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16 文化祭一日目 (上原)
しおりを挟む文化祭がはじまった。
真のクラスの出し物はカフェだ。
クラスに着ぐるみを用意できる生徒がいて、それを着て歩けば注目されるからいい宣伝になるだろうと着ぐるみを着て宣伝する係を作ったが誰もやりたがらず、クラス全員でじゃんけんを行い負けた真は着ぐるみを着て看板を持ち校内を歩き回って宣伝する係になった。
更衣室として利用している教室で用意されたウサギの着ぐるみに着替え、手作りの看板を掲げチラシの入った籠を持ち、真は人で賑わう校内を歩き回った。
目論見通り歩いているだけで目立ち、宣伝としての効果は充分期待できそうだ。籠に入れていたチラシは順調に減っていった。
暑くて重くて動きにくくて暑くて視界も悪くて暑くてただ歩くだけでかなりの体力を消耗するので、この苦労が報われているのならよかったと真は心から思った。
とにかく歩きまくり、愛想を振り撒き続けていたとき、後ろから声をかけられた。
「真、そろそろ休憩の時間だぞ」
そう教えてくれたのは上原だった。
上原に手を引かれ、更衣室へと戻る。
因みに上原もじゃんけんに負けたので着ぐるみ係だ。真と交代する形で今度は彼が着ぐるみ姿で校内を回ることになっている。
上原が着ぐるみ係に決まったとき、大多数の女子から反対の声が上がった。上原はウェイターの方が需要がある。着ぐるみなんてもったいない。ウェイターとして教室に残っていた方が客が集まる、と。
しかし当の本人が、自分がじゃんけんに負けたのだから自分がやるべきだ、と着ぐるみを選んだのだ。
それで女子から惜しまれながらも彼も真と同じく着ぐるみ係となった。
更衣室につき、中に入ると上原が着ぐるみの頭部を外してくれた。そのまま、着ぐるみを脱ぐのを手伝ってくれる。
「ほら、これを飲め」
「ありがとう」
スポーツ飲料の入ったペットボトルを手渡され、真はごくごくとそれを喉に流し込む。
その間に、頭に巻いていたタオルも上原が外してくれた。
着るときも、こうして上原に手伝ってもらったのだ。もちろん彼の着替えは真が手伝うつもりだ。
「はあ……」
ペットボトルから口を離し、ほっと息をつく。
「大変だったな。お疲れ」
「うん。上原くんもこの後頑張ってね」
上原は今度は濡れたタオルで頭をわしわしと拭いてくれる。ひんやりとして気持ちいいが、擽ったくて肩を竦めた。
「着ぐるみで歩いてみてどうだった?」
「とにかく暑かったよ。転ばないように、ゆっくり歩くだけで大変だった」
これから同じように着ぐるみで歩き回る上原に、真が経験し感じたことを細かく教える。
聞いている間も、上原は優しく真の頭をタオルで掻き混ぜていた。
「まだ赤いな」
報告を終え、話が途切れたところで上原が真の頬を撫でた。
なかなか熱は引かず、顔は火照ったまま、赤らんでいるだろうことは真にもわかった。
上原が、じーっと真を凝視する。
「う、上原くん……?」
「可愛い」
「えっ……」
「赤くて、美味そうだ」
「ええっ!?」
上原の顔が近づいてきた、と思ったら、はむりと頬を甘噛みされた。
「ひゃあっ」
「ん、あったかくて柔らかい」
「ちょ、だ、だめっ」
感触を楽しむように頬をはむはむされ、真は焦った。
しかし真の制止の言葉は無視され、上原は構わず真の頬や顎を甘噛みし続ける。
「可愛い。もっと食べたい」
「ひぁんっ」
ぺろりと首筋を舐め上げられ、甲高い声が口から漏れてしまう。
「だだだだだだめだめだめだめ! 汗かいてるから! 汚いからだめ!」
べったりと衣服が肌に張り付くほど汗をかいたのだ。もう汗は引いたとはいえ、シャワーで流したわけでもない。
真は懸命に抵抗するが、力でも体格でも上原には負けていて、彼の腕の中でもがくだけで精一杯だ。
そんな真を、上原はぎゅうっと抱き締める。
「やっ、上原くんっ、お願い、離して! 汚いから!」
「汚くない。汚いなんて思わない」
「汚いよ。汗いっぱいかいたもん……」
恥ずかしくて、抵抗しても全然歯が立たないのが情けなくて、真の目にじわりと涙が浮かぶ。
涙で濡れる目尻に、ちゅっと上原の唇が押し当てられる。
「可愛い」
「可愛くないよ」
拗ねた口調で反論すれば、上原は微苦笑を浮かべた。
あまり見られない上原の笑顔に真は弱い。無条件に言うことを聞きたくなる。
「悪い。真に嫌われたくないって思うのに、恥ずかしがってる真が可愛くて意地悪したくなる」
「う、上原くんのこと、嫌いになんてならないよ……」
きっとなにをされても、嫌いになることなどないだろう。
「嫌われるなら、僕の方だ……」
真はぽつりと呟いた。
真の方が彼に酷いことをしている。
自分の意思ではないけれど、魅了を使って彼を誘惑して、セックスしてもらっているのだ。
真を可愛いと言うのも、嫌われたくないという感情も、全て魅了にかかっているせいだろう。彼の本心ではない。
上原だけではなく、今井も、佐野も。真が魅了を使ってセックスさせているのだ。
そして真はその事実を彼らに黙っている。
もし知られれば、確実に嫌われる。
嫌われ、そしてもう二度と話すこともできなくなるだろう。
真は三人に嫌われるのが怖かった。全く関わりのなかった彼らと、仲良くなれたことが今はとても嬉しくて、この関係が壊れてしまうのが堪らなく怖かった。
真実を知らない上原は、不思議そうに首を傾げる。
「どうしてそうなるんだ?」
「それ、は……」
「俺が真を嫌いになるなんて、それこそあり得ない」
上原はきっぱりと断言するが、その言葉こそあり得ないのだと真は知っている。
でも本当のことは言えなくて、ぐっと唇を噛み締めれば、宥めるように優しくキスをされた。
「んっ……」
甘やかすように啄まれ、固く引き結んでいた唇がほどけていく。
こんな風に甘えてしまうのはズルいとわかっているのに、真は現実から逃げ、上原に縋った。
「ンぁ……ふっ……んんっ」
差し込まれた舌に、口の中をねぶられる。
口腔内を掻き回される快感と、脳髄をとろかすような甘い香りに、真はうっとりと目を閉じた。
「ンッ、はっ、ぁっ、んっんっ」
いつしか真は夢中で上原のキスに応えていた。彼の舌にちゅうちゅうと吸い付き、自分の舌を擦り付け、絡ませる。甘い唾液を啜り、味わい、陶然となった。罪悪感は理性と共に溶けていく。
「はっぁンっ、うえはら、く、んっ」
「気持ちよさそうな顔、可愛いな」
「んっんんっ、きす、きもちぃっ、もっと……」
ここが校内だということも頭からすっかり抜け落ち、甘い口づけに酔いしれる。
キスをしながら、上原は真の服の中に手を侵入させた。
つう……と背筋を撫で上げられ、ぞくぞくっと快感が駆け抜ける。
汗ばんだ肌に、上原のひんやりとした掌の感触が気持ちよかった。
「ひっ、あっあっ、ふっ、ンンッ」
するりと脇腹を指で辿られ、嬌声が上がる。
キスで呼吸を乱し、陶酔したような状態になっている真を上原はひょいと抱き上げた。そして机の上に座らせる。
「真、自分で持って」
上原は真の服を捲り上げ、裾を自分で持っているように指示を出す。
恥ずかしいのに、体は自然と彼の言葉に従い、服の裾を持って胸元を晒した。
