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54 竜との対決

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遺跡の中でなんだかピンチぽい、ハルカとエリカです。



「お嬢様方に残念なお知らせがあります」

セバスさんが、申し訳なさそうにこちらを見る。

いや~、残念なお知らせ聞きたくないっ!



「どうも、主が貴女方を侵入者とみなしたようです。攻撃されると思いますので、お気をつけ下さい」

いやいや、主、止めて! めっちゃ止めて!!



「先ほどから主に、お話し申し上げてるのですが応答がありません。さすが、主、無意識で対応されてるご様子です。」



ひゅっーと、風が走る。ほっぺたにしゅっと痛みが走る。

カマイタチじゃん。私たち狙われてる!

闇魔法で結界を張る。

にゃんこに、いいかげん覚えろ!と言われてたヤツだ。

カマイタチをはじく。



「主は頑丈に出来ておりますから、攻撃して構いませんよ。目を覚まして欲しいですし」

セバスさんがにこやかに言う。

良いのか攻撃。お言葉に甘えて、ファイヤーボールを打ち込む。

はじかれた!



「言うのを忘れましたが、主の鱗は魔法をはじきます」

こちとら、非力な魔法使いなのよ、どうしろっていうのよ。



そうこうしてるうちに、竜の口から火が放たれる。

竜、寝てるのに炎吐くのか、こわくて横に寝れんな。

ファイヤーボールなんてかわいいのじゃなくて、火炎放射だ。

結界で防ぐ。さすが竜の火炎つらい。頭がクラクラしてくる。



「ハルカは、死んでも私が守るからね」

額に汗がにじむ。



「……どうしてそんなに? 」

ハルカが思い切ったように次の言葉を紡ぐ。

「前から思ってたんだけど、エリカってお母さんでしょ?」

目が泳ぐ。バレた。



「うん。わかっちゃった?」

「わかるよ。だってお母さんだもの」

ハルカがにっと笑った。

集中して、冷静に、すべての魔力をコントロールしてみせる。

杖に魔力を集中させる。



全てを守ってみせる! だって私はお母さんだもの。

遠くにいても近くにいても、貴女たちの幸せを祈ってる。



でも、このままじゃ、魔力が切れていつか結界が破れる。

琥珀、力を貸して。

椿の精霊よ、力を貸して。



( しょうがないなあ、僕が防御の結界を張るから、エリカは攻撃して! )

( 宴会で手を打とう。エリカ、物理でなぐるのじゃ )



琥珀はいいとして、椿の精霊、私、非力な少女だから! しかもアドバイスだけ?

殴るなんて…… ゴーレムみたいな力があれば別だけど。

――ん? ゴーレム? わかった。



「私もお母さんを守る! もうかばわれてお母さんがいなくなるのはイヤだ!」



「わかったハルカ、一緒に魔力込めて」

私は、竜の上、天井に一番近いところに魔力を込める。

まだ、竜の鎖がすべて外れないうちに。

ハルカと二人で魔力を込める。ハルカの髪がふわりと舞い上がる。

目が黒から金色に変わる。

びっくりしてハルカをみると、『お母さんも変わってるよ』という。

確かに、私の髪も舞い上がっている。スーパーなんとか人みたいだ。

二人でニッコリ笑いながら、魔力を込める。

娘と一緒に何かをやるって、すごく楽しい。



ありがとう。エンバー先輩。

貴方の教えてくれた氷魔法で、特大の氷を作ります。

初めてかき氷用以外の氷を作りましたよ!



竜の上空で魔力が固まってゆく。キラキラとした氷ができる。

大きな大きな氷が高い位置から、竜に向かって落下。

巨大な氷が、竜の頭に命中した!



「ガギャオオオオオオオウン!!!!!!!!!!」



竜が痛みでのたうち回る。

竜の目が覚めた模様です。



ついでに、竜がのたうち回ったので全部の封印の鎖が解けました。




―― ピンチじゃん!















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