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五条優太
第5話 さなぎから蝶へ
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一学期末の試験の結果、僕は学年で一位になった。
家でも学校でも狂ったように勉強を頑張った成果だった。
結局そのまま担任となった学年主任の先生からも、このまま頑張れば国立大も狙えるぞと励ましてもらえた。
渡辺さんは十位、達也はそこそこ頑張っているようで二十位台の様だった。
麗華は五十位以内には名前が無かった。
今まではずっと僕が家で麗華に勉強を教えていたんだけど、もうそれもやらなくなったから学力が落ちているのかも知れない。
でもこの頃になると、僕が麗華のストーカーとの噂はかなり下火になっていた。
理由は二つある。
一つはテニス部の凋落だ。
前の担任であった相沢が急に学校を止め、テニス部の一年生がいじめ行為で二人退学になってから、テニス部の求心力が急激に弱まってきていた。
それに伴って、赤羽先輩が複数の女子に手を出しているとの別の噂も持ち上がっており、僕に対して悪い噂を流す余裕が失われたのかも知れない。
もう一つは僕自身の成長だ。
僕はパパの子供の頃の様に、急激に身長が伸び始めていたんだ。
入学当初、渡辺さんよりも少し低かった身長が、それを追い越して今では達也より少し低い程度まで伸びており、それによって体型もぽっちゃりでは無くなったのが大きいのだと思う。
追い打ちの様にテスト結果も一位になったので、面と向かって僕をストーカー呼ばわりする者はいなくなったんだ。
ーーーーー
夏休みを経て僕はさらに身長が高くなっていた。
夏休みの少し前から始めた夜のランニングと筋トレによって、細マッチョにもなって顔も引き締まり、ママからはパパ似のイケメンになったよと言われている。
夜のランニングは心ちゃんと一緒に走っている。
僕が学校の帰り道にランニングする事を考えていると相談すると、心ちゃんが私もやりたい! と一緒に走る事になったんだ。
夜のランニングが良かったのか普通に成長期なのか、心ちゃんも少し背が伸びてスラッとしたモデル体型になっていた。
僕達は夏休み中も運動したり、遊んだり、勉強したりで凄く仲良しになっていた。
そして一番大事な事だけど、夏休み中に渡辺さんと僕はお互いを名前で呼び合う様になっていたんだ。
そして夏休み中に背が伸びた僕たちに母さんからのプレゼントとして、母さんの伝手でカリスマ美容師に髪を切ってもらう事が出来た。
ーーーーー
「ねえ、あれ誰かしら?」
「あの女子すっげえ可愛いじゃん!」
「男子の方も芸能人みたい!」
「うちの学校にあんな美男美女のふたりっていたの?」
登校中の僕達を見て同じ学校の生徒が騒ぎ出した。
僕はともかく心ちゃんは別人並みの変わり樣だから、驚くのも無理はないだろう。
最近はいつも一緒にいる僕でさえドキドキするぐらい可愛くなっている。
僕達が教室に入ると、教室内から会話が消えて静寂に包まれた。
皆、僕と心ちゃんを交互に見てビックリしている様だ。
「心ちゃん。また後でね」
「うん」
僕は心ちゃんに挨拶して自分の席に座ると、達也に挨拶する。
「おはよう達也」
「おはよう優太。お前と渡辺さんどうしたんだ?」
「ああ、この髪型? 僕達ふたりとも母さんの伝手でカリスマ美容師にカットしてもらってさ、ついでに眉とかも手入れしてもらったんだ。本来なら三ヶ月待ちくらいなんだってさ。凄くラッキーだったよ」
「そ、そうか。まるで別人になったな。それに背もまた伸びただろ。もう俺より大きくないか?」
「うん、もしかしたらそうかも。僕の父さんもそうなんだけど、高一ぐらいで凄く背が伸びたんだって。遺伝なのかな」
「それにしたって伸び過ぎだろう? まあ二人ともさなぎだったのが蝶になったという事なんだろうな。あと高い場所に住み替えたからじゃないか? お前んちの超高級タワーマンション凄かったな。それも最上階じゃないか。一体いくらするんだよ」
「そうかな。僕は自分の部屋が前よりも広すぎて落ち着かないんだけど。まあでも同じマンションに心ちゃんが住んでいるんで、僕としては前よりも良いかなあ。あ、また家に遊びに来てよ、今度は泊まりでゲームとかしようよ」
「おう、今はもうバイトも辞めたから、弟と一緒に土曜とかに遊びに行くよ」
クラスの一部の人は、僕と達也の会話に聞き耳を立てているようだった。
麗華は夏休みで暫く見ない間になんか痩せ細っていて、顔色も悪くなっていた。
何か凄い悩みでもあるんだろうか?
