上 下
77 / 107

76.

しおりを挟む
 十一月に入り休養しても、マーシャの体調は良くならなかった。
 医者に診せてもどこにも悪い所はないという。
 名医と呼ばれる者を何人も両親が手配してくれたが、身体の怠さは抜けず、今では立って歩くことすら困難になっていた。
 呪いでは、等と迷信じみたことまで言い出す使用人や両親を宥め、この怠さはどこから来るのだろうかと考えるようになっていた。
 ボス討伐を終えた直後から体調を崩したのだ。
 試しに体力ポーションと魔力ポーションを飲んでみた所、一時的に体調は回復し、起き上がって居室を歩けるくらいになった。
 両親達は回復したと喜んだのだが、数時間もすればまた体調が悪くなる。
 体力が減っているわけではない。
 魔力ポーションだけを飲んでみた所、身体は動くようになったのだった。
 原因が魔力とわかれば、両親は魔術師団員を呼んでくれた。
 事前に症状を説明していたようで、マーシャの部屋に入ってきた三名の女性魔術師団員の動きはスムーズだった。
 居室のソファで迎えたが、今日はいつ魔力ポーションを飲んだかを聞かれ、ついさっきと答えれば、また体調が悪くなるまで様子を見させて欲しいと言い、野球ボール程の大きさの水晶玉を握るように言われた。魔水晶でできたタブレットにしか見えない板を見ながら、魔術師団員達は静かに数時間観察し続けた。
 水晶玉はおそらく魔力測定をする魔道具なのだろうと予想はついたので大人しく持ち続け、二時間が経過した頃から身体が重く、背もたれに凭れ掛かっていなければ座っていられなくなり、三時間が経過する頃には上半身を起こしていることが辛くなった。
「魔力ポーションを飲んで下さい」
 と言われてポーションを飲み、体調が回復する。
 身体を起こしたマーシャに、魔水晶の板を持っていた魔術師団員は「ご協力ありがとうございました」と言って退出しようとするので呼び止め、原因を教えて欲しいと乞う。
「ご両親に説明を致しますので、よろしければご一緒に」
 と言われたので共に父の執務室へと向かい、聞いた内容に皆愕然としたのだった。
「お嬢様は時間経過と共に魔力を少しずつ消失しておられますね」
「…それは、どういう…?」
「簡単に言いますと、魔獣から毒を食らうと体力がどんどん奪われますよね。それの魔力版、ということになります」
「ま、魔獣に何かされたということか…!?」
 慌てる父に向って、魔術師団員は冷静に首を振る。
「いえ、お話を聞く限り、二十階までの魔獣にそのような技を使う存在はおりません」
「では、どうして…!」
「病気ではありませんし、デバフの類でもありません。魔力ポーションで魔力は回復しておりますので、身体としては正常です。通常、魔力は使い切っても少しずつ回復します。お嬢様の場合、ゼロになったらそのまま、睡眠をとっても回復しない、という状況と推測致します」
「どうすればいいのだ!」
「対症療法になりますが、定期的に魔力ポーションを取って頂くしかありません。魔力がゼロになると人は動けなくなりますので、ゼロにならないようにすれば日常生活も送れます」
 魔力持ちの人間は、魔力を使い切ると動けなくなる、というのは常識だった。
 だからこそ、使い切らないように魔力ポーションを飲み、魔力の操作を覚えるのだった。
 平民で魔力を持たないとされる人々も、実際には「魔法を使うだけの魔力がない」だけであって、ゼロではないのだ。
 かといって鍛錬すれば魔力量が増えるかといえばそうとも限らず、最初から魔力がないに等しい者は、どれだけ鍛錬しても使えるようにはならないというのが一般常識だった。
 だが稀に、平民でも魔力量が多めの者がいる。
 そういう者達は努力次第で魔法が使えるようになるのだった。
「ただ…」
 魔術師団員の呟きに、父が反応した。
「ただ…?」
「魔力はどこへ消えているのか」
「は?」
「デバフであれば、解除すれば魔力は回復していきます。魔力は体力とは違って、病気や怪我で失うものではありませんので」
「…意味が分からん。何を言いたいのだ!娘はどうなるのだ!?」
 父が声を荒らげるが、団員は表情を動かすことはなかった。
「原因には結果を伴うように、逆もまた然りなのです。魔力を失っていくという結果があるのなら、魔力を奪っている原因があるはず」
「…奪っている…だと?」
「はい。お心当たりはありませんか?」
「…どうなんだ?」
 父はマーシャへと問うが、マーシャは答えることができなかった。
 心当たりなんてない、と言い切れないモノが、マーシャの指にはあったからだ。
「心当たりと言われても…すぐには思いつきません」
「そうか…そうだな…」
「では何か思い出されることがあれば、お知らせ下さい。我々と致しましても、魔力消失の原因は究明したいと考えておりますので」
「ええ…わかりました」
 魔術師団員はあっさりと帰って行った。
 両親は難しい顔をして「やはり呪いではないのか」と言っていて、あながち否定できない自分にマーシャは戸惑った。
「何かなかったか、思い出してみますわね」
 と言えば、両親は揃って頷き、魔力ポーションの調達については心配するなと言ってくれて心強かった。
 部屋に戻ればアンナに泣かれた。
「わたくしがお嬢様の不調にもっと早く気づいていれば…!」
「アンナ…」
 とりあえずここの所ずっとベッドの住人であったことから体力自体も落ちている。
 魔力ポーションを飲みながら、体力を回復させていきたいから協力してねと言えばアンナは即頷いた。
 今日のところは休むと言って一人になってから、マーシャは指輪を引き抜こうと手をかけた。
 
 …が、抜けなかった。

「…うそ…」
 指と一体化してしまったように、びくともしないのだった。
「…原因、明らかにこれじゃないの…」
 呪いの指輪、という単語が脳裏を駆ける。
 そんなはずはない。
 だってこれは、ゲームでヒロインがもらう指輪ではないか。
 …だが、効果が違う。
 マーシャは青ざめた。
 ヒロインではなく悪役令嬢だから?
 痛みを感じないことと引き替えに、魔力を奪われ続ける指輪だった?
 そんなこと、聞いてない。
 そんなこと、一言も言っていなかった。
 君の力になりたいと教師は言ったのだ。
 ならばこれはおかしいではないか。
「どういうことなのよ…!!」
 指輪を思いっきり引っ張る。
 力の限り引っ張ったせいで薬指の骨が外れたようだった。
 だが痛みはない。
 回復魔法を唱えて、魔力ポーションを飲む。
「ひどい…どうしてよ…!」
 こんな状態では、スタンピードの討伐メンバーに選ばれたとしても、まともに動けない。
 魔力ポーションを何十本も所持し、魔法を使うたびに飲むなど、プライドが許さない。
 だが美形教師は故郷へ帰ったというのだった。
 連絡の取りようがなかった。
 …いや、学園に問い合わせれば、教師の行方を知る者はいるかもしれない。
 諦めるにはまだ早かった。
 マーシャはアンナを呼んで、早速「お願い」をするのだった。
 
 
 
 
 
