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10 ピンクブロンドの確定された未来
しおりを挟む『ピンクブロンドの呪い』は、起承転結のカタが決まっている。
卑しい生まれのピンクブロンドとその母親が、愚かな男を欺して高貴な貴族の家に入り込み、正しい血筋の御嬢様を虐げる。これが起承転結の『起』。
御嬢様に味方する奉公人達を次々と辞めさせ、御嬢様自身をも本宅から離れへ追い出す。それだけでは飽き足らず、服から宝飾品まで全部取り上げ、下女としてこき使い倒すのだ。
そして卑しい親娘はお家の乗っ取りを企み、御嬢様の婚約者を淫らなテクニックで誘惑して奪い取る。
ピンクブロンドは得意の絶頂。この辺りまでが『承』
だが、事態は一転、その罪を徹底的に暴かれ破滅する。この辺りが『転』
そんな下劣で愚かな親娘の破滅にすら、正しい血筋の御嬢様は涙を流してくださったりする。
そして『結』は……。
「君は断罪されるけど、ヒロインの慈悲で修道院送り。君の両親は鉱山送り。
んで、ドアマットヒロインには、絵に描いたようなヒーローが現れて、幸せになる。
正義は栄え悪は滅びる。ックックック。様式美だね」
「ドアマットヒロインってなによ?」
「下々の間では、血筋がよろしいのに虐げられているヒロインを、そういう風に言うらしいよ」
アタシは目の前のニヤニヤ笑いにうんざりして、窓を見た。
森のような木々が窓の外を流れていく。
貴族という蛇どもの巣を囲む木々だ。
3年間過ごしても、アタシとは縁遠いままの世界。
どこか遠くで、真夜中の鐘が鳴るのが聞こえた。
日付が変わった。
アタシの義姉であるマカロンお嬢サマが18歳になったのだ。
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