座る席間違えた

よしゆき

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前編

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 高等部の掲示板にテストの結果が張り出され、その前に生徒達が群がる。

「見て、レイラ様とキリル様、今回も二人揃って一位だわ!」

「すごいわね、毎回毎回二人とも全教科満点で一位なんて!」

「憧れるよなー、頭も良くて、容姿も完璧だもんな、あの二人」

「美男美女でお似合いなのに、仲が悪いなんてもったいないよな」

 少し離れた場所から掲示板を見ていたレイラの耳に、彼らのヒソヒソと交わされる言葉が入ってくる。入ってくるけれど、澄ました顔で全く聞こえていませんというフリをしていた。

「ふん、今回も運良く一位だったみたいだな」

 聞こえた声に顔を向けると、キリルが腕を組んで立っていた。
 レイラは彼に冷ややかな視線を向ける。

「運じゃなくて実力よ。あなたの方こそ、不正でもしてるんじゃないの? 本当は、実力じゃ私に到底及ばないんじゃないかしら」

「はあ? そんなわけねーだろ」

「どうかしらね」

「お前の方こそ、本当はとっくに俺に負けてるんじゃねーか? 素直に負けを認めたらどうだ?」

「そのセリフ、そのままあなたにお返しするわ」

 交わされる刺々しいやり取りを見た周りの生徒達が、再びヒソヒソと囁き合う。

「また言い合ってるわ、あのお二人」

「あんなにお似合いなのに、どうしてあんなに仲が悪いのかしらね」

「前世で宿敵だったとか?」

「ははは、殺し合ってたのかもな」

 耳に入ってくるそんな会話を無視してレイラとキリルは睨み合い、そして同時に顔を背けた。
 学園内一の美男美女。成績は常にトップ。そんな二人は校内で常に注目を集めていた。
 それだけでなく、仲の悪さも有名だった。





 放課後の生徒会室。レイラとキリルは競い合うように仕事をこなしていた。
 彼らは副会長を務めている。因みに選挙の結果も同票を獲得し二人揃って一位だった。
 レイラはパソコンのキーボードを高速で打ち込み、キリルは書類の確認を恐ろしいスピードでこなしていく。
 二人は同時に手を止め、そして我先にと会長のもとへ走る。

「会長! 終わりました! 次は何をすればいいでしょうか!?」

「会長! 俺も終わって手が空いてます! 仕事ならコイツじゃなく俺に任せて下さい!」

「会長! 私の方が完璧に仕事を終わらせることができます!」

「会長! 俺の方が早く丁寧に仕事をこなせます!」

「会長! 私が!」

「会長! 俺が!」

 身を乗り出しアピールしてくる二人に、生徒会長は嘆息を漏らす。

「君達は二人とも仕事が早くて完璧なんだけどね……。こちらとしては、もう少し仲良くしてくれたら有り難いかなぁ……」

「それは無理です」

 二人の声がハモった。
 息の合った即答に、会長はやれやれと肩を竦める。

「せめてもう少しでいいから、なんとかならないものかね……」

「それはコイツに言って下さい。コイツが俺を目の敵にしてくるから、俺は仕方なくそれに付き合っているだけですから」

「会長、この男の言うことなど真に受けないで下さい。この男の方が私に何かと突っ掛かってくるんです」

「いや、君達どっちもどっちだから……」

 会長は深い深い溜め息を吐き出した。
 こんなやり取りなど日常茶飯事なので、既に慣れてしまった他の生徒会の面々は気にせず各々の仕事を黙々とこなしていた。





 生徒会の役員達が仕事を終える頃には、学園内に残っている生徒は殆どいなくなっていた。
 生徒会メンバーがそれぞれ帰っていくなか、レイラは適当に時間を潰し彼らがいなくなるのを待った。
 一人になり、レイラは静まり返る廊下を目的地に向かって進む。
 辿り着いた教室の前で足を止め、キョロキョロと辺りを見回し誰もいないことを確認する。それからそっとドアを開け、中にも人がいないかくまなく目を走らせた。
 ドアの隙間から体を滑り込ませるように無人の教室に入り、しっかりドアを閉める。
 真っ直ぐ向かった先は、キリルの席だ。彼とはクラスが違うが、前もって調べておいた。
 頬を染め、緊張の面持ちで彼の席を見つめる。
 ドキドキと心臓を高鳴らせながら、レイラは彼の席に座った。

(っきゃー♡ ついにやっちゃった!! 一度やってみたかった、好きな人の席に座るやつ!!)

 心の中で歓喜の叫び声を上げ、羞恥に身をくねらせる。
 何を隠そう、レイラはキリルが好きなのだ。もうずっと彼に恋をしている。
 それなのに何故彼にあんな態度を取っているのか。
 それは、レイラの父親とキリルの父親の仲が壊滅的に悪いからだ。同い年で家が近所で幼い頃から同じ学校に通っていた二人は、とことん馬が合わなかったらしい。どんどん相手のなすこと全てが癪に障るようになり、アイツにだけは負けたくないとライバル視し、お互い様々なことで競い合ってきたのだという。
 テストの点数など諸々の勝負の結果はほぼ引き分けで終わり、明確な勝ち負けもなく卒業しそれぞれ別の道へ進む。互いに相手に勝てずに終わった。そのことが余計に勝ちへの執着へと繋がり、その意志を自分の子供へ継がせようとした。
 幸か不幸か運命の巡り合わせか、彼らの子供は同じ年に産まれた。
 そして物心ついた頃からレイラは父に言われ続けたのだ。アイツの息子にだけは負けるな、と。レイラはそう刷り込まれて育てられた。
 そのため、レイラは彼のことを決して負けてはいけない相手として見てきた。同じ学園に入学し、幼等部の頃からずっと。
 しかし、レイラは気づけば彼に恋をしていた。何せ別にレイラは彼に恨みがあるわけでもない。父親に言われたからライバル視していただけで、個人的に彼に何かをされたわけでもないのだ。
 キリッとした男らしい顔立ちは文句なくカッコいいし、ちょっと目付きが悪いけれどその鋭い双眸が素敵なのだ。彼と目が合うだけできゅんっと胸が締め付けられる。体つきはスラリとしていて、一見細身だけれどしっかり鍛えられて筋肉がついている。
自分の意志をはっきり口にできるところも、どんな小さな事にも手を抜かないところも、きちんと周りを見て気遣えるところも好きだ。近くで見てきたレイラだからこそ、彼がどれだけ素晴らしい人間か知っている。
 しかし恋に気づいた時にはもう、顔を合わせれば悪態をつくというのが体に染み付いてしまっていた。彼に勝たなくてはならない理由なんてレイラにはないのに、彼に負けてはいけないという考えがすっかり当たり前のことになっていた。
 だから今でも努力に努力を重ね成績をキープし、キリルと競い合い憎まれ口を叩き合う。
 もちろん好きだなんて告白はできなかった。こんな状況で告白しても信じてもらえないだろうし、信じてもらえたとしてもきっと気味悪がられて終わるだけだ。
 だからレイラは自分の気持ちをひた隠し、絶対に態度には出さず過ごしている。
 けれどやはりレイラも恋する乙女。好きな人の席に座ってみたいという願望を抱き、こうしてこっそり実行したわけだった。

(ああーん、キリルが毎日座ってる椅子に私も座っちゃってる♡ 恥ずかしいけど嬉しいー♡ キリルは毎日ここで授業受けてるのね♡ 同じクラスだったら授業受けてる時のキリルをじっくり観察できたのに……)

 愛しいものに触れるように、彼の机を掌で撫でる。
 ドキドキしながら、そっと机に顔を寄せる。ピタリと頬をくっつけて、うっとりと目を細めた。感嘆の溜め息を漏らし、頬擦りする。

(ああ、私、キリルの机にすりすりしちゃってる……♡)

 興奮に息を乱し頬を紅潮させ、レイラはキリルの姿を思い浮かべる。

(あああ、カッコいい、素敵、キリルキリルキリルキリル……♡)

「…………好き」

 思いが溢れ、ぽろりと小さく本心が口から零れた。
 その時。

「おいっ」

「!!」

 突然聞こえた声に、レイラは心臓が飛び出すほど驚いた。
 体を起こし顔を向けると、いつの間にか傍らにキリルが立っていた。
 彼は射殺さんばかりの鋭い双眸でギリギリとこちらを睨んでいる。