まだ触られてもいないのに乳首は刺激を求めてぷくりと膨らんでいて、それを見た真は羞恥に泣きそうになる。堪らなく恥ずかしいくせに、愛撫を期待して乳首が疼いた。
そしてそれを、上原に知られてしまっていることがなにより恥ずかしい。
まっすぐにこちらに向けられる彼の熱を孕んだ視線に、真はぞくりと体を震わせた。
上原は薄く笑みを浮かべ、真に手を伸ばす。
「可愛いな、もうこんなに固くなってる」
「ひんっ」
指で軽く擦られただけで、大袈裟に肩が跳ねた。
ぺニスがじん……と熱を持ち、真は無意識に太股を擦り合わせる。
「俺に触られたくて、こんなにしたのか?」
「んあぁんっ」
きゅうっと摘ままれ、そのままこりゅこりゅと捻られる。鋭い快感に背中が仰け反った。
「あっひぅんっ、きもちいぃっ」
「可愛い、もっと気持ちよくしてやりたい」
熱っぽく囁いて、上原は真の胸に顔を近づける。
「ひぁんんんっ」
つんと尖った乳首を押し潰すように舐め上げられ、真は喉を反らして嬌声を上げた。
「んゃぁあっ、汗、かいてるって、言ってるのにぃっ、舐めたら、ぁあっあっあぁんっ」
快楽に思考を支配されつつある状態では、抵抗する気持ちも薄れていた。
乳輪に柔らかく歯を立てられ、突き出した乳首を舌先でぴんぴんと弾かれ、真はただ快感に喘ぐことしかできなくなっていく。
「ひはっあっひンンッ、きもちいっ、ちくび、上原くんに弄られるの、きもちいいよぉっ」
真のよがり声に煽られるように、上原の愛撫は激しくなる。
音を立てて乳首を吸い上げ、もう片方は指で捏ねくり回す。
刺激されるたびにびくんびくんと真の腰が跳ねた。ぺニスはもうズボンの上からわかるくらいに膨らみ、後孔も疼いてじわりと蜜を漏らしている。
「あっんっ、上原く、お願いぃ、ちくび、だけじゃなくて、した、下も、弄ってぇっ」
我慢できずにねだってしまう。
口にしてから、自分のはしたなさに泣きたくなる。
「ふっ……ご、ごめんなさ……っ」
胸から顔を離した上原に、咄嗟に謝っていた。
「なんで謝るんだ?」
「……って、僕、はしたない、こと、言って……」
「いくらでも言っていいぞ。真のおねだりなら寧ろもっと聞きたい」
上原は真面目な顔でそう言って、真の頭を優しく撫でた。
上原は真に甘過ぎる。だから真はなにも考えず彼に甘えてしまいたくなるのだ。
真は机から下ろされ、体を反転させられた。上原に促され、突っ伏すように机に上半身を預ける体勢になる。
背後に立つ上原が、真のズボンと下着をずり下ろした。
「はっぁんっ、上原く……っ」
下半身を剥き出しにされ、真は心許なさと快感への期待にふるりと体を震わせた。
首を捻って顔を横へ向けると、情欲を浮かべた上原の双眸がこちらをじっと見下ろしていた。
「今、こっちも可愛がってやるからな」
「ふぅんっ」
むにゅっと臀部を大きな掌に揉まれ、無意識に催促するように尻を揺する。
上原の指が、とろりと蜜を漏らすアナルに触れた。そのまま、くぷりと指を埋め込まれる。
「ンぁあっ」
「中、熱くてとろとろだな」
「あっあっあっひっ、んっんっ、アッ」
「俺の指、美味そうに締め付けて……弄られて嬉しいんだな」
「うんっ、んっあっあっ、指、上原くんの指で、ぐちゅぐちゅされて、うれしいっ、んあっあっひンッ」
「可愛い」
うっとりと呟いて、上原は真のぺニスにも手を伸ばす。
片手で後孔を穿り、もう片方の手でぺニスを擦った。前と後ろ両方から、ぬちゅぬちゅと濡れた卑猥な音が響く。
「ひあっあっひっひうっ、んっ、おちんち、とお尻、一緒に気持ちよくされたらぁっ、あっあっ、いっちゃ、あっ、すぐいっちゃうぅっ」
「いいぞ、イッてるときの可愛い真が見たいから」
「はあぁあンッ、んひぁっあっあんっ」
上原は的確に真の感じる箇所を重点的に刺激してくる。
ぐりゅぐりゅと前立腺を二本の指で擦り上げ、ぺニスの先端を指の腹で撫で回す。
全身が蕩けるような愛撫を施され、真は耐える間もなく絶頂へと駆け上がった。
「はひっひっあっ、いくっいくっ、いっ、~~~~~~っ」
がくがくと太股を痙攣させ、机にしがみつきながら真は射精した。
けれど真の体はそれでは満足できない。
上原の指を咥え込む後孔が、ぎゅうぅっとうねって物足りないと訴えている。
「はっ、んっ……上原くぅん……っ」
とろりと濡れた瞳を上原に向ければ、彼はごくりと喉を鳴らし、中に埋め込んだ指を引き抜いた。
媚びるようにひくひくと収縮する後孔に、硬い熱塊が押し付けられる。腰が勝手に動いて、早くとせがみそれを飲み込もうとする。
「っ……可愛い、真」
「んっ、上原く……っ」
「言葉でも欲しがって」
真が自分から埋め込めないように腰を押さえ、上原が言ってくる。
躊躇いは一瞬で、真はすぐに言葉でも彼にねだった。
「ほし……上原くんの、お願い、入れてぇっ」
「っは……可愛い……っ」
「んっはっあっ、んっ、──────ッ」
ごりゅごりゅごりゅっと、めり込んでくる肉棒に腸壁を擦られる。あられもない悲鳴を上げそうになり、真は慌てて口を塞いだ。
太い楔が肉筒をぎちぎちに押し広げ、奥へと埋め込まれていく。直腸を上原の熱でいっぱいに満たされ、真は恍惚とした表情を浮かべた。
頭から爪先まで痺れるほど気持ちよくて、とめどなく蜜が分泌し、どろどろに蕩けた肉襞が、上原の剛直を嬉しそうに締め付ける。
「くっ……はあっ……真の中、すごく気持ちいい」
「んっあっあっ、うれしっ、ひっあっあっ、僕も、上原くんのおちんちん、奥まで、いっぱいできもちいぃっ」
「可愛い……一緒に気持ちよくなろうな」
「ぅんっ、んっ、上原く、と、いっしょに、きもちよくなりたいぃっ、んっあっあっあぁっあっ」
ずちゅっずちゅっと肉棒に内部を擦り上げられ、真は込み上げる悦楽にぶるぶると全身を震わせた。
突き上げに合わせ揺れる真のぺニスは、もう触られていないのに勝手に勃ち上がり、再び先走りを漏らしはじめている。
上原は机と真の胸の間に手を差し入れ、乳首をカリカリと優しく引っ掻く。先程たくさん吸われて敏感になった乳首をくにくにと弄り回され、真は快感に身悶えた。
「ひはぁあんっ、あっあんっ、きもちいっ」
「はあっ……顔とろとろで可愛いな、真」
気持ちいいけれど、上原の動きに激しさはなく、真を気遣うように緩やかだ。
実際、彼は真の体を気遣っているのだろう。
そんな必要はないと伝えたくて、真は彼の方へ顔を向ける。
「あっあっ、上原くっンンッ、もっと、奥、ずんずんしてぇっ?」
「っ……真」
真の言葉に上原は僅かに目を瞠り、彼の欲望は更に膨らみを増した。
「奥、おくぅっ、ごちゅごちゅって、して、お願いぃっ、んあっあっ、いっぱい、突いて、上原くぅっンッはっあっあっ、して、お願い、上原くぅんっ」
「ッ真……!」
「んひっ、っ、──────っ!!」
強く腰を掴まれ、ごちゅんっと激しく最奥を突き上げられる。
上原は容赦なく腸壁を擦り上げ、胎内を抉るように抽挿を繰り返した。
強烈な快感に真は目を見開き、唇の端から涎を垂らしながら嬌声を上げる。
「ンあっあっひっはっ、うえはらくっ、んっんひっひっはうっ、きもちぃっ、うえはらくっ、おく、いっぱい、ひっひあっ、おくまでじゅぽじゅぽ、きもちいぃいっ」
