる。
竜、寝てるのに炎吐くのか、こわくて横に寝れんな。
ファイヤーボールなんてかわいいのじゃなくて、火炎放射だ。
結界で防ぐ。さすが竜の火炎つらい。頭がクラクラしてくる。
「ハルカは、死んでも私が守るからね」
額に汗がにじむ。
「……どうしてそんなに? 」
ハルカが思い切ったように次の言葉を紡ぐ。
「前から思ってたんだけど、エリカってお母さんでしょ?」
目が泳ぐ。バレた。
「うん。わかっちゃった?」
「わかるよ。だってお母さんだもの」
ハルカがにっと笑った。
集中して、冷静に、すべての魔力をコントロールしてみせる。
杖に魔力を集中させる。
全てを守ってみせる! だって私はお母さんだもの。
遠くにいても近くにいても、貴女たちの幸せを祈ってる。
でも、このままじゃ、魔力が切れていつか結界が破れる。
琥珀、力を貸して。
椿の精霊よ、力を貸して。
( しょうがないなあ、僕が防御の結界を張るから、エリカは攻撃して! )
( 宴会で手を打とう。エリカ、物理でなぐるのじゃ )
琥珀はいいとして、椿の精霊、私、非力な少女だから! しかもアドバイスだけ?
殴るなんて…… ゴーレムみたいな力があれば別だけど。
――ん? ゴーレム? わかった。
「私もお母さんを守る! もうかばわれてお母さんがいなくなるのはイヤだ!」
「わかったハルカ、一緒に魔力込めて」
私は、竜の上、天井に一番近いところに魔力を込める。
まだ、竜の鎖がすべて外れないうちに。
ハルカと二人で魔力を込める。ハルカの髪がふわりと舞い上がる。
目が黒から金色に変わる。
びっくりしてハルカをみると、『お母さんも変わってるよ』という。
確かに、私の髪も舞い上がっている。スーパーなんとか人みたいだ。
二人でニッコリ笑いながら、魔力を込める。
娘と一緒に何かをやるって、すごく楽しい。
ありがとう。エンバー先輩。
貴方の教えてくれた氷魔法で、特大の氷を作ります。
初めてかき氷用以外の氷を作りましたよ!
竜の上空で魔力が固まってゆく。キラキラとした氷ができる。
大きな大きな氷が高い位置から、竜に向かって落下。
巨大な氷が、竜の頭に命中した!
「ガギャオオオオオオオウン!!!!!!!!!!」
竜が痛みでのたうち回る。
竜の目が覚めた模様です。
ついでに、竜がのたうち回ったので全部の封印の鎖が解けました。
―― ピンチじゃん!
0
お気に入りに追加
341
あなたにおすすめの小説
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった
白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」
な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし!
ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。
ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。
その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。
内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います!
*ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。
*モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。
*作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。
*小説家になろう様にも投稿しております。
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
悪役令嬢と攻略対象(推し)の娘に転生しました。~前世の記憶で夫婦円満に導きたいと思います~
木山楽斗
恋愛
頭を打った私は、自分がかつてプレイした乙女ゲームの悪役令嬢であるアルティリアと攻略対象の一人で私の推しだったファルクスの子供に転生したことを理解した。
少し驚いたが、私は自分の境遇を受け入れた。例え前世の記憶が蘇っても、お父様とお母様のことが大好きだったからだ。
二人は、娘である私のことを愛してくれている。それを改めて理解しながらも、私はとある問題を考えることになった。
お父様とお母様の関係は、良好とは言い難い。政略結婚だった二人は、どこかぎこちない関係を築いていたのである。
仕方ない部分もあるとは思ったが、それでも私は二人に笑い合って欲しいと思った。
それは私のわがままだ。でも、私になら許されると思っている。だって、私は二人の娘なのだから。
こうして、私は二人になんとか仲良くなってもらうことを決意した。
幸いにも私には前世の記憶がある。乙女ゲームで描かれた二人の知識はきっと私を助けてくれるはずだ。
※2022/10/18 改題しました。(旧題:乙女ゲームの推しと悪役令嬢の娘に転生しました。)
※2022/10/20 改題しました。(旧題:悪役令嬢と推しの娘に転生しました。)
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!
ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。
気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。
【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる