皐月 禅の混乱

垣崎 奏

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4-1.※(っ…、なんだこれ…!)

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 楓羽と再会して食事に行って、二ヶ月が経った今も、相変わらず、セフレ関係は続いている。

 生理の時は禅の家で抜いてもらいつつ、ふたりともに余力があれば配信の動画を一緒に観て、添い寝してもらって、ただまったりと過ごす。

 ホテルでマンネリするのもどうかと思って、最近は食事のあと、タクシーでバラエティストアに寄っている。もちろん、タクシーにはそのまま待ってもらう。会計を終えて再度乗り込むのに、三十分も掛からない。

 初めは「ゴムを買いに」と理由をつけていたけど、 ここでも楓羽は慣れていて、気負いなく禅の好みを聞いてきた。

(ほんと、どんな男と寝てきたんだよ……)


 ◇


「あ、着けてくれてる。ちょっと明るくしていい?」 
「むしろ暗くする人いなかったよ」
「そうなの?」
「見たがる人ばっかり」
「見られるの、慣れてる?」
「うん」

 浴室から戻った楓羽が着けているのは、ホテルに入る前に買ったランジェリーだ。シンプルといえばシンプル、白のレースで、ぷるんとした胸を支える機能は皆無、あってもなくても一緒なくらい薄い生地の、本当にこういう場面でしか着けない下着だ。

 楓羽の肌も、負けないほどに白い。ピンクの小さな突起が透けていて、煽られる。臀部には紐で括られたショーツが見え、ゆっくり解いて、焦らしてみたい。

 凝視しながらどう愛撫しようか考えていると、楓羽が話しかけてきた。

「そんな、好き?」
「うん…、大きさも張りも、乳首ここも全部好き」

 楓羽がどんな男と関わったのか、全員の趣味は分からない。でもこの身体を前に、じっくり確認しない選択がないのは分かる。どんな男でも、この身体には欲情するだろう。

 白いきめ細かい滑らかな肌に、手からこぼれるほど大きくて張りのある膨らみ。小さくて薄いピンク色の、しっかり上を向いて主張する突起。しっかりくびれた腰の割に、むちっとした臀部と太腿。

 隣に座った楓羽の臀部から腰の辺りに滾った凶器を当てて意識させてから、ランジェリーの上から胸の頂点に吸い付いた。舌を揺らせば、膨らみが押し返してくる。それが余計に、勃った突起を強調する。

「んっ、あ、ぜんくん…」
「ん?」

 布越しだからだろうか、楓羽は「いつもと感覚が違う」と訴えていた。声は不安そうだけど、禅の頭に回された手は、楓羽の胸に押し付けるように力がかかる。

「ん、んっ、うあ」
「うん?」
「んん……」

 禅には、楓羽の太腿が擦り合わされているのも当然見えていた。手のひらで胸を堪能しながら、その固くなった先端に触れている舌と指を速めた。

「んっ、んん…、ん、あっ、ぜんくん!」

 震えながら、くたっと寄りかかってくる楓羽を支えて、そのまま抱き締める。柔らかくて好きな身体なのは、何度も確かめた。

 楓羽が果ててしまうのは、禅の前戯が楓羽に合う証拠でもあるけど、過去の男に開発されていた証拠でもある。過去を気にしても仕方ないと思いつつ、メラっと黒い感情が湧く。

「もうちょっと、触っててもいい?」
「ん」

 ランジェリーのせいなのか、とてつもなくエロく見えて、ずっと触れていられる気がした。突起を休ませている間には、手からこぼれそうな膨らみを揺らす。軽く触れたり、しっかり握ったり。楓羽は気持ちいいのか、禅の髪を撫でてくれる。

「…おっぱいも気持ちいいの?」
「あったかいよ、感じるかって言われると乳首のがいいけど」

 普通に話せるほどに息が落ち着いた楓羽を見て、禅はランジェリーをずらしてから、また口に咥えた。


 ◇


「ぜんくん、深いのしないよね」
「こう、ちゅっちゅしてる方が好き」
「ん…」

 ずっと胸を舐めていたらキスが欲しいと強請られ、首筋や耳にも落として唇に戻った。楓羽が差し出した舌を吸ったり、唇の形をなぞったりすることはあっても、口内へ舌を入れようとは思わなかった。一線を決めようと思っていたけど、最近はどうでもよくなりつつある。楓羽に、避けられないことのほうが大事だ。

「ぜんくん、舌出して。べーって」
「べー?」

 言われた通り、できる限り外へ出す。意図が分からなくて、近距離で目が合ってしまう。顔を近づけてきた楓羽が、その舌を咥えて吸って、離れていく。

「舌が短いんだよ、ぜんくん。だから深いのやりにくい」
「…そうなの?」
「無理にすることないけど…、深いの、してもいい?」
「うん」

 この二ヶ月、どうやら楓羽は禅に合わせてくれていたらしい。楓羽の舌が禅の口腔をゆっくり探ってくる。歯列をなぞられ、知らない感覚に背筋があわだった。真似て追いかければ絡み取られ吸われて、動きを止められてしまう。

(っ…、なんだこれ…!)

「ん…」
「はあ……」
「ぜんくん、顔…」
「ん?」

 楓羽が、笑っていた。楽しそうな頬の赤らみに、またも煽られ、下半身には熱が溜まる。

「溶けてるよ、気持ちよかった?」
「…初めて、深いのがいいと思った」

 禅の口内が、しばらく楓羽によって貪られたのは、言うまでもない。禅が溶けている間、楓羽は禅の逸物に軽く触れるのも忘れていなかった。


 ◇


「わあ…、スケスケだよ」
「元からじゃなくて?」
「濡れて、がっつり。つけてないのと変わんない。布あって入れれないだけ」

 楓羽がベッドに背中をつけて、恥ずかしげもなく脱力して、足を開いている。こんな割れ目を見せられたら、すぐに入れたくなるに決まっている。指二本で軽くなぞって、主張し続けていただろう芯もおざなりに擦り、せっかくの紐で括るタイプのショーツを普通に脱がせ、内部へと滑らせた。

「んっ…、狭いんじゃない」
「分かるの?」
「イくと、締まるから」
「ああ……」

 様子を見ながら、あたたかい楓羽の中で二本の指を動かしていく。ただ出し入れするだけでなく、広げたりバラバラに動かしたり、ゆっくり弄んであげる。

「あっ、んんっ」
「ここだよね、いいとこ」
「も、だいじょうぶだから……」
「それでも、ゆっくりするよ。嫌?」
「んん……」

(入れて欲しいなら、言ってくれていいのに)

 肝心なところで、楓羽は返事を誤魔化す。これだけ慣れているのを隠さないのに、恥じらうときもある。 他の男がチラつきはするけど、これから楓羽を貫くのは間違いなく禅だ。
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