想像力豊かな俺が最強!?

鯨猫

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一章

13話 思い

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…どれだけの時間が経過したのだろうか。
あれから唯ひたすら剣を振るっていた気がする。
周りを見渡すと敵は一応見えなくなっていた。
「よし、追いかけるか」
とそこまで言って気づく。
そう言えばここどこだ…?
追っ手からヌイ達から引き離そうと必死に煽りながら走っていたため、自分がどこにいるのかが分からなくなってしまっていた。
「くそ、どうするかな…」
俺はとりあえず来た道を戻ろうとするが、そもそもどこから来たのか分からない。
しかし。
「探さなきゃ…ヌイが…」
俺はひたすらに足を進めた。
もしも、別の追っ手に襲われていたら。
もしも、俺の魔法が一時的なものだったら。
数多の『もしも』が頭の中で言いようの無い不安を構成する。
もちろん、頭の冷静な部分ではわかってる。心配しすぎだ、リーアクやヤナもいるからなんとかなっているはず、と。
それでも足は止まらなかった。
どころか徐々に体が抑えられなくなっていく。
「はあっ、はあっ」
最初は早足、そして更に早くなる速度。
最後には悪路も気にせず駆け出していた。
少しでも早く、早くヌイの所へ。
「はあっ、はあっ、はあっ」
どこにいるかも分からない。当てもなく進む。
気がつけば頭にはヌイ達に追いつくという目的以外何もかもが消えていた。
やがて自分の声が聞こえてくる。
『何故走るんだ?ヤナとリーアクがいれば大丈夫だろう?』
それでも、不安が、嫌な予感がするんだ。
『何が不安なんだ?』
…分からない。
『ならなんで?』
…分からない。
『なら、止まってもいいんじゃないか?』
…嫌だ。
『…それこそ何故だ!?』
ヌイが待ってる。
『待ってないかもしれない』
それでも行かなきゃ。ヌイがいなくなったら俺は。
『…本当に話を聞かないな。俺は』
悪いか。それが俺だろう?
『…だな…』
不意にもう一つの俺が消えた。
目の前には陽の差す林があった。
何も考えず足を進める。
思わず目を細める。
日光が目にしみた。
「朝に…なってたのか…」
ようやく視界が安定すると目に写ったのは綺麗な川の流れとそこに佇む美しい少女だった。
まるで造り上げられた完璧な芸術の様な美しい光景に思わず俺は目を奪われた。
少女がこちらを振り向く。
そこで俺は気がつく。
彼女は
「きゃ…」
「申し訳ございませんでしたァァァァァァ!」
考えるより先に体が動いていた。
謝罪大国日本の最終奥義、DOGEZA。
そのお陰で謝罪の気持ちが伝わったのか少女は悲鳴を押し殺してくれた。
「悪気はなかったんです!!信じてください!!」
「あの、後で聞くから取り敢えず目をつぶってっ!!」
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