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王道のために暗躍する
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鳥居の監査を中断した後、自室に戻ると俺は頭を抱えた。
稔の誕生日を祝うと言ったが、いきなりだったために何も準備出来ていない。
そう、プレゼントとなる物が無い。何も無いのだ。
ピアスは前に交換しているし、他に渡せるようなものは何も持って居ない。
視界に入ったのは自分の愛用している香水。
まだ未開封で箱に入っている。
「稔も香水持ってるだろうし、要らないよなぁ」
それでも何もあげないよりはマシかと思い、新品のソレを持って稔の部屋へと向かった。
インターホンを鳴らすとすぐに稔は出迎えてくれた。
憑物が落ちたかの様な爽やかな笑顔が眩しかった。
本当に誕生日の事だけでそんなに悩んで居たのだろうか。
部屋の扉を閉めた途端に抱きしめられた。
「来てくれて、ありがとう」
「約束したでしょ?」
「やっぱり央蜜と過ごせるってだけでテンションが上がるな!」
「そう?ふふっ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「これぇ、一応プレゼント。急遽用意したから気にいるから分からないけど、俺が使ってるのと同じ香水」
「おお!マジか!これ付けたら央蜜といっつも一緒に居るみたいでいいな」
「そーお?」
「あぁ、ありがとう」
室内には、見慣れないタキシードを着た男性が佇んでいた。
「えっとー、執事?」
「ああ、急遽2人で誕生日会をする事に決めたから、実家から来てもらった。今日はコイツに全部任せる。我が家の専属シェフも食堂を借りてディナーを作っているからな。楽しみにしてろよ」
「へぇー、いきなりなのに思い切ったね」
「ああ、会長権限でゴリ押しした。まぁ、斎賀グループと比べたらまだまだかもしれないけどな」
「いやいや、俺ってなんだかんだ言っても三男だから、扱いも変わってくるんだよ。特に、この学園入ってからは自分の誕生日とか祝った事ないから、物珍しいっていうか。うん、すごいね」
「そうか?あ、央蜜の誕生日っていつなんだ?」
「俺は12月だよ。12月2日」
「ん、覚えた。絶対に祝うから!」
「ははっ、楽しみにしてるねー」
「さぁ、ディナーにしようぜ」
稔に促されるようにダイニングテーブルに着くと、執事の男性が食器を並べて食事の用意を始める。
その様子を眺めながら、実家でも教育係やら執事、メイドたちが同じように食事の支度をしていた事を思い出す。
少し懐かしさに浸りながら稔を見ると、満面の笑みを浮かべていた。
「家族にも央蜜の事紹介しないとな」
「……………へ?!」
予想外の言葉に反応が遅れて素っ頓狂な声が出てしまった。
ヤバイ、こいつ何考えてんの?!
稔の誕生日を祝うと言ったが、いきなりだったために何も準備出来ていない。
そう、プレゼントとなる物が無い。何も無いのだ。
ピアスは前に交換しているし、他に渡せるようなものは何も持って居ない。
視界に入ったのは自分の愛用している香水。
まだ未開封で箱に入っている。
「稔も香水持ってるだろうし、要らないよなぁ」
それでも何もあげないよりはマシかと思い、新品のソレを持って稔の部屋へと向かった。
インターホンを鳴らすとすぐに稔は出迎えてくれた。
憑物が落ちたかの様な爽やかな笑顔が眩しかった。
本当に誕生日の事だけでそんなに悩んで居たのだろうか。
部屋の扉を閉めた途端に抱きしめられた。
「来てくれて、ありがとう」
「約束したでしょ?」
「やっぱり央蜜と過ごせるってだけでテンションが上がるな!」
「そう?ふふっ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「これぇ、一応プレゼント。急遽用意したから気にいるから分からないけど、俺が使ってるのと同じ香水」
「おお!マジか!これ付けたら央蜜といっつも一緒に居るみたいでいいな」
「そーお?」
「あぁ、ありがとう」
室内には、見慣れないタキシードを着た男性が佇んでいた。
「えっとー、執事?」
「ああ、急遽2人で誕生日会をする事に決めたから、実家から来てもらった。今日はコイツに全部任せる。我が家の専属シェフも食堂を借りてディナーを作っているからな。楽しみにしてろよ」
「へぇー、いきなりなのに思い切ったね」
「ああ、会長権限でゴリ押しした。まぁ、斎賀グループと比べたらまだまだかもしれないけどな」
「いやいや、俺ってなんだかんだ言っても三男だから、扱いも変わってくるんだよ。特に、この学園入ってからは自分の誕生日とか祝った事ないから、物珍しいっていうか。うん、すごいね」
「そうか?あ、央蜜の誕生日っていつなんだ?」
「俺は12月だよ。12月2日」
「ん、覚えた。絶対に祝うから!」
「ははっ、楽しみにしてるねー」
「さぁ、ディナーにしようぜ」
稔に促されるようにダイニングテーブルに着くと、執事の男性が食器を並べて食事の用意を始める。
その様子を眺めながら、実家でも教育係やら執事、メイドたちが同じように食事の支度をしていた事を思い出す。
少し懐かしさに浸りながら稔を見ると、満面の笑みを浮かべていた。
「家族にも央蜜の事紹介しないとな」
「……………へ?!」
予想外の言葉に反応が遅れて素っ頓狂な声が出てしまった。
ヤバイ、こいつ何考えてんの?!
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