4 / 16
吉井浩人
第4話 妹のランドセル
しおりを挟む
年末も近くなった二ヶ月後、僕達は何とか生き残っていた。
あれ以降もご飯を抜きにされた事はあったけど、配達のお駄賃で稼いだお金で食パンを買って食べたり、晴臣くんが内緒でおにぎりを作って食べさせてくれたりもしたからだ。
また、僕はクラスメイトの女子達に頭を下げて、成長して着れなくなった冬用の洋服が無いかどうかを聞いて周り、何着か妹の洋服を手に入れる事も出来た。
これで妹が寒い思いをしなくて済む。
協力してくれたクラスメイトには本当に感謝しかない。
いつか恩返しが出来ればと思う。
ーーーーー
最近、僕はこのまま伯父さんの世話になり続けて、本当に妹の真由子を幸せに出来るかを考える様になった。
伯父さんの気まぐれでご飯を抜きにされる事や、暴力などが絶えないからだ。
実は僕には一つ秘密にしている事があった。
それはお父さんの事だ。
僕のお父さんの名前は吉井浩二だけど本当は一条浩二という名前らしい。
お父さんからは誰にも言ってはいけないよと言われていたんだけど、お父さんの親戚を探す手掛かりにはなりそうだと思う。
そして、もしもの時の為にとお父さんの本当の名前が書かれた免許証も渡されていたんだ。
伯父さんはお父さん達の物は全て捨ててしまったみたいだけど、この免許証だけは僕のランドセルの内ポケットに隠してあったので無事だった。
そのうちここに書かれている住所を訪ねてみるのも良いかもしれない。
僕は晴臣くんにだけは秘密を明かして協力してもらう事にした。
晴臣くん家はお手伝いさんもいる裕福な家庭みたいで、パソコンも自分用に持っているらしく、インターネットとかいう物で名前を探してみるとの事だった。
ーーーーー
何日か後の放課後、伯父さんの中華店の定休日に僕は妹の真由子と一緒に街のデパートに来ていた。
そこには事前に晴臣くんが下見してくれていた通り、簡素なピンク色の一番安いランドセルが売られていたんだ。
今日は毎日の新聞配達のお駄賃を貯めていたお金が、とうとう安いランドセルを買えるぐらいに貯まったので妹のランドセルを買いに来たんだ。
お金は無駄使いを一切してないので、ランドセルを買っても少しだけ余裕がある。
妹にはもし売っていなかったり、売り切れていたりしたらかわいそうなので、ランドセルを買いに来たとはまだ言ってない。
僕がそのピンク色のランドセルを手に取って見せると、真由子の顔が輝いた。
「今日は真由子のランドセルを買いに来たんだ。これでも良いかな?」
「ピンク色のランドセル! かわいい! おにいちゃん、ありがとう!」
真由子は女の子らしいピンク色のランドセルが気に入った様だ。
すごく飛び跳ねて喜んでいる。
僕はレジにランドセルを持って行く。
レジのお姉さんは僕たちの喜ぶ様子を見て、小銭ばかりだったのに嫌な顔もせず会計をしてくれたんだ。
これで貯めていたお金は殆ど無くなっちゃったけど、妹の喜び様を見ると買ってあげることが出来て本当に良かったと思う。
翌日、ピンク色のランドセルを背負って学校に向かう真由子は、僕にはとても幸せそうに見えた。
あれ以降もご飯を抜きにされた事はあったけど、配達のお駄賃で稼いだお金で食パンを買って食べたり、晴臣くんが内緒でおにぎりを作って食べさせてくれたりもしたからだ。
また、僕はクラスメイトの女子達に頭を下げて、成長して着れなくなった冬用の洋服が無いかどうかを聞いて周り、何着か妹の洋服を手に入れる事も出来た。
これで妹が寒い思いをしなくて済む。
協力してくれたクラスメイトには本当に感謝しかない。
いつか恩返しが出来ればと思う。
ーーーーー
最近、僕はこのまま伯父さんの世話になり続けて、本当に妹の真由子を幸せに出来るかを考える様になった。
伯父さんの気まぐれでご飯を抜きにされる事や、暴力などが絶えないからだ。
実は僕には一つ秘密にしている事があった。
それはお父さんの事だ。
僕のお父さんの名前は吉井浩二だけど本当は一条浩二という名前らしい。
お父さんからは誰にも言ってはいけないよと言われていたんだけど、お父さんの親戚を探す手掛かりにはなりそうだと思う。
そして、もしもの時の為にとお父さんの本当の名前が書かれた免許証も渡されていたんだ。
伯父さんはお父さん達の物は全て捨ててしまったみたいだけど、この免許証だけは僕のランドセルの内ポケットに隠してあったので無事だった。
そのうちここに書かれている住所を訪ねてみるのも良いかもしれない。
僕は晴臣くんにだけは秘密を明かして協力してもらう事にした。
晴臣くん家はお手伝いさんもいる裕福な家庭みたいで、パソコンも自分用に持っているらしく、インターネットとかいう物で名前を探してみるとの事だった。
ーーーーー
何日か後の放課後、伯父さんの中華店の定休日に僕は妹の真由子と一緒に街のデパートに来ていた。
そこには事前に晴臣くんが下見してくれていた通り、簡素なピンク色の一番安いランドセルが売られていたんだ。
今日は毎日の新聞配達のお駄賃を貯めていたお金が、とうとう安いランドセルを買えるぐらいに貯まったので妹のランドセルを買いに来たんだ。
お金は無駄使いを一切してないので、ランドセルを買っても少しだけ余裕がある。
妹にはもし売っていなかったり、売り切れていたりしたらかわいそうなので、ランドセルを買いに来たとはまだ言ってない。
僕がそのピンク色のランドセルを手に取って見せると、真由子の顔が輝いた。
「今日は真由子のランドセルを買いに来たんだ。これでも良いかな?」
「ピンク色のランドセル! かわいい! おにいちゃん、ありがとう!」
真由子は女の子らしいピンク色のランドセルが気に入った様だ。
すごく飛び跳ねて喜んでいる。
僕はレジにランドセルを持って行く。
レジのお姉さんは僕たちの喜ぶ様子を見て、小銭ばかりだったのに嫌な顔もせず会計をしてくれたんだ。
これで貯めていたお金は殆ど無くなっちゃったけど、妹の喜び様を見ると買ってあげることが出来て本当に良かったと思う。
翌日、ピンク色のランドセルを背負って学校に向かう真由子は、僕にはとても幸せそうに見えた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる