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嘘をついたら彼女にされた 4
しおりを挟む文化祭の季節がやってきた。
海斗の通う学校では、現在文化祭の準備の真っ最中だ。授業はなく、各クラスが準備に追われていた。学校全体が浮かれた空気に包まれている。
海斗のクラスはカフェをやることになった。海斗は客引きのため、強制的にウェイターにさせられた。
「海斗~、採寸させて」
クラスの女子が、メジャー片手に近づいてくる。
海斗はにっこり笑って、メジャーを持つ彼女の手を握った。彼女の頬がほんのりと赤く染まる。
「自分で測るから、メジャー貸してくれる?」
「え……?」
「どこ測ればいいのか、その紙に書いてあるんだよね?」
女子が持っていた紙をするりと手から抜き取る。紙には海斗の名前と、サイズを測る箇所が書き込まれていた。
「え? あたしが測るよ? てか自分じゃ測れないでしょ」
「じゃあ男子は男子でまとめて測るよ。俺が声かけて集めるから、全員分の紙もらえる? いっぺんに採寸した方が、一人一人採寸して回るよりいいよね?」
と、適当なことを言って、彼女の手からメジャーを取り上げた。
昼休み。海斗は校内の隅にある空き教室にいた。
スマホを弄りながら時間を潰していると、ゆっくりとドアが開けられた。現れた鈴音が、こそこそと中に体を滑り込ませる。
「あ、すずちゃんジャージだ。可愛いね」
ジャージ姿の鈴音を見るのははじめてだった。同じ学校に通い学年も同じだが、クラスが離れていれば見る機会もない。ジャージ姿は新鮮だった。
自然と腕を伸ばし、鈴音を抱き締める。鈴音は体を強張らせた。
「ちょ、ちょ、江崎くんっ」
「んー?」
「は、離して、ください……」
顔を赤くして、無理やり引き剥がすこともできず困惑する鈴音の姿にうずうずする。いじめたくなるのだ。今までそんな感情を抱いたことはないのだが、鈴音が相手だと無性にいじめて困らせて追い詰めたいという衝動に駆られる。
「やだ、離したくない」
「え、江崎くん、なにか用があって呼んだんでしょ……?」
「用がないと呼んじゃだめなんだ?」
「そ、そういうわけじゃ、ないけど……っ」
鈴音の声が動揺して上擦る。用がなければ呼ばないでほしいということだ。
彼女の失礼な態度にも、腹は立たない。寧ろわかりやすくて面白い。
鈴音といると、自然と笑い声が漏れてしまう。
突然笑われた鈴音は、訝しげに眉を寄せる。
「な、な、なに……?」
「ごめんごめん。用があって呼んだんだよ」
海斗は鈴音から体を離し、机に置いていたメジャーを指した。
「すずちゃん、採寸して?」
「え……私が、江崎くんの……?」
「そうそう」
「そういうのって、同じクラスの人にしてもらったらいいんじゃ……?」
「うん、でも俺はすずちゃんにしてほしいから」
にこりと微笑む。
既に他の男子の採寸は済ませた。残るは海斗だけだ。
「してくれるよね?」
「わかった」
採寸なら断る理由もないと判断したのか、鈴音はメジャーを手に取った。
メジャーの横にあった紙をとんとんと指で叩く。
「測ったらこれに書き込んで」
「うん。……動かないでね?」
「うーん……そう言われると悪戯したくなるんだよねー」
「っ……」
「冗談だよ。ちゃんと大人しくしてるから」
「…………」
じとっとした視線を海斗に送りながらも、鈴音は採寸をはじめる。
真面目な鈴音は手を抜かず、しっかりと測って正確な数値を書き込んでいく。
悪戯したくてむずむずしたが、我慢した。
どうも鈴音を見ると、ちょっかいをかけたくなる。手を伸ばして、触れたくなる。触れて、撫でて、抱き締めて、キスをして、舐めて、噛んで、海斗のことしか考えられなくなるまでめちゃくちゃにしたくなる。
「すずちゃん」
「え、なに……?」
名前を呼べば、鈴音が顔を上げる。目が合って、彼女の瞳に自分だけが映っているのを見て微笑む。