「お前、何やってんだよ……」

 怒りの滲む低い声音に、レイラはだらだらと冷や汗を流し身を竦める。

「そこ、誰の席だかわかってんのか?」

 ヤバいまずいどうしよう……とレイラの頭はパニックになる。
 いつから見られていたのか。あの呟きを聞かれてしまったのか。レイラの気持ちがバレてしまったのか。
 必死に言い訳を考えるけれど、何も思い付かない。この状況で、言い訳など思い付くはずもない。それでも懸命に、言うべき言葉を絞り出そうとする。
 そんなレイラにキリルが言った。

「チモフェイの席だってわかってんのかよ!?」

(………………へ?)

 チモ……フェイ?
 一瞬頭が真っ白になる。
 混乱しつつ自分の座っている席を確認し、そして気づいた。

(座る席間違えた────!!)

 キリルの席はもう一つ後ろだ。
 彼の前の席、レイラが今座っているのはチモフェイという生徒の席だ。彼も彼で学園内の有名人だ。
 丸々と太った巨漢なのでいるだけで目立つが、彼が有名なのはそれが理由ではない。
 女子更衣室覗き未遂三回、女子更衣室盗撮未遂四回、女子の縦笛窃盗未遂二回、女子の体操服窃盗未遂三回等々、クズの所業を繰り返し停学を食らい続けている最低な生徒なのだ。女子人気ぶっちぎりのワーストワン。退学させてほしいと訴える女子生徒は後を絶たない。
 レイラが今座っているのは、そんなクズの席だった。
 心の中で絶叫するレイラだが、それをおくびにも出さず、すんと澄ました顔でキリルを見据える。

「そんなのわかってるわよ。当たり前でしょ」

 完全にわかっていなかったくせに平然と嘘をつく。
 キリルは信じられないという表情でレイラを睨めつける。

「お前、まさかアイツのことが好きだなんて言わねーよな!?」

「だったらなんなの? あなたに関係ないでしょ」

 チモフェイの事など一ミリも好きではないが、キリルの席と間違えて座ってしまったなどと言えるはずもない。
 キリルに気持ちがバレてしまえば、レイラはフラれるだけだ。隠れてキリルの席に座ろうとしていたなんて知られれば、気持ち悪いとか、二度と俺に近づくなとか言われてしまうかもしれない。チモフェイが全女生徒から向けられている、ゴミを見るような目で見られてしまうかもしれない。
 レイラは嘘をつき通す覚悟を決める。

「関係ない、だと……?」

 キリルはわなわなと肩を震わせる。握り締めた掌にギリギリと爪が食い込むけれど、痛みなど感じなくなるほど怒りで頭が沸騰していた。
 何故彼がこんなにも憤っているのか。
 キリルもレイラの事が好きなのだ。
 キリルも彼女と同じように、父親にレイラへの闘争心を刷り込まれて育てられてきた。
 しかしキリルは、一目見た瞬間から彼女に恋に落ちていた。
 くりくりの輝く瞳に、ふわふわの柔らかい髪、ぷにぷにのほっぺ、ぷるぷるの唇、甘やかな声、花のような芳しい香り。
 彼女の全てに心を奪われたが、父親にアイツの子供にだけは負けるなと言われ続けてきた事と、元々素直になれない好きな子にはわざと冷たく振る舞ってしまうタイプだったキリルは、心とは裏腹に彼女の前では嫌味や好意と真逆の事しか口にできない。
 そんなキリルに、当然レイラも冷たい態度をとる。しかし、それでもキリルの彼女への思いは強くなる一方だった。
 父親に言われたからではなく、彼女に相手にされたくて努力を重ねてきた。一度でも負けたら、もう彼女は自分に見向きもしなくなるのではないかと怖かった。だからテストでは常に満点を取り続けた。
 レイラが好きで好きで、けれど素直になれない性分であるのと普段の自分の彼女に対する態度を考えれば告白なんてできなかった。気持ちを知られれば彼女が離れていってしまうのではと考えると怖くて、好きだという思いを必死に隠してきた。
 その反面、彼女への気持ちを消し去ることもできないキリルはストーカーまがいの行為を繰り返していた。
 彼女の後をこっそりつけ回し、彼女が誰と話しているのか誰と親しいのか彼女に関わる人間をチェックするのがキリルの日課となっていた。
 今日も当然のようにストーカーしていたら、レイラは何故かキリルのクラスに入っていった。何をするのかと息を潜め見ていたら、彼女はよりによってチモフェイの席に座ったのだ。
 嫌な予感に目の前が真っ暗になった。まさかそんなはずはないと、必死に沸き上がる考えを打ち消しそろそろと彼女に近づいた。
 しかしその予感を裏付けるように、あろうことかレイラはチモフェイの机に頬擦りしはじめた。
 そしてとどめの一言。

