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一条真由子(妹)
第13話 大好きなお兄ちゃん
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私の名前は吉井真由子。
私の家族は仲が良かった。
優しいお父さんと、お母さんと、お兄ちゃん。
私はとりわけお兄ちゃんが大好きだった。
物心ついた頃からお兄ちゃんにずっと引っ付いて回っていたのを覚えている。
お兄ちゃんは凄く優しくて、いつも私の遊びに付き合ってくれていた。
でもある時、出掛けた先で事故に遭ってお父さんとお母さんは死んでしまった。
私とお兄ちゃんはお父さんとお母さんが逃がしてくれて、軽い怪我で済んだ。
私は凄く悲しかったけど、お兄ちゃんが一緒にいたので我慢できた。
それからはお兄ちゃんと一緒に伯父さんの家に引っ越す事になった。
だけど伯父さんの家には食事やトイレ、お風呂の時しか入れなくて、私達の住まいは狭い物置小屋だった。
そこは夜になると真っ暗で、いつもお兄ちゃんに引っ付いていつの間にか寝てしまっていた。
ーーーーー
四月から私は小学校に入学する事になったけど、私のランドセルは伯父さんに買ってもらえなかったみたい。
お兄ちゃんがゴメンねと言ってきたけど、私は悲しくて下を向いてしまった。
それから少しして、お兄ちゃんがエコバックをお友達から貰ってきて、お兄ちゃんがそれを使う代わりに、お兄ちゃんのランドセルを私が貰える事になった。
お兄ちゃんありがとう。
伯父さんは何も買ってくれなかったけど、お兄ちゃんが鉛筆とか消しゴムやノートや洋服だって、何処からか持って来てくれる。
新品では無かったけど私にはそれで十分だった。
とにかくお兄ちゃんは私の事を一生懸命に守ってくれた。
お醤油を溢したりして怒った伯父さんに叩かれそうになった時、必ずお兄ちゃんが私を守って庇ってくれた。
時には凄く血だらけになったりもしていたの。
そして伯父さんにご飯を抜かれたりした時でも、私の食べる物は必ず用意されていて、私自身がそんなに飢える事は無かった。
でもそういう時にお兄ちゃんが何かを食べてるところを見た事は無かった。
ーーーーー
ある時、私はお兄ちゃんとデパートに来ていた。
お父さんとお母さんがいた頃は良く来ていたところだから何となく覚えてる。
何を買いに来たんだろう。
売り場にある赤やピンク色のランドセルが目に付く。
かわいいなあ。
そしたらお兄ちゃんが、そのピンク色のランドセルを取って私に渡して来た。
買ってくれると聞いて、私は嬉しさのあまり跳び上がって喜ぶ!
やったあ! お兄ちゃんありがとう!
ーーーーー
新しいピンク色のランドセルを背負って学校から帰った次の日、お兄ちゃんが深刻な顔で出掛ける準備をしてと言い、お兄ちゃんのお友達の晴臣くんのところでお菓子を食べた後、お兄ちゃんと旅をする事になった。
お兄ちゃんはずっと二人きりの旅行だよと言っていたけど、旅行にしては長過ぎるし、大人には見つからない様にしなければならなかった。
朝と午後に歩いて移動して、私が疲れたらお兄ちゃんがおんぶしてくれた。
夜になったら濡れタオルで身体を拭いてもらいご飯を食べて暖かくして寝る。
それの繰り返しだったけど、お兄ちゃんは凄く痩せてきていて、ずっとはあはあと息をして疲れているみたいだった。
ある時お兄ちゃんの顔がかなり赤くなっていた時があった。
「おにいちゃん、おかお赤いよだいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。僕はずっと一緒にいて、真由子を守るからね」
そう言ってお兄ちゃんは少し潤んだ瞳で私の頭を撫でてくれた。
それで安心した私はまた眠りについた。
ーーーーー
不意に大きなお屋敷の前でお兄ちゃんが倒れてしまった!
私は不安で泣き叫んで、お兄ちゃんを連呼する。
お兄ちゃんがお屋敷のお爺さんと何か話した後、私に手を伸ばしてきた。
私は本能的にお兄ちゃんの死とお別れを悟った。
嫌! 大好きなお兄ちゃん! 死なないで!
