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41 誘拐です!
しおりを挟む異世界へ、うら若き日本女性を召喚もとい誘拐したエリカです。
ああ、なんてことをしでかしてしまったんだ。
この場で一番偉いと思われるシュタルバーン師に訴える。
「この人、幻獣や精霊ではありません。異世界の女性です。返してあげて下さい!」
「それは、できんのじゃ」
シュタルバーン師が白い髭を撫でながらこう言った。
「召喚が成立しておる。召喚された者は、契約の条件が完了するまで戻れないのじゃ。
今回の契約の条件は、「遺跡の門の文字を解読」「遺跡の門の結界を破る」になる。
その者が召喚されたということは、「遺跡の門の文字を解読」「遺跡の門の結界を破る」能力があるということじゃ。
その者を早く返したければ、契約の条件が完了することじゃ」
シュタルバーン師と話してる間に、フェミニストのレイアス先生が、倒れているハルカさんに手をさしのべている。
「大丈夫ですか? 痛いところはない?」
キョトンとしている。言葉が通じないようだ。
「言葉が通じてないようじゃな。どうれ、言の葉の魔法をかけて進ぜよう」
シュタルバーン師が呪文を詠唱すると杖がぼうと光ってハルカさんを包んだ。
ともかくケガがないか確認しよう。
彼女のケアが最優先だ。
「エリカと言います。ケガはないですか? 痛むところはありませんか?」
「ちょっと背中と腰が痛いです」
「ヒールをかけますね」
ハルカさんが目を丸くする。そうだよね、いきなり魔法だもんね。
ハルカさん、びっくりした顔がかわいい。
色白の目が大きいかわいい女性だ。
「ここは、どこですか?」
「ラブルグンド王国の王都アンバーです。貴女にとっては異世界になります。私は、内務局主任マルチーノと申します。お嬢さま、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「モリモト ハルカと申します。なぜ、私がここに?」
役人のマルチーノさんが召喚された訳を説明した。
「国の危機なのです。勝手に召喚して本当に申し訳ないのですが、「遺跡の門の文字を解読」「遺跡の門の結界を破る」の協力をお願いたい。もちろんできる限りの要求は答えるし、成功報酬もはずみます」
ハルカさんは、困惑している。なんと答えて良いか分からないようだ。
いきなり異世界だと言われ、協力しろと言われても困るよね。
「ハルカさんもお疲れでしょうから、今日の所は着替えて休ませて差し上げたいのですが」
日本は冬だったのかハルカさん冬服だ、こちらは夏だから暑そう。
「そうですね。部屋の手配とお世話する侍女の手配をします」マルチーノさんがテキパキ指示をする。
「体調が心配ですので、私も付き添っていいでしょうか?」
チャッカリついて行く。彼女の体調が心配なこともあるが、いろいろ聞きたいことがあるのだ。
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