『…………好き』

 ぐわん、と頭を強く殴られたような衝撃を受けた。
 そしてキリルは無意識に声を上げていたのだ。
 もう他の事など考えられなくなっていた。ただ目の前の現実を受け入れられず否定してほしくて詰め寄れば、関係ないと両断され。
 関係ないわけがない。出会った時に一目惚れし、幼等部の頃から彼女が好きなのだ。彼女を思う気持ちは誰にも負けていない。少なくともチモフェイなんてクズとは比べることもできないほどに、彼女を一途に思い続けてきた。告白こそできずにいたが、けれど彼女を誰かに譲る気もさらさらなかった。だからこそ彼女をつけ回し交友関係を常に監視し続けてきたのだ。
 それなのに。
 レイラとチモフェイの繋がりなどまるでなかった。彼女がチモフェイを好きだなんて、そんな素振りは全くなかったというのに。
 前の席に座るチモフェイの姿が脳裏に浮かび、沸々と怒りが込み上げてくる。怒りを通り越しはっきりと殺意を抱いていた。
 あんな男に取られてたまるか。他の誰かに彼女を奪われるくらいなら──。
 キリルは完全に頭に血が上っていた。

「お前どんだけ男の趣味わりーんだよ!!」

「はあ? チモフェイの良さをわからないあなたの方がおかしいんじゃないの?」

 レイラもレイラで後には引けない状況に陥ってしまっていた。口が勝手に売り言葉に買い言葉で返してしまうのだ。

「っ、そんなに、好きなのかよ……あんなクズみたいな男が……っ」

「だから、あなたには関係ないって言ってるでしょ。私が誰を好きになろうが、誰とどうなろうが。私とあなたには何の関わりもないんだから」

 レイラは自分の言葉にグサリと傷つき、けれどキリルも傷つけていたことには気づかなかった。
 そして遂にキリルはキレた。

「関わりがない? 俺が、どれだけお前のこと……っ」

「え……?」

 キリルの声は小さくて聞き取れなかった。
 突然強く腕を引っ張られ、驚きに反応できずにいると机に押し倒された。

「きゃっ……! な、なにっ……!?」

 困惑するレイラを、光を失い暗く翳ったキリルの双眸が見下ろす。

「あんな男に取られるくらいなら、今ここで、無理やりにでも俺のものにしてやる……!」

「え? あっ、んん……っ!?」

 言われた言葉の意味も、何もわからないまま噛みつくように口付けられた。

(ええ!? 私、キリルにキスされてる!? なんで!? わかんないけどラッキー♡)

 と、心の中では歓喜していたが、レイラは腕を突っ張って抵抗するフリをする。

「んゃっ、んっ、や、やめっ、ぁんんっ♡」

 形ばかりの抵抗を押さえつけ、キリルはレイラの唇を貪った。唇をはむはむと食み舌でたっぷりと味わい、それから口の中へと舌を挿入する。
 レイラは彼の舌に口腔内を蹂躙される悦びにうっとりしつつ、形だけは抵抗を続けた。全く力の入っていない手で彼の肩を押しながら、流れ込んでくる彼の唾液を嬉々として飲み込む。舌を引き出され甘噛みされ、じゅるじゅると音を立てて吸い上げられる。
 はじめてのキスは濃厚で激しく、レイラは喜びと快楽にくらくらした。
 嫌がるフリをしながら、もっとしてほしいと渇望する。

「んっ、やっ、やぁっ♡ んっんんんっ♡ やめっんっ、やめて、はんんっ♡」

(はぁん♡ キリルの舌美味しい♡ もっともっとちゅーしたいぃ♡)

 頭の中はすっかりキリルに甘えているが、唇を離されればキッと彼を睨み付ける。

「何するのよっ……! いきなりこんなことして、冗談じゃ済まされないわよ……っ」

「心配しなくても、冗談で済ませる気なんかねーよ」

「きゃぁ……!?」

 制服を捲り上げられ驚きに小さく悲鳴を上げるけれど、レイラは抵抗する気はまるでなかった。
 どうしてこんなことをされているのか理由はさっぱりわからなかったが、拒絶するなんてもったいない。キリルになら襲われても構わない。寧ろいつでもウェルカムだ。

(やだぁ♡ こんなことなら今日はもっと可愛い下着にすればよかった……!)