ずっと、ずっと私と一緒だって言ったじゃない!
私の家族は仲が良かった。
優しいお父さんと、お母さんと、お兄ちゃん。
私はとりわけお兄ちゃんが大好きだった。
物心ついた頃からお兄ちゃんにずっと引っ付いて回っていたのを覚えている。
お兄ちゃんは凄く優しくて、いつも私の遊びに付き合ってくれていた。
でもある時、出掛けた先で事故に遭ってお父さんとお母さんは死んでしまった。
私とお兄ちゃんはお父さんとお母さんが逃がしてくれて、軽い怪我で済んだ。
私は凄く悲しかったけど、お兄ちゃんが一緒にいたので我慢できた。
それからはお兄ちゃんと一緒に伯父さんの家に引っ越す事になった。
だけど伯父さんの家には食事やトイレ、お風呂の時しか入れなくて、私達の住まいは狭い物置小屋だった。
そこは夜になると真っ暗で、いつもお兄ちゃんに引っ付いていつの間にか寝てしまっていた。
ーーーーー
四月から私は小学校に入学する事になったけど、私のランドセルは伯父さんに買ってもらえなかったみたい。
お兄ちゃんがゴメンねと言ってきたけど、私は悲しくて下を向いてしまった。
それから少しして、お兄ちゃんがエコバックをお友達から貰ってきて、お兄ちゃんがそれを使う代わりに、お兄ちゃんのランドセルを私が貰える事になった。
お兄ちゃんありがとう。
伯父さんは何も買ってくれなかったけど、お兄ちゃんが鉛筆とか消しゴムやノートや洋服だって、何処からか持って来てくれる。
新品では無かったけど私にはそれで十分だった。
とにかくお兄ちゃんは私の事を一生懸命に守ってくれた。
お醤油を溢したりして怒った伯父さんに叩かれそうになった時、必ずお兄ちゃんが私を守って庇ってくれた。
時には凄く血だらけになったりもしていたの。
そして伯父さんにご飯を抜かれたりした時でも、私の食べる物は必ず用意されていて、私自身がそんなに飢える事は無かった。
でもそういう時にお兄ちゃんが何かを食べてるところを見た事は無かった。
ーーーーー
ある時、私はお兄ちゃんとデパートに来ていた。
お父さんとお母さんがいた頃は良く来ていたところだから何となく覚えてる。
何を買いに来たんだろう。
売り場にある赤やピンク色のランドセルが目に付く。
かわいいなあ。
そしたらお兄ちゃんが、そのピンク色のランドセルを取って私に渡して来た。
買ってくれると聞いて、私は嬉しさのあまり跳び上がって喜ぶ!
やったあ! お兄ちゃんありがとう!
ーーーーー
新しいピンク色のランドセルを背負って学校から帰った次の日、お兄ちゃんが深刻な顔で出掛ける準備をしてと言い、お兄ちゃんのお友達の晴臣くんのところでお菓子を食べた後、お兄ちゃんと旅をする事になった。
お兄ちゃんはずっと二人きりの旅行だよと言っていたけど、旅行にしては長過ぎるし、大人には見つからない様にしなければならなかった。
朝と午後に歩いて移動して、私が疲れたらお兄ちゃんがおんぶしてくれた。
夜になったら濡れタオルで身体を拭いてもらいご飯を食べて暖かくして寝る。
それの繰り返しだったけど、お兄ちゃんは凄く痩せてきていて、ずっとはあはあと息をして疲れているみたいだった。
ある時お兄ちゃんの顔がかなり赤くなっていた時があった。
「おにいちゃん、おかお赤いよだいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。僕はずっと一緒にいて、真由子を守るからね」
そう言ってお兄ちゃんは少し潤んだ瞳で私の頭を撫でてくれた。
それで安心した私はまた眠りについた。
ーーーーー
不意に大きなお屋敷の前でお兄ちゃんが倒れてしまった!
私は不安で泣き叫んで、お兄ちゃんを連呼する。
お兄ちゃんがお屋敷のお爺さんと何か話した後、私に手を伸ばしてきた。
私は本能的にお兄ちゃんの死とお別れを悟った。
嫌! 大好きなお兄ちゃん! 死なないで!
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