このまま、ずっと、この目に自分の姿しか映らないようにしたい。
不穏な空気を感じたのか、鈴音の瞳に僅かな怯えが滲む。
笑みを浮かべたまま、鈴音の頬を撫でた。
「なんでもないよ、つづけて」
なにか言いたそうに口を動かすがなにも言わず、鈴音は採寸をつづける。
メジャーを伸ばしては紙に数字を書き込んでいくという作業を何度か繰り返し、やがて鈴音は手を止めた。
「終わったよ」
「ありがと、すずちゃん」
「ひぃっ」
ぎゅうっと抱き締めれば悲鳴が上がる。とても彼氏に抱き締められた彼女の反応とは思えないが、海斗は気にしない。
「え、江崎くん、もう昼休み終わるから……」
「んー?」
「そろそろ戻らないと」
「授業はないんだし、大丈夫だよ」
離してほしいと言外に訴える鈴音を無視し、彼女の首筋にぐりぐりと顔を埋める。
「すずちゃんのクラスはなにするの?」
「え、あ、お化け屋敷」
「へー、楽しそう」
首筋に顔を埋めたまま、ぎゅうぎゅうと抱き締める腕に力を込める。
「え、江崎くん……?」
「準備楽しい、すずちゃん?」
「う、うん……それなりに……?」
「そっかー」
鈴音とクラスが違う現状を、酷くもどかしく感じることがある。彼女に、自分の目の届く範囲にいてほしいのだ。同じクラスだったら、常に行動を監視できたのに。
文化祭なんて、校内中が浮き足立つような行事は危険だ。雰囲気に飲まれて大胆な行動に出たりする生徒がいるから。
もしかしたら、鈴音に好意を抱いている男がいて、告白してくるかもしれない。
もしかしたら準備中、普段は話さないクラスの男子との距離が縮まり恋が芽生えるかもしれない。
そして鈴音は全くその可能性を考えていない。自分なんかが告白なんてされないと思っている。自分なんかを好きになるわけがないと。
現に海斗がいるというのに、彼女は全くわかっていない。
もし、海斗と同じようなタイプの男が鈴音に目をつけたら。
きっと無理やりにでも自分のものにしようとするだろう。
海斗という恋人がいても、鈴音が泣こうが喚こうが強引に奪って、傷つけ、彼女に自分を刻みつける。
もし自分が告白したとき鈴音に恋人がいたとしたら、海斗はそうしただろう。
誰かに奪われるなんて許せない。
けれど鈴音は危機感を抱くこともなく、他の男と話したり、笑いかけたりする。海斗のことは人一倍警戒するくせに。
「あ、あの、江崎くん……?」
鈴音の首筋に、唇を押し付ける。鈴音の肩がびくりと跳ねた。
「江崎く……」
「噛んでもいい、すずちゃん?」
痕をつけたい。この体に海斗の痕を刻みたい。海斗のものだと知らしめたい。
「だ、だ、だめ……っ」
「だめ?」
「だめっ」
「どうして?」
「だ、だって、見られたら、恥ずかしい、から……」
「恥ずかしいからだめ?」
鈴音はこくこくと頷く。
「噛まれるのが嫌なわけじゃないんだ?」
「っ……」
「噛み痕つけられるのは嫌じゃないけど、見られたら恥ずかしいからだめなんだ?」
「っ……、っ……」
否定も肯定もできず、鈴音は真っ赤になって口をぱくぱくと開閉する。
海斗は甘く蕩けた瞳で彼女を見つめた。
「可愛い、すずちゃん。大好き」
「っ……」
鈴音の顔が更に赤く染まる。
はじめて鈴音に好きだと告げたとき、彼女は物凄く嫌そうに眉を顰めた。
けれど今は、真っ赤になって俯くことが多い。
海斗の言葉が本気だと、少しは信じてくれているのではないか。信じていなくても、鈴音の気持ちが揺れているのは確かだ。しかし懸命に踏みとどまって、決して落ちてはいけないと自分に言い聞かせているのだろう。
しかしそれは無駄な努力だ。鈴音の気持ちがどうであれ、海斗は彼女を逃す気はないのだから。
「キスして、すずちゃん」
「えっ……」
鈴音は困ったように眉を下げ、うろうろと視線をさ迷わせ、それから覚悟を決めたように海斗に顔を近づけた。
キスをねだれば、応えてくれる。
海斗は満足げに微笑み、彼女のキスを受け入れた。
文化祭当日。
ウェイターの衣装に着替えた海斗は、クラスメイトと他愛ない話をしながら見るともなしに窓の外を見ていた。まだ開始まで時間がある。窓の外では、時間ギリギリまで忙しそうに走り回る生徒が行き交っていた。
海斗の視線が、鈴音の姿を捉える。彼女は両手いっぱいに布を持って急いでどこかへ向かっていた。前がよく見えていなかったせいで、前方から歩いてきた生徒にぶつかる。勢いよくぶつかった反動で尻餅をついた。
ぶつかった男子生徒が、鈴音に手を差し出す。鈴音はその手を取って立ち上がった。
海斗はその光景をじっと見下ろす。
ぺこぺこと、鈴音は何度も頭を下げた。男は鈴音に笑顔で話しかけ、鈴音は大きく首を横に振る。鈴音が持っていた布を、男が取り上げた。引き止める鈴音に構わず男が歩き出す。鈴音は恐縮した様子で男のあとについていく。
ぶつかったのがとても親切で面倒見のよい男だったのだろう。荷物を運んでくれるようだ。
海斗の視線はずっと鈴音を追っていた。
「江崎、そろそろ時間だぞ」
クラスの男子が、ひょいっと海斗の顔を覗き込む。そしてぎょっと身を引いた。
「え、なに、なんか機嫌悪いのか!?」
どうやら驚くほど機嫌の悪そうな顔をしていたようだ。
海斗はにっこりと笑みを浮かべる。
「全然、そんなことないよ」
「そ、そうか……?」
顔を引きつらせるクラスメイトから目を離し窓の外を見ると、もう鈴音の姿はどこにもなかった。
間もなく文化祭が開始し、海斗はウェイターとして教室内を忙しなく歩き回る。海斗目当ての女性客がひっきりなしに訪れた。
「海斗~、写真撮らせて」
「かっこいいね、キミ。連絡先教えてよ」
「休憩何時? 一緒に回ろ」
「もお、文化祭なんかサボっちゃおうよー」
絶えず声をかけられ、海斗は笑顔で対応する。
完璧な接客をしながらも、頭の中では鈴音のことしか考えていなかった。
鈴音は隙だらけだ。だから海斗みたいな男にも付け込まれる。
あの男も、親切な振りをして鈴音に近づいて人気のない場所に連れ込み、襲いかかってくるかもしれないのに。その可能性を全く考えていない。なんの警戒心も抱かず、大人しくあんな男についていくなんて。
そんなことを考えながらも、そんなわけはないとわかっている。あいつはただの親切な男で、鈴音が大変そうだったから、見兼ねて手伝ってあげただけだ。
そんな相手を、鈴音はどう思うだろう。気さくで、親切で優しい頼りがいのあるあの男を。もし文化祭を一緒に回ろうと誘われたら、どうするだろう。
断ったとしても、誘われたら嬉しいと感じるのではないか。喜んで、照れたように顔を赤くして、笑いかけるのだろうか。
想像して、無性に腹が立った。
イライラする。
どうして鈴音は傍にいないのだろう。
海斗の手の届く場所にいてほしい。
常に視界に鈴音がいないと落ち着かない。
閉じ込めて、縛り付けて、鈴音の世界を海斗だけで塗り潰したい。
鈴音が声をかけるのも名前を呼ぶのも笑いかけるのも目に映すのも触れるのも海斗だけで、そんな彼女に声をかけるのも見るのも触れるのも海斗にしか許されない。そんな状態にしたい。
今すぐ鈴音に会いたい。鈴音の声を聞きたい。鈴音に触れたい。
けれど海斗目当ての客が後を絶たない。そのせいで海斗は休憩も取れず、終了時間ギリギリまで教室から出られなかった。
漸く接客から解放され、海斗は誰かに捕まる前にそそくさとその場を離れた。足早に廊下を進み、いつも鈴音と会うときに使っている空き教室に入る。その教室の周囲は今日も人気がない。校内の喧騒を遠くに聞きながら、海斗は深く息を吐いた。
椅子に座り、ぐったりと机に突っ伏す。その状態でポケットからスマホを取り出し、素早く操作した。それが終わると、もうなにもする気が起きず目を閉じた。
暫くして、ドアの開く音が聞こえた。