「っは、可愛い、真、真、可愛いっ」
激しい律動に、真のぺニスも先程よりぶるぶるとその身を震わせ、鈴口から滴る先走りが床に飛び散る。
「はひっうっあっあっ、いくっいっちゃ、あっあっあっ、っ~~~~~~!」
ぐぽぐぽと内奥を貫かれ、真は射精を伴わず絶頂を迎えた。
痙攣する肉筒を、上原の陰茎が何度も擦り奥を突き上げる。
頭がおかしくなりそうなほどの快感を断続的に与えられ、真はただ身をくねらせ快楽に溺れた。
「ひぁあっあっひっひっひうぅっ、いくっいくっ、あっおちんちんもいくっまたいくぅっ」
「はっ、俺も、もう出る……っ」
ぶわっと、濃厚な精気の甘い香りが立ち上がる。
その匂いにくらくらしながら、最奥を一際強く突かれ真は射精した。
少しの間を置き、胎内で上原の欲望も弾けた。
どろりと、濃くて甘美な精気に全身が満たされていく。
真はうっとりとそれを味わった。
それから、上原は真の体をタオルで綺麗に拭いてくれた。制服に着替えさせてもくれた。
「疲れてるのに、無理させて悪かった」
真の頭を撫でながら、上原は申し訳なさそうに謝った。
精気を食べさせてもらったので寧ろ真の体力はそのお陰で回復したのだが、本当のことは言えない。けれど、上原に悪いなんて思ってほしくなかった。真を抱いたのだって、きっと真がまた無意識に魅了の力を使ってしまったせいなのだから。いつ、どのタイミングで魅了が発動してしまったのかはわからないけれど。
「ううん、お願いだから謝らないで、僕、嬉しかったから……上原くんに、し、してもらうの、嬉しいから……僕が上原くんにしてほしいって思ったから……だから、謝らないで」
事実を説明することはできず、しかしどう伝えればいいのか自分でもわからないまま、必死に言葉を連ねる。
じっと真を見下ろしていた上原は、ぎゅうっと真を抱き締めた。
「可愛い」
「んっ……」
「真にそう言ってもらえて、俺も嬉しい」
上原の唇に笑みが浮かび、真はほっと胸を撫で下ろした。
真も微笑み返せば、上原は真の額に唇を一つ落とした。
真は照れ臭さを誤魔化すように話を振る。
「う、上原くんの方こそ、大丈夫……?」
「うん?」
「こ、これから、着ぐるみ着て歩き回らなきゃならないのに、疲れてない?」
「ああ、大丈夫だ。可愛い真のお陰でやる気に満ち溢れてるから」
上原はいつも冗談のようなことを真面目な顔で言うので反応に困る。
「そ、そう? じゃあ着替えようか」
「そうだな」
上原は着替えをはじめ、真がそれを手伝った。
真はウサギだったが、上原はクマの着ぐるみだ。
着替えを終え、ぐるりと回って見せる。
「どうだ? 変なところはないか?」
「うん、大丈夫だよ」
上原に看板とチラシの入った籠を持たせる。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい、気を付けてね。時間になったら迎えに行くから」
ドアを開け、出ていく上原を見送った。
真はとりあえず自分のクラスの様子を見に行くことにした。真の当日の仕事は着ぐるみで宣伝するだけで終わりなのだが、クラスで人手が足りていなかったら手伝おうと考えていた。なにせすっかり体力は回復したので、問題なく動ける。
それもこれも全て上原のお陰だ。
上原に心から感謝しつつ、真は自分のクラスへと向かった。
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読んでくださってありがとうございます。
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