 名誉騎士は騎士団本部へと赴き、各騎士団長と魔術師団長を加え、毎年恒例のダンジョン攻略についての会議に参加していた。
 第一騎士団は近衛と呼ばれ、王宮と王族の警備と警護を、第二騎士団は王都の警備を、第三騎士団は直轄領の警備を、第四騎士団は外敵対策を担う。各地の魔獣討伐要請を受けて出向くのは第四である為、精鋭として名高い。
 平民や下位貴族が出世したければ第四で十年最前線で生き残れ、と言われる。
 実力が認められれば、各騎士団の部隊長クラスとして迎えられる未来が約束されているからだ。
 統率力や実務能力等も問われる為、そこから先に行けるかは本人の努力と才能次第である。
 我が国出身の高ランク冒険者が騎士団入りを希望する場合には、まず第四に配属されて実力を証明しなければならないが、証明さえされれば十年待たずに出世できる。
 高ランク冒険者が騎士団入りするメリットがあるかどうかはさておいても、平民や下位貴族でも上を目指せる制度があることで、騎士団入りを望む若者は多かった。
 会議室には第四までの騎士団長と副官、そして名誉騎士が円卓を囲んで座っていた。
 毎年恒例になっているだけあって、必要物資や人員などは都度改善され最適化されている。
 戦闘方法もほぼ確立されていた。
 名誉騎士とその冒険者仲間が最前線に立ち、新たにSランクに上がった者がいれば人数に加えながら攻略をする。
 今年は百四十一階層からのスタートであるが、騎士団員は戦力としては役に立たない。
 必要物資の運搬や雑用が主であるが、同時期に冒険者と同じようにダンジョンに籠り、訓練の為別階層の攻略も行う。
 第四騎士団の精鋭部隊の実力を冒険者ランクとして評すれば、平均CからBランクといった所であった。
 第一から第三の実力はDからCランク程度であり、これら戦力の底上げも急務となっていた。
 魔術師団は魔獣の研究の為随行する。
 魔獣や魔法、付呪の研究をする機関が魔術師団であるが、第四に随行する魔術師団員は、騎士団に出向という形で普段から所属しており、魔獣討伐や訓練の際には共に行動する魔法使いの精鋭であった。
 最前線の攻略に参加する名誉騎士一行に随行する団員と、訓練の為に赴く団員を確認する為の会議であり、それ自体は長引くようなものではなかった。
 それとは別に議題に上がったのは、先日の国立森林公園で起こった魔獣襲撃事件である。
 口を開いたのは第一から第四までをまとめる騎士団総長だった。
「国家転覆をもくろむに等しい暴挙ですな」
「全くです。監視と見回りを強化しなければなりません」
 第一騎士団長が答え、第四騎士団長が顎に手をやりながら唸る。
「十一月の半ばから名誉騎士殿を筆頭に、ダンジョン攻略に一月ほど籠ることになります。第四騎士団は半数がダンジョン行きとなるので、魔獣が現れたら手薄になりますな」
「森林公園に現れた魔獣程度であれば我々でも十分対処可能ですが、それより強い魔獣が現れると厳しいかもしれません」
「Bランク以上の冒険者を一月程雇うというのはどうか」
「だがいつ、どこに現れるかわかりません。冒険者を雇うのも難しいでしょう」
「王族の方々のご予定はいかに?」
 第四騎士団長の問いに、第一騎士団長が答える。
「新年の祝賀の儀で皆様が王宮前広場におでましになられる」
「他には?」
「陛下は名誉騎士殿がおられないからな、攻略から戻られるまで…新年までは王宮で執務のご予定だ。王太子殿下と王女殿下は学園があり、王都の視察がある。第二王子殿下は自粛されており、年内は王宮から出られることはないだろう」
「とすると、年内は王太子殿下と王女殿下周辺の警護を固めるべきですな」
「それはすでに完了しております。学園内外に騎士団の見回りを入れ、視察については中止できるものは中止になっております。他に外出される機会といいますと、王太子殿下のダンジョン攻略くらいですが…」
「さすがにダンジョン都市に魔獣を放つ阿呆はいなかろう」
「まぁそうですね。あそこは冒険者の街ですから…」
 瞬殺されるのがオチである。
「もどかしいことだ。魔獣を捕らえて飼っているだけでは罪にはならない。解き放ち、民に危険が及ばなければ罪に問えない」
「おまけに現行犯でなければいけませんからな…」
 名誉騎士の言葉に、魔術師団長が忌々しげに答えた。
「法を変えることは無理なのでしょうか」
「魔獣を捕らえてはいけない、とすると、我々が魔獣を研究することができなくなってしまいます…」
 第二騎士団長の疑問は、魔術師団長の悲しげな表情によって尻すぼみとなった。
「す、すいません」
「いえ、こちらも心苦しくはあるのです…」
「今は殿下方に危険が及ばないよう、そして民の被害が最小限で済むよう、注意していくしかありませんな」
「大量に魔獣を捕らえた檻を運ぶ手段は馬車しかない。魔獣と言えども生物はマジックバッグに収納できない。必ず不審な動きがあるはずだ。見逃さないことが重要だ」
 名誉騎士の言葉に皆が頷き、見回りの強化、迅速な報告の必要性を確認するのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