時折、僕の方を見つめて何か言いたそうにしている。
でも僕はもう麗華の事は綺麗さっぱり忘れる事が出来ている。
きっと僕から麗華、いや大谷さんに話し掛けることは一生無いだろう。
家でも学校でも狂ったように勉強を頑張った成果だった。
結局そのまま担任となった学年主任の先生からも、このまま頑張れば国立大も狙えるぞと励ましてもらえた。
渡辺さんは十位、達也はそこそこ頑張っているようで二十位台の様だった。
麗華は五十位以内には名前が無かった。
今まではずっと僕が家で麗華に勉強を教えていたんだけど、もうそれもやらなくなったから学力が落ちているのかも知れない。
でもこの頃になると、僕が麗華のストーカーとの噂はかなり下火になっていた。
理由は二つある。
一つはテニス部の凋落だ。
前の担任であった相沢が急に学校を止め、テニス部の一年生がいじめ行為で二人退学になってから、テニス部の求心力が急激に弱まってきていた。
それに伴って、赤羽先輩が複数の女子に手を出しているとの別の噂も持ち上がっており、僕に対して悪い噂を流す余裕が失われたのかも知れない。
もう一つは僕自身の成長だ。
僕はパパの子供の頃の様に、急激に身長が伸び始めていたんだ。
入学当初、渡辺さんよりも少し低かった身長が、それを追い越して今では達也より少し低い程度まで伸びており、それによって体型もぽっちゃりでは無くなったのが大きいのだと思う。
追い打ちの様にテスト結果も一位になったので、面と向かって僕をストーカー呼ばわりする者はいなくなったんだ。
ーーーーー
夏休みを経て僕はさらに身長が高くなっていた。
夏休みの少し前から始めた夜のランニングと筋トレによって、細マッチョにもなって顔も引き締まり、ママからはパパ似のイケメンになったよと言われている。
夜のランニングは心ちゃんと一緒に走っている。
僕が学校の帰り道にランニングする事を考えていると相談すると、心ちゃんが私もやりたい! と一緒に走る事になったんだ。
夜のランニングが良かったのか普通に成長期なのか、心ちゃんも少し背が伸びてスラッとしたモデル体型になっていた。
僕達は夏休み中も運動したり、遊んだり、勉強したりで凄く仲良しになっていた。
そして一番大事な事だけど、夏休み中に渡辺さんと僕はお互いを名前で呼び合う様になっていたんだ。
そして夏休み中に背が伸びた僕たちに母さんからのプレゼントとして、母さんの伝手でカリスマ美容師に髪を切ってもらう事が出来た。
ーーーーー
「ねえ、あれ誰かしら?」
「あの女子すっげえ可愛いじゃん!」
「男子の方も芸能人みたい!」
「うちの学校にあんな美男美女のふたりっていたの?」
登校中の僕達を見て同じ学校の生徒が騒ぎ出した。
僕はともかく心ちゃんは別人並みの変わり樣だから、驚くのも無理はないだろう。
最近はいつも一緒にいる僕でさえドキドキするぐらい可愛くなっている。
僕達が教室に入ると、教室内から会話が消えて静寂に包まれた。
皆、僕と心ちゃんを交互に見てビックリしている様だ。
「心ちゃん。また後でね」
「うん」
僕は心ちゃんに挨拶して自分の席に座ると、達也に挨拶する。
「おはよう達也」
「おはよう優太。お前と渡辺さんどうしたんだ?」
「ああ、この髪型? 僕達ふたりとも母さんの伝手でカリスマ美容師にカットしてもらってさ、ついでに眉とかも手入れしてもらったんだ。本来なら三ヶ月待ちくらいなんだってさ。凄くラッキーだったよ」
「そ、そうか。まるで別人になったな。それに背もまた伸びただろ。もう俺より大きくないか?」
「うん、もしかしたらそうかも。僕の父さんもそうなんだけど、高一ぐらいで凄く背が伸びたんだって。遺伝なのかな」
「それにしたって伸び過ぎだろう? まあ二人ともさなぎだったのが蝶になったという事なんだろうな。あと高い場所に住み替えたからじゃないか? お前んちの超高級タワーマンション凄かったな。それも最上階じゃないか。一体いくらするんだよ」
「そうかな。僕は自分の部屋が前よりも広すぎて落ち着かないんだけど。まあでも同じマンションに心ちゃんが住んでいるんで、僕としては前よりも良いかなあ。あ、また家に遊びに来てよ、今度は泊まりでゲームとかしようよ」
「おう、今はもうバイトも辞めたから、弟と一緒に土曜とかに遊びに行くよ」
クラスの一部の人は、僕と達也の会話に聞き耳を立てているようだった。
麗華は夏休みで暫く見ない間になんか痩せ細っていて、顔色も悪くなっていた。
何か凄い悩みでもあるんだろうか?
時折、僕の方を見つめて何か言いたそうにしている。
でも僕はもう麗華の事は綺麗さっぱり忘れる事が出来ている。
きっと僕から麗華、いや大谷さんに話し掛けることは一生無いだろう。
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