「江崎くん……?」
呼ばれて顔を上げると、鈴音が窺うようにこちらを見ていた。
「すずちゃん、来てくれたんだ」
「だ、だって……」
海斗が「会いたい」と連絡したのだ。でも、時間も場所も書かなかった。だから無視される可能性もあった。けれど、彼女はこうして会いに来てくれた。
海斗は笑顔で鈴音に向かって両腕を広げる。
「こっち来て」
「う……」
少しの間躊躇い、鈴音はドアの鍵を締めてからこちらに近づいてきた。もし誰かが入ってきて、海斗と二人きりの場面を見られたら大変なことになると考えているからだ。
傍にきた鈴音を膝に乗せ、思い切り抱き締める。
鈴音の匂いと感触と温もりを感じ、荒んでいた心が癒されていく。
「すずちゃん、今日もジャージなんだね」
「脅かし役の人が休んじゃって、手の空いてる人が交代で入ることになって……私も少しやってたから……」
「そうだったんだ」
「江崎くんも衣装のままだね。着替えなくていいの?」
「あー、忘れてた……」
急いでここに来たので、着替えのことなどすっかり忘れていた。でもどうでもいい。
すりすりと、鈴音の胸に顔を埋める。戸惑っているのは伝わってきたが、構わずぐりぐりと顔を押し付けた。
「すずちゃんは、文化祭見て回ったの?」
「え、うん、一応……」
「誰と?」
「友達、だけど……」
「女の子?」
「うん」
「変な男に声かけられなかった?」
「かけられないよ……」
「絡まれたりしてない?」
「なかったよ」
答える鈴音の声音は若干呆れが滲んでいる。どうしてそんなことを聞いてくるのかわからない、そう思っているのだろう。
「一緒に文化祭回ろうって、男から誘われたりしなかった?」
「誘われないから……」
充分に胸の感触を堪能し、今度は首筋に顔を埋める。鈴音は擽ったそうに肩を竦めた。
「誘われたらどうする?」
「え……?」
「親切で優しい男から誘われたら、どうするの?」
「どうって……断るけど……」
「なんで? 嬉しくないの?」
「嬉しくはない、と思う……」
「嬉しくないんだ?」
「うん……」
それは鈴音の本心だろう。
でも、しつこく誘われたら? どうしてもと頼まれたら? お願いだと頭を下げられたら? 強引に迫られたら、断れないのではないか。
鈴音は海斗のものなのに。
彼女の首筋を舐め上げる。
ここに噛みつきたい。海斗のものだという痕を残したい。
「ひゃっ、え、江崎く……」
「噛んでいい、すずちゃん」
「え、だ、だめ……っ」
「お願い、すずちゃん、噛みたい」
「で、でも……」
「噛ませて」
「っ……」
海斗の懇願に、鈴音は言葉を詰まらせる。
逡巡の末、鈴音は掠れる声で言った。
「……あの、制服で、隠れる場所なら……」
「着替えるときに見られちゃうよ? 恥ずかしいんだよね?」
「っ……トイレで、着替える、から……」
「いいの? いっぱい噛んじゃうよ?」
「っ……」
鈴音は真っ赤な顔で小さく頷いた。
本当は隠せない場所にこそ痕をつけたいのだが、それでも海斗の心は満たされた。
唇の端を吊り上げ、嬉々として鈴音を長机に押し倒す。
完全に獲物を狙う捕食者の瞳で彼女を見下ろし、ジャージのチャックを下ろした。
「噛むよ、すずちゃん」
「は、はい……」
瞳を潤ませ、捕食される小動物のような鈴音ににんまりと微笑んだ。
Tシャツの襟ぐりをずらし、肩を露出させる。そこに強く歯を立てた。
「ひぅっ……」
びくびく震える鈴音の体を押さえつけ、肩や腕や胸元に噛み痕を残していく。滑らかな肌に、くっきりと歯形が刻まれる。
噛み痕だらけの鈴音の体を満足げに見下ろし、今度はズボンに手をかけた。
「あ、あ、足も、噛むの……」
「もちろん」
狼狽する鈴音ににっこりと微笑みかけ、ズボンを脱がせた。
恥ずかしそうに身を縮める鈴音の足を持ち、唇を寄せる。ふくらはぎに口づけ、噛みつこうとして、ここはスカートでは隠れないと気づいて断念する。代わりにねっとりと舐め上げた。