「やめてっ、何するのよ、ばかっ、変態っ……♡」

 口は勝手に非難の言葉を吐き出すが、心ではすっかり彼に身を捧げていた。期待にぞくぞくと肌が粟立ち、好きにしてとばかりに瞳は蕩けている。

「何とでも言えよ。何を言われたって、もうやめる気はねーんだよ……っ」

「ひゃんっ♡」

 下着をずり上げられ、胸の膨らみが露になった。
 ぷるりと揺れる乳房に、キリルの視線が釘付けになる。

「ぃやっ♡ 見ないでよっ……♡」

(ああ、キリルにおっぱい見られちゃってるぅ♡ しかもあんなに熱い目で……♡)

 視線だけで感じてしまい、はしたなくも乳首がぷくりと勃ってしまう。
 それを見て、キリルの息が荒くなる。

(やぁん……♡ そんな興奮した顔されたら、おまんこも濡れちゃうぅ……♡)

 脚の間からじわりと蜜が滲んで下着を濡らす。
 心も体もきゅんきゅんしていたが、口だけが拒絶の言葉を吐き続けた。

「何考えてるのよっ、やめてっ、離しなさいってば……♡」

 声にも隠しきれない悦びが滲んでいたけれど、キリルは気づかない。
 彼女に拒まれているのだと、そう勘違いしながらも手を伸ばす。今更止めるつもりはなかった。
 キリルの掌が柔らかな膨らみを包み、揉み込む。

(あぁん♡ キリルにおっぱい揉まれてるぅ♡)

「やっ♡ 触らないで、離してよっ……♡ いやぁっ♡」

「乳首ビンビンにおっ勃ててるくせに、何言ってんだよ……っ」

「んゃぁああっ♡」

 きゅうっと突起を摘ままれ、甘い悲鳴が上がる。

(あんっ♡ どうしよう、キリルに淫乱だと思われちゃう。そんなのやなのに、体が悦んじゃうの止められない♡)

「いやっ♡ やめてっ♡ ばかぁっ♡ へんたいぃっ♡ あっあぁんっ♡」

「その変態に乳首コリコリされて、そんな甘い声上げてんのかよ。誰に触られてもこんな風に乳首勃起させんのか?」

「そんなわけっ、ない、でしょっ♡ 甘い声なんて、上げてないっ♡ チモフェイに触られた方が気持ちい、っきゃぅぅぅんっ♡」

 チモフェイの名前を出されカッとなったキリルはレイラの胸にしゃぶりつく。音を立てて激しく吸い付き、やんわりと歯を食い込ませ、舌で乳首を転がし舐めしゃぶる。

「んひゃっぁうんっ♡ や、やめぇっ♡ そんな、あっあっ、やあぁっ♡ 離して、やめなさいってばぁっ♡」

(あんっ♡ きもちいぃっ♡ キリルにおっぱいちゅぱちゅぱされるのきもちいいぃっ♡ ひあっ♡ 指でくにくにされるのも好きぃぃ♡ 噛まれるのも舐められるのも全部気持ちいい♡)

 両方の乳首を舌で歯で唇で指で爪で執拗に嬲られる。そこは濃い赤に染まり、硬く尖ってじんじんと熱を持つ。
 すっかり敏感になった突起は、少し撫でられただけで強い快感をもたらした。

「はぁぅんっ♡」

「はっ、もう、少し触っただけであんあん言ってんじゃねーか」

「言ってない、わよっ♡ あなたに触られたって、気持ちよくなんか、ないんだからっ……♡」

「さっきから腰へこへこさせてるくせに、よく言えるな」

「あっ、やめ……っ♡」



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