異世界転生 勝手やらせていただきます

仏白目
ファンタジー
天使の様な顔をしたアンジェラ  前世私は40歳の日本人主婦だった、そんな記憶がある 3歳の時 高熱を出して3日間寝込んだ時 夢うつつの中 物語をみるように思いだした。 熱が冷めて現実の世界が魔法ありのファンタジーな世界だとわかり ワクワクした。 よっしゃ!人生勝ったも同然! と思ってたら・・・公爵家の次女ってポジションを舐めていたわ、行儀作法だけでも息が詰まるほどなのに、英才教育?ギフテッド?えっ? 公爵家は出来て当たり前なの?・・・ なーんだ、じゃあ 落ちこぼれでいいやー この国は16歳で成人らしい それまでは親の庇護の下に置かれる。  じゃ16歳で家を出る為には魔法の腕と、世の中生きるには金だよねーって事で、勝手やらせていただきます! * R18表現の時 *マーク付けてます *ジャンル恋愛からファンタジーに変更しています 

婚約破棄されたので復讐するつもりでしたが、運命の人と出会ったのでどうでも良くなってしまいました。これからは愛する彼と自由に生きます!

柴野
恋愛
「グレース、お前との婚約破棄を宣言する!」 義妹に浮気をされ、婚約者だったハドムン殿下から婚約破棄をされてしまった。 こんなにも長い間王太子を支えて来たというのに。グレースの努力は、結局何の意味もなかったのだ。 「――ワタクシ、必ずあなたに復讐します」 そう心に誓い、平民に身を落として冒険者とやらになっただが……。 そこで、素敵な人と出会ってしまった。 この人といられるなら復讐とかどーでもいいです。とりあえずラブラブ冒険者ライフを満喫してしまいましょう! ※小説家になろうとハーメルンにも投稿しております。

とんでもないモノを招いてしまった~聖女は召喚した世界で遊ぶ~

こもろう
ファンタジー
ストルト王国が国内に発生する瘴気を浄化させるために異世界から聖女を召喚した。 召喚されたのは二人の少女。一人は朗らかな美少女。もう一人は陰気な不細工少女。 美少女にのみ浄化の力があったため、不細工な方の少女は王宮から追い出してしまう。 そして美少女を懐柔しようとするが……

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

パーティー会場で婚約破棄するなんて、物語の中だけだと思います

みこと
ファンタジー
「マルティーナ!貴様はルシア・エレーロ男爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄そして、ルシアとの婚約をここに宣言する!!」 ここ、魔術学院の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、ベルナルド・アルガンデ。ここ、アルガンデ王国の王太子だ。 何故かふわふわピンク髪の女性がベルナルド王太子にぶら下がって、大きな胸を押し付けている。 私、マルティーナはフローレス侯爵家の次女。残念ながらこのベルナルド王太子の婚約者である。 パーティー会場で婚約破棄って、物語の中だけだと思っていたらこのザマです。 設定はゆるいです。色々とご容赦お願い致しますm(*_ _)m

冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜

犬社護
ファンタジー
ルーテシア・フォンテンスは、《ニーナ・エクスランデ公爵令嬢毒殺未遂事件》の犯人として仕立て上げられ、王城地下の牢獄にて毒殺されてしまうが、目覚めたら精霊となって死んだ場所に佇んでいた。そこで自分の姪と名乗る女の子《チェルシー》と出会い、自身の置かれた状況を知る。 《十八年経過した世界》 《ルーテシアフォンテンスは第一級犯罪者》 《フォンテンス家の壊滅》 何故こんな事態となったのか、復讐心を抑えつつ姪から更に話を聞こうとしたものの、彼女は第一王子の誕生日パーティーに参加すべく、慌てて地上へと戻っていく。ルーテシアは自身を殺した犯人を探すべく、そのパーティーにこっそり参加することにしたものの、そこで事件に遭遇し姪を巻き込んでしまう。事件解決に向けて動き出すものの、その道中自分の身体に潜む力に少しずつ目覚めていき、本人もこの力を思う存分利用してやろうと思い、ルーテシアはどんどん強くなっていき、犯人側を追い詰めていく。 そんな危険精霊に狙われていることを一切知らない犯人側は、とある目的を達成すべく、水面下で策を張り巡らせていた。誰を敵に回したのか全てを察した時にはもう手遅れで……

【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜

光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。 それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。 自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。 隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。 それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。 私のことは私で何とかします。 ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。 魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。 もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ? これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。 表紙はPhoto AC様よりお借りしております。

処理中です...