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王道のために暗躍する
人と付き合うということ
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エントランスを出入りする学生は増えていった。
俺と稔が付き合ったこと、公共の場でディープキスをした事が恐ろしい速さで寮内を駆け巡っていったのだ。
原石ちゃん観察も人が多すぎて断念せざるを得なくなった。
稔はスコーンを俺の口に『あーん』と運んだり、口元に付いた食べカスをキスするように取ったりとやりたい放題だ。
どうしてこうなった。
あの会長の行動とは思えなくて目眩がする。付き合った途端豹変するのか。
それとも何か狙って俺を餌にしてるのか。
全く行動が読めない。
ともかく、こんな人が集まる中イチャイチャするのはやめて欲しい。切実に。
「こんな所で何やってるんだ」
ほら、声が掛かった。
振り返ると風紀委員長の田口先輩がいた。
わー、なんとも呆れた顔ですね。分かります。切実に。でもイケメンが台無しですよ。
あ、原因はこの生徒会長様です。
「こんな公共の場で『役付』が『役付候補』とベタベタして、どんな噂が広がってるか分かってるのか?」
「風紀が何の用だ?お前らは寮内に関して取締る権限なんて持ってねぇだろ」
「これは風紀云々ではなく、一般的な注意だ。そのうち監査委員が飛んでくるぞ。あいつらは何人いてどれだけの手足を持ってるか分からんからな」
「あー、監査のやつらか、それは確かに面倒だが、キスくらいなら誰だってやってる。あいつらが出てくるような案件じゃねぇって。俺たち、付き合ってるんだし。な?」
「あー、はは、まぁ、はい」
うう、たしかに構内は風紀、寮内は監査ってのが暗黙のルールだけど。
監査副委員長が問題起こしてるんで、誰も文句言って来ないかと思われます。1人を除いて。
「監査がなんだって?」
ほら来た。うわー、ここで重役全員集合じゃん。
近付いて来たのは監査委員長と公言している都築先輩だ。
「うわー、直也の顔こわっ」
クスっと笑って俺の肩を寄せる稔。
都築さんの眉間にはシワが深く刻まれた。
「直也、俺も注意はしたんだが、同意だと言って聞かねぇんだ」
「あぁ、そのようだな。監査の情報でも2人はこの場で付き合い出したらしい」
「本気か?」
「さぁな、まぁお揃いのピアスしてるぐらいだからそうなんじゃねぇの?」
田口先輩と都築先輩が話していても、知らん顔で俺にくっついて離れない稔。
ってか俺もう帰りたいんですけど!
「あ、あと央蜜は生徒会の『役付』になったから。本人の了解も得たし、今日から正式に『会計』になった」
「はぁ?マジか!」
知らなかったのか、田口先輩は声を上げて頭を抑える。
「へぇ、生徒会ねぇ」
都築先輩は反対に口元がにやけている。
別にスパイで入るわけではないんだけど。
そう思われたんだろうな。
俺と稔が付き合ったこと、公共の場でディープキスをした事が恐ろしい速さで寮内を駆け巡っていったのだ。
原石ちゃん観察も人が多すぎて断念せざるを得なくなった。
稔はスコーンを俺の口に『あーん』と運んだり、口元に付いた食べカスをキスするように取ったりとやりたい放題だ。
どうしてこうなった。
あの会長の行動とは思えなくて目眩がする。付き合った途端豹変するのか。
それとも何か狙って俺を餌にしてるのか。
全く行動が読めない。
ともかく、こんな人が集まる中イチャイチャするのはやめて欲しい。切実に。
「こんな所で何やってるんだ」
ほら、声が掛かった。
振り返ると風紀委員長の田口先輩がいた。
わー、なんとも呆れた顔ですね。分かります。切実に。でもイケメンが台無しですよ。
あ、原因はこの生徒会長様です。
「こんな公共の場で『役付』が『役付候補』とベタベタして、どんな噂が広がってるか分かってるのか?」
「風紀が何の用だ?お前らは寮内に関して取締る権限なんて持ってねぇだろ」
「これは風紀云々ではなく、一般的な注意だ。そのうち監査委員が飛んでくるぞ。あいつらは何人いてどれだけの手足を持ってるか分からんからな」
「あー、監査のやつらか、それは確かに面倒だが、キスくらいなら誰だってやってる。あいつらが出てくるような案件じゃねぇって。俺たち、付き合ってるんだし。な?」
「あー、はは、まぁ、はい」
うう、たしかに構内は風紀、寮内は監査ってのが暗黙のルールだけど。
監査副委員長が問題起こしてるんで、誰も文句言って来ないかと思われます。1人を除いて。
「監査がなんだって?」
ほら来た。うわー、ここで重役全員集合じゃん。
近付いて来たのは監査委員長と公言している都築先輩だ。
「うわー、直也の顔こわっ」
クスっと笑って俺の肩を寄せる稔。
都築さんの眉間にはシワが深く刻まれた。
「直也、俺も注意はしたんだが、同意だと言って聞かねぇんだ」
「あぁ、そのようだな。監査の情報でも2人はこの場で付き合い出したらしい」
「本気か?」
「さぁな、まぁお揃いのピアスしてるぐらいだからそうなんじゃねぇの?」
田口先輩と都築先輩が話していても、知らん顔で俺にくっついて離れない稔。
ってか俺もう帰りたいんですけど!
「あ、あと央蜜は生徒会の『役付』になったから。本人の了解も得たし、今日から正式に『会計』になった」
「はぁ?マジか!」
知らなかったのか、田口先輩は声を上げて頭を抑える。
「へぇ、生徒会ねぇ」
都築先輩は反対に口元がにやけている。
別にスパイで入るわけではないんだけど。
そう思われたんだろうな。
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