39 / 57
39 召喚しました。
しおりを挟む重厚な石造りの扉を開けると、召喚の関係者とみられる方々がいた。
いかにも魔法使いのおじいさんといったふうの白いひげのおじいさんと、弟子ぽいローブ2人。
役人だろうか、銀縁の眼鏡をかけた30代くらいの男。
研究者か学者といった感じの青年。
警備の人だろうか騎士も何人がいる。
おう、アルベルト様とエンバー先輩もいる。
楽団や踊り子も用意は、控えの間に用意されているらしい。本当に用意したんだ。レイアス先生。
白いひげのおじいさんが、レイアス先生に手をあげる。
「レイアス、来たか! その子が全属性持ちか?」
「ええ、シュタルバーン師、エリカです」
「エリカ、カイン挨拶して。魔法長のシュタルバーン師、私の師匠だ。」
「初めまして。魔法科1年エリカです」「付き添いで来ました。騎士科1年カインです」
レイアス先生が中の人達を紹介する。
「エリカ、こちらはドライオン調査隊の方達だ」
「魔法省の双子トーマスとパーシー、役人のマルチーノ、学者のユーゴ、騎士のフェルナンドだ」
おおう、双子機関車コンビだ。全員、顔で選んだのかと思うくらいイケメン揃いだ。
カインと私は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
部屋の真ん中にみごとな召喚陣が書かれている。
私が杖を作るときに書いたのとは違って、円が3つ組み合わさった複雑な図形が描かれている。
それに精密な魔法文字と初めて見る印章が記された美しい魔方陣だ。
「エリカ、この魔方陣に魔力を込めて欲しい」
このままモンスターが活性化すると、普通の人々の暮らしにも影響が出る。
一刻も早く遺跡の封印を解き、中の調査をしないといけない。
「わかりました」
魔方陣に手を伸ばし、心を込めて魔方陣に魔力を注ぐ。
遺跡の封印を解きモンスターの活性化が収まりますように、人々の暮らしが安寧なもので有りますように。
なるべく心優しいものが召喚されますように。イモムシにされませんように。イモムシにされませんように。
魔方陣の隅々まで魔力が注ぎ込む。
魔方陣がキラキラと輝いていく。
光がどんどん強くなってまぶしくて目を開けていられない。
ドサッと音がして、魔方陣の真ん中に何かが落ちてきた。
「召喚の儀が、成った」
――魔法長のシュタルバーン師が、重々しく宣言した。
20代くらいの若い女性が、うつぶせで床に倒れている。
黒髪、東洋系の肌の色、こちらにはないフレアの短いスカートに水色のセーター。もしかして地球のひと?
でもこう見えて、幻獣?精霊?
目をこらして鑑定してみる。
モリムラ ハルカ:23歳 女性 日本人 召喚されし者 ランク:不明
「!!!!!!」
なんで!? なんで!!!
幻獣や精霊召喚するんじゃなかったの???
異世界召喚 !!!
うわん、拉致誘拐しちゃったよ!!!!!
どうしよう!!!
0
お気に入りに追加
340
あなたにおすすめの小説
異世界で料理を振る舞ったら何故か巫女認定されましたけども~人生最大のモテ期到来中~
九日
ファンタジー
女神すら想定外の事故で命を落としてしまったえみ。
死か転生か選ばせてもらい、異世界へと転生を果たす。
が、そこは日本と比べてはるかに食レベルの低い世界だった。
食べることが大好きなえみは耐えられる訳もなく、自分が食レベルを上げることを心に決める。
美味しいご飯が食べたいだけなのに、何故か自分の思っていることとは違う方向へ事態は動いていってしまって……
何の変哲もない元女子大生の食レベル向上奮闘記――
【猫画像あり】島猫たちのエピソード
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
【保護猫リンネの物語】連載中! 2024.4.15~
シャーパン猫の子育てと御世話の日々を、画像を添えて綴っています。
2024年4月15日午前4時。
1匹の老猫が、その命を終えました。
5匹の仔猫が、新たに生を受けました。
同じ時刻に死を迎えた老猫と、生を受けた仔猫。
島猫たちのエピソード、保護猫リンネと子供たちのお話をどうぞ。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
泥酔魔王の過失転生~酔った勢いで転生魔法を使ったなんて絶対にバレたくない!~
近度 有無
ファンタジー
魔界を統べる魔王とその配下たちは新たな幹部の誕生に宴を開いていた。
それはただの祝いの場で、よくあるような光景。
しかし誰も知らない──魔王にとって唯一の弱点が酒であるということを。
酔いつぶれた魔王は柱を敵と見間違え、攻撃。効くはずもなく、嘔吐を敵の精神攻撃と勘違い。
そのまま逃げるように転生魔法を行使してしまう。
そして、次に目覚めた時には、
「あれ? なんか幼児の身体になってない?」
あの最強と謳われた魔王が酔って間違って転生? それも人間に?
そんなことがバレたら恥ずかしくて死ぬどころじゃない……!
魔王は身元がバレないようにごく普通の人間として生きていくことを誓う。
しかし、勇者ですら敵わない魔王が普通の、それも人間の生活を真似できるわけもなく……
これは自分が元魔王だと、誰にもバレずに生きていきたい魔王が無自覚に無双してしまうような物語。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
王妃となったアンゼリカ
わらびもち
恋愛
婚約者を責め立て鬱状態へと追い込んだ王太子。
そんな彼の新たな婚約者へと選ばれたグリフォン公爵家の息女アンゼリカ。
彼女は国王と王太子を相手にこう告げる。
「ひとつ条件を呑んで頂けるのでしたら、婚約をお受けしましょう」
※以前の作品『フランチェスカ王女の婿取り』『貴方といると、お茶が不味い』が先の恋愛小説大賞で奨励賞に選ばれました。
これもご投票頂いた皆様のおかげです! 本当にありがとうございました!
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる