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渡辺心
第11話 王子様の危機
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あれから同じ小学校に優太くんがいるのはわかったんだけど、クラスも違う私が彼に近づく事は出来なかった。
優太くんの家の隣に住むあの女、大谷麗華がずっと隣りにいたからだ。
あまり他人に関心の無かった私でさえ、あの女の事は知っていた。
早熟で背も高くルックスも良いあの女は小学校でも人気者だった。
でも私は知っている。
あの女が陰で私の事を乞食女と呼んでいた事を。
あの女は私の王子様である優しい優太くんに相応しくない。
でもあの女は優太くんの家に日頃からお世話になっているらしく、優太くんとも凄く仲が良いらしかった。
私は恩人でもある優太くんの幸せを第一に考えている。
そのため優太くんの意思を尊重しつつ、陰ながら優太くんを見守る事にした。
中学三年の時、優太くんがあの女に告白して付き合う事になった時、私は一晩中泣いて目を腫らす事になった。
ーーーーー
私は親に少し無理言って、優太くんと同じ私立高校に通うことになった。
五条優太くんを陰から見守りたいと言ったら、親の方からも頑張りなさい! という激励を貰えた。
高校では運良く同じクラスになっていたある日、ある噂がクラスを賑わしていた。
大谷麗華が赤羽というテニス部のイケメンの先輩に告白されたというのだ。
既に優太くんと付き合っている事を知っていた私はまさかね、と思った。
その後、優太くんがあの女に屋上に呼び出された様なので隠れて様子を探ると、なんと赤羽先輩と付き合いたいから、優太くんと付き合っている事実を無かった事にしてくれと言ったのを聞いていた。
馬鹿な! 私は信じられない思いだった。
あれだけ優しい天使の様な優太くんを捨てるなんて!
私の様な者まで優しく包んでくれた聖母のような優太くんのお母様、知人でも無い私と両親を救ってくれた、聖人の様なお父様を裏切る様な事をするなんて!
絶対に許さない。
ーーーーー
少しして、優太くんがストーカーをしているという悪い噂が広まっていた。
たぶんテニス部の人達が噂を流しているんだろう。
優太くんは絶対にストーカーなど行っていない。
なぜなら私自身が優太くんをストーキングして、日々見守っているからだ。
「ちょっと五条! 聞いたわよ! いくら幼馴染だからって、ストーカーなんて止めなさいよ!」
「そうよ! 麗華だって彼氏がいるし、凄く迷惑してるわよ!」
噂を信じた他クラスの麗華の友達が、休み時間に優太くんを非難しに来た。
項垂れる優太くんを見て私は我慢出来ず、優太くんを庇うように前に出る。
「五条くんはそんなことしてない! 全部テニス部員たちが撒いたデタラメよ! 私にはわかるんだから!」
私はいつも付けている眼鏡をゆっくりと外し、目を細めて相手を見回した。
優太くんをこれ以上追い詰める様ならこの世から消えてもらう! そういう想いでにらみ続けていると相手は逃げるように帰って行った。
優太くんに私は信じてるからと伝えると、優太くんは少し陰があるけど嬉しそうにお礼を言ってくれた。
机とかにも落書きされていたりしたので消すのを手伝おうとしたけど、君が代わりに目を付けられても困るからという理由で断られてしまう。
自分が一番大変だと言うのに、人の事まで考えてくれるなんて優し過ぎるよ……
でもこのままじゃ、もっと酷いいじめにまで発展してしまうかも知れない。
危機感を持った私は内緒で優太くんのお母様に接触して、私の知る限りの情報を提供して優太くんの危機を伝えた。
それを聞いて優太くんのお母様は一瞬だけ般若の様な形相になったけど、直ぐに優しい顔に戻って私の優太くんへの想いを確認してきた。
私は優太くんの為ならば人生の全てを捧げますと自分の想いを正直に答えた。
それを聞いたお母様は、凄く嬉しそうに私に微笑んでくれた。
翌週、私達一家は優太くんのお父様のおはからいで、駅前に出来たばかりのタワーマンションに引っ越す事になった。
今はまだ内緒だけど、五条家も近々このマンションに引っ越してくる予定との事。
その時は、優太くんと一緒に学校に行ってくれないかとの五条家からの提案を飲んだからだ。
少しして、優太くんのお父様が言った通りの状況になったので、優太くんに提案してまずは一緒に下校する事になった。
優太くんとの下校で過ごす時間は凄く楽しかった。
事前にお母様から優太くんの趣味を聞いて予習していたので話も弾む。
私は優太くんが喜ぶのなら何だってやって見せるつもりだ。
優太くんは私が同じマンションに住んでいるのをビックリして、そのうち朝も待ち合わせして一緒に行くようになって、次第に優太くんは元の明るさを取り戻して行った。
優太くんは私をあの地獄の様な日々から救ってくれた王子様だ。
私があの女に傷付けられた優太くんの心を癒やしてあげるんだ。
優太くんの家の隣に住むあの女、大谷麗華がずっと隣りにいたからだ。
あまり他人に関心の無かった私でさえ、あの女の事は知っていた。
早熟で背も高くルックスも良いあの女は小学校でも人気者だった。
でも私は知っている。
あの女が陰で私の事を乞食女と呼んでいた事を。
あの女は私の王子様である優しい優太くんに相応しくない。
でもあの女は優太くんの家に日頃からお世話になっているらしく、優太くんとも凄く仲が良いらしかった。
私は恩人でもある優太くんの幸せを第一に考えている。
そのため優太くんの意思を尊重しつつ、陰ながら優太くんを見守る事にした。
中学三年の時、優太くんがあの女に告白して付き合う事になった時、私は一晩中泣いて目を腫らす事になった。
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私は親に少し無理言って、優太くんと同じ私立高校に通うことになった。
五条優太くんを陰から見守りたいと言ったら、親の方からも頑張りなさい! という激励を貰えた。
高校では運良く同じクラスになっていたある日、ある噂がクラスを賑わしていた。
大谷麗華が赤羽というテニス部のイケメンの先輩に告白されたというのだ。
既に優太くんと付き合っている事を知っていた私はまさかね、と思った。
その後、優太くんがあの女に屋上に呼び出された様なので隠れて様子を探ると、なんと赤羽先輩と付き合いたいから、優太くんと付き合っている事実を無かった事にしてくれと言ったのを聞いていた。
馬鹿な! 私は信じられない思いだった。
あれだけ優しい天使の様な優太くんを捨てるなんて!
私の様な者まで優しく包んでくれた聖母のような優太くんのお母様、知人でも無い私と両親を救ってくれた、聖人の様なお父様を裏切る様な事をするなんて!
絶対に許さない。
ーーーーー
少しして、優太くんがストーカーをしているという悪い噂が広まっていた。
たぶんテニス部の人達が噂を流しているんだろう。
優太くんは絶対にストーカーなど行っていない。
なぜなら私自身が優太くんをストーキングして、日々見守っているからだ。
「ちょっと五条! 聞いたわよ! いくら幼馴染だからって、ストーカーなんて止めなさいよ!」
「そうよ! 麗華だって彼氏がいるし、凄く迷惑してるわよ!」
噂を信じた他クラスの麗華の友達が、休み時間に優太くんを非難しに来た。
項垂れる優太くんを見て私は我慢出来ず、優太くんを庇うように前に出る。
「五条くんはそんなことしてない! 全部テニス部員たちが撒いたデタラメよ! 私にはわかるんだから!」
私はいつも付けている眼鏡をゆっくりと外し、目を細めて相手を見回した。
優太くんをこれ以上追い詰める様ならこの世から消えてもらう! そういう想いでにらみ続けていると相手は逃げるように帰って行った。
優太くんに私は信じてるからと伝えると、優太くんは少し陰があるけど嬉しそうにお礼を言ってくれた。
机とかにも落書きされていたりしたので消すのを手伝おうとしたけど、君が代わりに目を付けられても困るからという理由で断られてしまう。
自分が一番大変だと言うのに、人の事まで考えてくれるなんて優し過ぎるよ……
でもこのままじゃ、もっと酷いいじめにまで発展してしまうかも知れない。
危機感を持った私は内緒で優太くんのお母様に接触して、私の知る限りの情報を提供して優太くんの危機を伝えた。
それを聞いて優太くんのお母様は一瞬だけ般若の様な形相になったけど、直ぐに優しい顔に戻って私の優太くんへの想いを確認してきた。
私は優太くんの為ならば人生の全てを捧げますと自分の想いを正直に答えた。
それを聞いたお母様は、凄く嬉しそうに私に微笑んでくれた。
翌週、私達一家は優太くんのお父様のおはからいで、駅前に出来たばかりのタワーマンションに引っ越す事になった。
今はまだ内緒だけど、五条家も近々このマンションに引っ越してくる予定との事。
その時は、優太くんと一緒に学校に行ってくれないかとの五条家からの提案を飲んだからだ。
少しして、優太くんのお父様が言った通りの状況になったので、優太くんに提案してまずは一緒に下校する事になった。
優太くんとの下校で過ごす時間は凄く楽しかった。
事前にお母様から優太くんの趣味を聞いて予習していたので話も弾む。
私は優太くんが喜ぶのなら何だってやって見せるつもりだ。
優太くんは私が同じマンションに住んでいるのをビックリして、そのうち朝も待ち合わせして一緒に行くようになって、次第に優太くんは元の明るさを取り戻して行った。
優太くんは私をあの地獄の様な日々から救ってくれた王子様だ。
私があの女に傷付けられた優太くんの心を癒やしてあげるんだ。
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