徐々に上へ移動し、柔らかい内腿に歯を立てる。深く歯が食い込む。
「あっ、痛……っ」
甘い悲鳴が鈴音の口から漏れる。「痛い」と言いながら、彼女は抵抗しなかった。「嫌だ」とも「やめて」とも一度も言わない。
痕を残すことを許され、受け入れられている。それが嬉しくて、海斗は何度も何度も彼女の肌に噛みついた。
痛々しいほどに噛み痕が散らばる太股にちゅっと唇を落とす。
見ると、鈴音のショーツは彼女の漏らした蜜で濡れそぼっていた。
海斗は悪辣に唇を歪める。
「俺のせいで、ほんとに淫乱になっちゃったね、鈴音」
小さな呟きは、鈴音の耳には届かなかった。
頬を染め、陶酔したようにぼんやりする鈴音の脚をするりと撫で上げる。
「ふぁっ……」
「わかってるの、すずちゃん?」
「え……?」
「すずちゃんのパンツ、ぐちゅぐちゅになっちゃってるよ」
「あっ……う……」
「すずちゃんは痛いのも大好きだもんね。たくさん噛まれて気持ちよかった?」
微笑む海斗に、鈴音は赤面する。
「パンツも脱がせておけばよかったね」
するするとショーツを脱がす海斗を、鈴音は腕を伸ばして止めようとする。
「あ、だめ、脱がせちゃ……」
「脱がせるよ、お尻も噛みたいから」
「まだ噛むの……!?」
「うん、背中も噛むから後ろ向いて?」
「〰️〰️〰️〰️っ」
鈴音は涙目になりながらも海斗に背中を向けた。
噛んでいいと言ったことを後悔していることだろう。「いっぱい噛む」と宣言していたが、鈴音の考える「いっぱい」と海斗の言った「いっぱい」は違ったようだ。
そして鈴音が後悔していようと、海斗は自分が満足するまで彼女を解放するつもりはない。
うつ伏せになった鈴音の衣服を捲り上げ、背中を露にする。ブラジャーのホックを外し、まだなんの痕もない綺麗な背中にかぷりと噛みついた。
「ひゃうぅっ」
少しずつ増えていく歯形に、海斗はうっとりと目を細めた。
背中から、今度は腰へと移動する。擽ったそうに身をよじる鈴音に構わず歯を立てた。
それから、臀部にも同じように痕を残していった。
噛まれるたびに声を上げ、体を震わせる鈴音は、すっかり息が上がりぐったりしている。火照った体を無防備に晒す鈴音を見下ろし、海斗は唇を舐めた。
滴るほどに蜜で濡れた秘所に、ぺろりと舌を這わせる。
「ひあっ、や、だめ……っ」
鈴音は必死に制止の声を上げる。
「やっ……やめて、舐めないでっ」
「でもすずちゃん、このままじゃ教室に戻れないでしょ」
「そ、そんな……」
「こんなにおまんこぬるぬるにして、クラスに戻るの? ちんこ欲しがっておまんこむずむずさせたまま?」
「ふ……ぅ……っ」
「無理だよね、すずちゃん。もうちんこ欲しくて我慢できないよね?」
「そ……な、こと……」
「それとも、俺以外の男にちんこ嵌めてもらうつもり? そんないやらしい顔でうろうろしてたら、すぐに襲われちゃうよ?」
「や、いやっ……」
鈴音は泣きそうな顔でかぶりを振る。
「どうする、すずちゃん?」
「江崎くんに、してほしい……。お、お願い……」
鈴音の哀願に、海斗は微笑んだ。
「もちろん。すずちゃんの大好きな俺のちんこで、おまんこずぶずぶしてあげる」
「っ……うぅ……」
羞恥に震える鈴音の花弁を、指で広げる。
「まずはいっぱい舐めてあげるね」
「や、やだ、舐めるのだめ……っ」
「どうして? 舐められるの好きでしょ?」
「汚いから……っ」
「汚くないよ」
嫌がる鈴音を無視し、海斗は秘所を舐め回す。ちゅぷっと舌を膣穴に差し込み、指で陰核を優しく転がした。
「ひっ、あっ、っ〰️〰️!」
びくびくと震えながら鈴音は達した。
膣内が蠢き、新たな蜜が溢れる。それを啜り、固く膨らんだ肉粒を指で撫で回す。
「あっ、だめ、また、いっ……あぁっ」
痙攣する膣穴に、指を挿入する。蕩けた肉壁はたっぷりと蜜を纏い、食むように指に絡みついた。
「すずちゃんのおまんこぬるっぬるだね。ちんこちょうだいって、俺の指おしゃぶりしてるよ」
「や、あっ、あっ、違、んんんっ」
「違わないでしょ。ほら、抜こうとするとぎゅーってしがみついてくるよ」
「あっ、あっ、あっ」
絡みつく肉襞の感触を楽しみながら、抜き差しを繰り返す。太股に伝うほど蜜が溢れ、指の動きに合わせてぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いた。
膣内は物足りなさそうに蠕動し、肉塊を求めて指に吸い付く。
体はとっくにぺニスを催促しているが、鈴音がそれを口に出すことはない。まだ一度も、自分から入れてほしいとねだったことはなかった。
快楽に溺れながらも、最後の一線は飛び越えずに踏みとどまっている。
海斗は指を引き抜き、取り出したぺニスに避妊具を装着した。
「すずちゃん、こっちおいで」
「は、ひ……」
後ろから力の抜けた鈴音の体を抱き上げる。
海斗は椅子に座り、鈴音を膝に乗せるように背後から蜜壺を貫いた。
「はっ、あっ、あっ、あ──っ」
「っ……」
陰茎を埋め込まれながら、鈴音はまた達した。ぎゅっと内壁が締まり、海斗は息を詰める。
全てを捩じ込み、動きを止めた。がくがくと震える抱えた鈴音の脚を、宥めるように優しく撫でる。
「すずちゃん、入れただけでイッちゃったね。おまんこ奥まで擦られて気持ちよかった?」
「気持ち、い……あっ、あっ」
「すずちゃんてば俺動いてないのに、おまんこがうねって、擦れて気持ちよくなってるね」
「あっ、だって、勝手に、止まらな、あっ、あぁんっ」
「はあっ、すずちゃんのおまんこがちんこちゅうちゅうしてくれるから、俺も気持ちいい……っ」
赤く染まった耳をぱくりと咥えると、それだけで鈴音はまた達した。
搾るような肉筒の締め付けに、海斗は小さく呻いた。
「んっ……すずちゃんのおまんこよすぎて、もっていかれそうになっちゃう」
「あっ、あっ、気持ちい、んっ、あぁっ」
鈴音はうわ言のように「気持ちいい」と口にする。思考が蕩けて、あまり理性が残っていない状態なのだろう。
汗ばむ彼女のうなじを、何度も舐め上げる。
「ん、はあっ……おまんこずーっときゅんきゅんしてるね。俺のちんこずっぽり嵌められて気持ちいい?」
「あんっ、気持ちいい、江崎くんの……中、いっぱいになって……あっ、嬉しい……っ」
甘い声音で告げられた言葉を耳にして、一瞬頭が真っ白になった。
海斗は鈴音の体をきつく抱き締め、気づけばうなじに強く歯を立てていた。
「あっ、あ、〰️〰️っ」
鈴音は何度目かの絶頂を迎える。びくびくと震える体を腕に閉じ込めるようにして、うなじに深く歯を食い込ませた。
くっきりと残った歯形を見て、海斗は我に返る。
「あ、噛んじゃった。すずちゃん、ごめん……」
謝るが、理性を飛ばした鈴音には聞こえていなかった。
「んぁっ、や、気持ちぃの、もっと、噛んでっ」
「そんなん言われたら、止まらなくなるんだけど……っ」
鈴音にねだられ、煽られた海斗は再びうなじに噛みついた。
歯を立てながら、膣内を激しく突き上げる。
「あっ、ひ、あっ、ああぁっ」
がくがくと揺さぶられるまま、鈴音は快感に溺れる。
肉筒を掻き混ぜるように穿つたび、ぐぽぐぽと下品な音が結合部から聞こえた。
「ひぁっ、あっ、江崎く、江崎くん……っ」
理性を飛ばした状態で、鈴音は何度も海斗を呼んだ。
甘い悲鳴に、海斗の理性も溶けていく。
うなじから顔を上げ、鈴音の顎に手を伸ばす。
「鈴音、鈴音、こっち向いて」
「ふぁっ、ん、んんっ」
激しく鈴音の唇を奪い、舌を捩じ込む。鈴音は抵抗せず、差し込まれた舌に自ら舌を絡ませた。
鈴音の手は縋るように海斗の腕を強く掴んでいる。
「はっ、ん……鈴音、好き、大好き……っ」
キスの合間に何度も好きだと囁く。
夢中になってキスを交わしながら、鈴音の最奥をごちゅごちゅと突き上げた。
鈴音の手を握り、蠢動する胎内を擦り上げる。絡みつく肉襞が、陰茎にきつくむしゃぶりついた。
海斗も限界を迎え、奥を貫き、欲望を吐き出す。
全てを出しきっても暫くの間、繋がったまま鈴音を抱き締め口付けていた。
ぐったりする鈴音を横抱きにして、椅子に座った海斗は彼女に謝っていた。
「ごめんね、すずちゃん」
鈴音のうなじには、しっかりと噛み痕が残っていた。
「わざとじゃないんだよ? なんか気づいたら噛んでたみたいで」
へらへらと笑う海斗に、鈴音はむっつりと押し黙っている。
これでも一応反省はしていた。噛むつもりもなかった。でも、自分の残した痕が彼女に刻まれているのを目にすると、やはり嬉しかった。
「ほんとにごめんね? 今度から気をつけるから」
「…………もういい」
「許してくれる?」
「髪下ろせば、隠れるし……」
鈴音は髪を縛っていたゴムをほどく。それでうなじは隠れた。風が吹けば見られてしまうかもしれないが。
見られたとき、鈴音はどんな反応をするのだろう。きっと死ぬほど恥ずかしい思いをするに違いない。申し訳ない気持ちになるが、真っ赤になって言い訳する鈴音を見てみたいとも思う。
「ごめんね、すずちゃん」
こんな男で。でももう離してあげられないんだ。
鈴音を抱き締め、すりすりと頬擦りする。
海斗の好きにさせながら、鈴音は躊躇いがちに口を開いた。
「……江崎くん、大丈夫なの……?」
「んん? 大丈夫ってなにが?」
「その……今日、何回か江崎くんのクラスの前通ったけど……江崎くん、ずっと教室にいたみたい、だから……」
ジャージの裾を弄り、鈴音は視線を落としたまま言う。
「ずっと、接客してたのかなって……疲れてるんじゃないかと、思って……」
「……心配してくれたの?」
「し、心配っていうか……大変そうだなって……」
「ありがと、すずちゃん」
ぎゅうぎゅうと、抱き締める腕に力を込める。
鈴音が自分のことを気にかけてくれていたことが嬉しい。
微笑む海斗に、鈴音ははにかむ。
「大好き」
ちゅ、とおでこに口付けると、鈴音は真っ赤になって俯いた。
紅潮する頬を、優しく撫でる。
焦る必要はないと思っていた。ゆっくり時間をかけて手に入れればいいと思っていた。その過程すら楽しく感じていたから。
けれど時間が経つにつれ、今の状況をもどかしく思うようになった。
腕の中にいるのに、自分のものではない。
抱き締めて、キスをして、何度体を重ねても。
それが酷く焦れったい。焦燥感のようなものを感じるのだ。
だから、時間をかけるのはやめにする。
鈴音の全てを自分のものにしたい。誰にも渡したくない。自分だけのものにしたい。
海斗はうっそりと笑った。
「覚悟してね、すずちゃん」
「は、え、なに……!?」
意味がわからず困惑する鈴音のうなじを撫で上げる。
追い詰めて追い詰めて、突き落としてしまおう。二度と抜け出せないところまで落としてしまえばいい。
「好きだよ、鈴音」
早くここまで落ちてきてね。
心の中で囁いて、戸惑う鈴音に優しくキスをした。
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読んでくださってありがとうございます。
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過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
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結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
社長の奴隷
星野しずく
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